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登壇したのは、Oculusヘッド・オブ・パブリッシングのJason Holtman氏、HTC ViveグローバルVRコンテンツ・バイスプレジデントJoel Breton氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント グローバル商品企画部担当課長の高橋泰生氏、GoogleチーフゲームデザイナーNoah Falstein氏の4名。司会は、カドカワ株式会社取締役 ファミ通グループ代表の浜村弘一氏が務めました。
世界的なVRムーブメントの仕掛け人ともいえるOculusは、VR用専用のモーションコントローラもリリースしたばかり。そしてOculusと人気を二分するHTC Vive、日本で先日リリースされ品薄状態が続くPlayStation VR、Googleは今年11月にAndroid向けのVRプラットフォームDaydreamをスタートさせ、独自のHMD「Daydream View」を展開。各社からVRデバイスが出そろったことから、2016年はVR元年とも呼ばれました。
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昨年までと打って変わり、今年の春以降から国内でも大きく盛り上がったVRの現状についてどのように感じているかと浜村氏は質問。Holtman氏は昨年と比較して、今年はさまざまなVR機器やコンテンツにユーザーが触れられるようになったと語ります。Breton氏は映画やテレビが通ってきたように、VRの黄金期が来たのではないかと述べました。開発者が自信を持ってユーザーに届けられるコンテンツが用意できるようになったと述べる高橋氏。PS VRのように家庭で楽しんだユーザーが他の人へとその魅力を伝えるようになり、開発者やコアユーザーではなく、一般の人にVRが浸透した年であるとしています。Falstein氏によると、GoogleはモバイルVRのポテンシャルに期待しているのだとか。PCとモバイルの他にもさまざまなVRシステムが投入されている中で、開発者やユーザーがVRを理解してきたことで何を望んでいるかが見えてきたと語ります。
各VR機器メーカーとも素晴らしいスタートを切り、メディアの取り上げ方も大きく変わったと浜村氏。盛り上がっている現在から、2020年までにいったいどのような取り組みを行っていくのか登壇者へ質問しました。高い解像度での実現が現在の課題であるとし、2020年までには実現するためにさまざまな会社が取り組んでいくのではないかとBreton氏は予測。高橋氏は大きくカラーテレビを普及させた1964年の東京オリンピックを例に、2020年のオリンピックを含めた魅力的なコンテンツの開発を課題としていると述べます。特に、毎日VRを使いたくなるようなコンテンツの必要性を解きました。また、Googleはナラティブ分野に力を入れており、トライベッカ映画祭にも360度映像作品を出品したことをFalstein氏は説明。360度映像やVRのリアルさは人の感情を強く呼び起こす可能性があると述べ、今後数年でこのような作品が多く出てくると予測しました。
VR元年と言われながらも、すでに各社は未来に向けた取り組みを行っています。今後は社会のインフラにどのように影響を与えてくるか、そしてどのような未来を築いていくかとの質問に対し、ゲーム以外の多くの業種で活用されるだろうと皆が声をそろえます。製造、医療、教育の分野はもちろん、アーティストによる表現の世界でも活用されていくのだと語られ、今セッションは幕を閉じました。
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