明治大学知的財産法政策研究所は、漫画「ハイスコアガール」の著作権侵害問題に関して、知的財産法研究者・コンテンツと著作権法研究会のメンバーによる共同声明を公表しました。「ハイスコアガール」は、スクウェア・エニックス発行の月刊誌「月刊ビッグガンガン」にて連載(現在一時休載)している漫画作品です。1990年代のゲームセンターを舞台としたラブコメディーで、ゲームファンを中心に人気を呼び、アニメ化も決定していました。今年8月、同漫画作品において、キャラクターが無断使用されたとしてSNKプレイモアが同社出版部門を刑事告訴。10月には、逆にスクウェア・エニックスがSNKプレイモアを相手に債務不存在確認請求訴訟を起こしており、著作権法違反がないことを主張していましたが、11月に大阪府警が著作権法違反の容疑でスクウェア・エニックス社員15名と漫画作者1名を書類送検され、12月から口頭弁論が開始されています。一連の「ハイスコアガール」問題について、明治大学知的財産法政策研究所を中心とする有識者27名が、声明を公表しました。声明は“著作権侵害の成否が明らかではない事案について、刑事手続が進められることに反対する”といった内容となっています。■声明の要点・漫画におけるゲームキャラクターの利用態様については、著作権侵害の要件としての類似性が認められない可能性、また適法な引用に該当する可能性があるので、著作権侵害と明確に肯定すべきではない。・著作権を巡る裁判は過去の判例も“微妙”なことが多い。・著作権侵害に係る刑事罰・刑事手続は、海賊版の事案など明らかな侵害行為の際に重要。・今回のような侵害の成否が明らかでない事案で刑事手続が進むことは、あらゆる表現活動に“萎縮効果”をもたらし、憲法の保障する「表現の自由」に抵触しかねない。今回発表された声明の賛同者は以下の27名の有識者の方々です。■賛同者(50音順・敬称略)今村哲也 (明治大学情報コミュニケーション学部准教授)大野幸夫 (明治大学法学部教授)桶田大介 (弁護士、一般社団法人日本アニメーター・演出協会 監事)金子敏哉 (明治大学法学部准教授)田中辰雄 (慶應義塾大学経済学部准教授)中山信弘 (明治大学研究・知財戦略機構特任教授、東京大学名誉教授、弁護士)野口祐子 (クリエイティブ・コモンズ・ジャパン)福井健策 (弁護士、日本大学芸術学部客員教授)藤本由香里 (明治大学国際日本学部教授)三村量一 (弁護士、元・知的財産高等裁判所判事) 以上、明治大学知的財産法政策研究所コンテンツと著作権法研究会内の賛同者相澤英孝 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)井関涼子 (同志社大学法学部教授)井上由里子 (一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)熊谷健一 (明治大学法科大学院教授)栗田昌裕 (龍谷大学法学部准教授)鈴木將文 (名古屋大学大学院法学研究科教授)高倉成男 (明治大学法科大学院教授)辰巳直彦 (関西大学法学部教授)田村善之 (北海道大学大学院法学研究科教授)張睿暎 (東京都市大学メディア情報学部准教授)長塚真琴 (一橋大学大学院法学研究科教授)中山一郎 (國學院大學法科大学院教授)平嶋竜太 (筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)宮脇正晴 (立命館大学法学部教授)本山雅弘 (国士舘大学法学部教授)山神清和 (首都大学東京大学院社会科学研究科教授)吉田広志 (北海道大学大学院法学研究科教授)声明の全文については以下のページをご覧ください。■「ハイスコアガール」事件について―著作権と刑事手続に関する声明―http://www.kisc.meiji.ac.jp/~ip/20141222seimei.pdf知的財産や著作権の観点からもさまざまな問題を含んでいる「ハイスコアガール」問題。今後の動向にも注視していきたいと思います。
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