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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからのe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。
■e-Sportsとは?
e-Sports(Eスポーツ)とはElectronic sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。現在e-Sportsの対象となっているゲームを遊ぶ人の数は、全世界で5500万人を超えています。
(ゲーム大辞典参照:http://game-lexicon.jp/word/e-Sports)
第16回目となる今回は世界最大級のゲームショウE3(Electronic Entertainment Expo)にブース出展を行っていた、PCメーカーDellマーケティングディレクターCHRISTOPHER SUTPHEN氏にインタビューを敢行。北米におけるゲーミングPCの盛り上がり、また同氏からみた日本e-Sports市場発展のヒントを伺いました。
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―――本日は宜しくお願いします。CHRISTOPHERさんの自己紹介をお願いします
12年前からDellで働いておりALIENWAREの製品マーケティングとコミュニティエンゲージメントを担当しています。E3出展の理由であったり、これから私達が挑戦することについてお話できればと思います。
ALIENWAREは20年前からありますが、私達のブランドには「4つの信条」があります。「パフォーマンス」、「イノベーション」、「デザイン」、そして「クオリテイ」です。ゲーマーのみなさまを喜ばせるためにPC本体や周辺機器をたくさん提供していきましたが、今年はコミュニティの中でどういう取り組みをしていくのか、が一番のポイントになるかと思います。特に昨年からはe-Sportsに関する取り組みをたくさんしています。例えば「team liquid」と共同でALIENWARE TRAINING FACILITYを開きました。私達はゲーマーたちに高度なシステムを提供し、最高のトレーニングを与えることによって、彼らが最高の選手になります。
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ELEAGUEというe-SportsリーグもDellがスポンサーとなっているのですが、「Tobi」というソフトを使って、ゲームプレイの分析を行っています。例えば、視線追跡のアイトラッキング技術を用いて、より深い分析のサポートを行っています。選手たちの視線がどこにいっているのか追跡することで、アナウンサーなども面白い解説や分析ができるようになります。
実物のTRAINING FACILITYだけでなく、今年のE3でDigital TRAINING FACILITYも発表しました。「ALIENWARE ACADEMY」というDIGITAL TRAINING FACILITYとなります。レッスンプランを提供することで、ゲーマーは自分のスキルを向上することができますし、プロの選手の技法やスキルなどをヒントとして提供することでさらなるレベルアップを目指せます。
―――DIGITAL TRAINING FACILITYのレッスンの内容はどのようなものでしょう
今回トレーニングコンテンツを初めて開発したのですが、PC設定の仕方やオプション設定の仕方からはじまり、プロの選手も使えるようなユニークなスキルの指導も取り入れています。例えば、プレイの仕方やターゲットのエイムの仕方、また「team liquid」がそれを評価してその微調整も行いますので良い内容になるかと思います。まずは『CS:GO』のトレーニングレッスンのみですが、今後対応タイトルは拡大していきます。さまざまゲームタイトルに対応することで、プレイヤーも多くのスキルを身につけることができます。
―――対応予定タイトルは?
『Overwatch』、『LoL(League of Legends)』、『PUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)』を予定しています。
―――『Fortnite』は対応しないですか
可能性はあります。『フォートナイト』はあまりe-sportsという観点からは語られていなかったのですが、これからe-Sportsタイトルとしても流行る可能性は高いので、私達も力は入れていきたいです。アマチュアはもちろん、プロ選手も使えるようなレッスン内容を目指しています。
―――わかりました。今年のE3はどうでしょう
私達は10年前からE3に出席していますが、毎回思うのはいろいろなユニークなソフトが発売されて、私達はそれを楽しみにしています。ゲーマーのみなさまは私達のシステムを利用したいのではなく、私達のシステムを介して「ゲーム」をしたがっているので、いろいろなゲームが出ることによって、私達のシステムを利用する機会が増えると考えています。あとは行列がもう少し短くなると嬉しいですね…。
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―――PCオンリーではなく、クロスプラットフォームのタイトルが増えてきています。その辺りはどう捉えていますか
私はすごくいいと思います。PCタイトルとXboxタイトルのクロスプラットフォーム対応というマイクロソフトが大きな決断(Xbox Play Anywhere)を下しましたが、他のプラットフォーム(ゲームコンソール)も同じ対応をしてほしいな、と思います。クロスプラットフォームタイトルが増えることで、PC業界も盛り上がると考えています。ゲーマーがPCでゲームを試したり、コンソールでゲームを試したりと自分自身で判断することができるようになります。最終的にPCで遊ぶのか、コンソールで遊ぶのか、という判断をすることで我々の業界もさらに拡大すると考えています。
―――コンソールよりもPCのほうが快適なゲーム体験を提供できるとお考えですか?
現代のゲーム市場はPCかコンソールか、どちらか一方を選ばなければならないという状況ではありません。PC対コンソールという構図ではなく、いろんな形でゲーマーがゲームを楽しむ環境になっています。またゲーミングPCではない、普通のPCでもゲームをプレイできます。コアゲーマーはALIENWARE、そうでない一般の方々はDellブランドでゲームをしてもらえると嬉しいです。私もモバイルでゲームをすることもありますし、子どもたちと一緒にSwitchを楽しむこともあります。また友達とPCでゲームをしたりしますので、いろいろなデバイスがあってもいい市場だと思います。
―――日本ではe-Sportsという言葉はありますが、なかなか定義が固まりません。CHRISTOPHERさんが考えるe-Sportsとは
プロのゲーマーが集まり、高額な賞金をかけて対戦するようなゲームはなんであれば、e-Sportsと捉えています。友達と楽しくゲームをしたりするのももちろん良いのですが、それはe-Sportではないと考えます。やはり賞金があってはじめてe-Sportsと呼べると思います。
――ジャンルは問わず、e-Sportsになりえますか
すべてのジャンルに当てはまると思います。文化やファンたちの行動によって、その時に選ばれるタイトルは変わってくるかと思います。格闘ゲームやFPSはもちろんですが、例えばヨーロッパではレースゲームなどが支持されています。マクラーレンがe-Sports大会をスポンサーしていたりします。ジャンルは全く関係無いですね。
―――モバイルゲームはどうでしょう
もちろん、e-Sportsになりえます。
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―――今後、Dellとしてe-Sports市場にどのように関わっていきますか
リーグのスポンサーやチームのスポンサーになったり、PCの提供や設備の提供などe-Sportsに対しては黎明期からいろいろなサポートを行っていますが、これからは「イノベーション」を起こしていきたいと考えています。より良いトレーニングプログラムを選手たちに提供したり、より良い体験を観客やユーザーに対して提供できるようチャレンジしていくのが、これからの私達のミッションとなります。中国では、ALIENWAREチャンピオンシップという大会があり、アマチュアゲーマーたちが参加し、優勝したゲーマーがプロゲーミングチームのオーディション参加権を獲得することができ、そこからプロゲーマーになる可能性もあります。そういった大会やリーグをアメリカやヨーロッパでも展開したいと考えています。
――日本は?
今年は予定していませんが、近い将来日本にも進出したいです。日本でもアマチュアゲーマーがプロゲーマーになり得る道を作っていきたいです。
―――日本でe-Sportsを盛り上げるためにはどのようなことをすればよいでしょう
いろいろな問題があると思いますが、まずは賞金の金額を大きくすることが必要だと思います。またALIENWARE ACADEMYなどを開催してアマチュアゲーマーを集めて、トレーニングを行うことで、プロゲーマーになる道がある、ということを彼らに伝えることで未来は明るくなるはずです。
―――最後に日本のゲーマーにメッセージを。
PCゲームが日本でも盛り上がっているということに対して、私達は感謝をし、感動しています。日本でもALIENWAREコミュニティを盛り上げてほしいです。私達はいつでも歓迎します。
―――ありがとうございました
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PC業界の雄がe-Sportsに対して、今後どういった取り組みを行うのか。彼らが大きな動きをすることで、日本のマーケットも変動するかもしれません。法規制の問題やプロ選手への配慮の問題などが取り上げられることが増えてきましたが、逆に言うと日本でもそれだけいろいろな人がe-Sportsというものに注目をしている、と捉えることもできます。日本のe-Sports市場が発展できるよう今後も情報をお届けしていきます。