ストーリー上に分岐を用意する上で、まず重要なのは、「正解 or 間違い」という単純な選択肢にせず、プレイヤーにジレンマを与えるような両義性のあるものにすること。重要な結果は、展開を予想されないようにできるだけ遅らせることで、ゲームの構造にも深みが出る。ただし、結果を遅らせ過ぎるとプレイヤーが選んだ選択肢を忘れてしまうことがあるので、途中で何度かにわたってフラッシュバックの演出を挿入するのが望ましい。
しかしここにも問題点が。メルセデス型に枝分かれした複数のストーリーラインは、パラレルワールド的な位置づけになるので、同じNPCを別々のラインで使い回せない。この点が、本セッションに“メルセデスの中のシュレーディンガーの猫(Schrodinger's Cat in a Mercedes)”という演題が付けられている由縁です。
また、Replacerだけでなく、過去の時間軸を描く“Reverse Chronology”という手法も解説。複雑なストーリーを伝えるのに便利で、素早くプレイヤーの興味を引くことができ、Tomaszkiewicz氏は、『Uncharted 2』(ネイトの子供時代)や『To The Moon』を、この手法をうまく取り入れた作品としてスライドで紹介しました。