ゲームが人にどのような影響を与えるのか、というのはゲーム開発者のみならず、心理学研究者、子どもを持つ親、教育者などからいつの時代も注目を浴び続けているトピックのひとつではないでしょうか。「デジタルゲームが人の認知機能に与える影響:ゲーム研究最前線 Todai Baba Game Lab」というショートセッションでは、東京大学大学院学際情報学府の吉川真人氏が、近年における認知機能とゲームの関連研究を紹介しました。
続けて紹介されたのは、2002年リリースの『Medal of Honor』というファーストパーソンシューターです。こちらはミュンヘン大学の大学生で、2年間まったくゲームをプレイしていないと回答したノンゲームプレイヤー32名を対象に行われました。先の『テトリス』の例と同様にまとまったゲームプレイの前後に心理検査を行い、結果、視覚(追跡、視野)注意、認知的柔軟性など視覚を中心に広い影響が認められたとのことです。
最後に紹介したのはリアルタイムストラテジー『Rise of Nation』を用いた研究です。アメリカイリノイ州の高齢者を対象とし、過去2年にわたってゲームをまったくしていないと回答した40名のノンゲームプレイヤーのデータを計測したものです。ファーストパーソンシューターとは異なり、リアルタイムストラテジーは視覚や視野への心理検査への影響がないのですが、一方で思考や記憶に関する認知機能が高められる結果が得られたようです。