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Blizzard Entertainmentが2018年8月8日から国内配信を開始する『ハースストーン』の”電撃的”新拡張コンテンツ「博士のメカメカ大作戦」。135種類もの新カードが追加される同コンテンツは、『Warcraft』シリーズに登場するドクター・ブームを中心に展開します。
編集部では、『ハースストーン』のデザイナーを務めるピーター・ウォーレン氏とパット・ネーグル氏にモニター越しのオンラインインタビューを実施。「博士のメカメカ大作戦」のコンセプトやゲームの変化について詳しく語っていただきました。
――まずはお2人の自己紹介をお願いします。
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ピーター・ウォーレン氏(以下、ウォーレン):『ハースストーン』のデザイナーを務めるピーター・ウォーレンです。
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パット・ネーグル氏(以下、ネーグル):同じく『ハースストーン』のデザイナーを務めるパット・ネーグルです。
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――まず最初に、今回の拡張版はどのようなコンセプトで開発されたのでしょう。
ウォーレン:『World of Warcraft』の世界観から、“ドクター・ブーム”の研究所がある“ネザーストーム”にフォーカスを当てています。そこにある各ヒーローの研究所では、例えばパラディンは光とクリスタルを組み合わせたレーザーを研究しているなど、特色を持ったものになっています。
ネーグル:新しいメカニクス“超電磁”を持つミニオンは、左側に置くことでバフとして作用するんですが、逆に右に置くことで別々に扱うことができます。コンセプトはサイエンスですね。
ウォーレン:“超電磁”を使えば、1枚のカードを何度でも強化することができます。ロボットが徐々に大きくなるようなイメージです。他にも、“生物学プロジェクト”は自分と相手の両方に2つのマナクリスタルを与える効果を持つカードで、“オメガ”のカードは10個のマナクリスタルを獲得している場合に強力な効果を発揮します。全体として“メック”と“サイエンス”をテーマにしています。
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――「博士のメカメカ大作戦」の中でお2人のお気に入りはどのカードでしょうか。
ネーグル:「博士のメカメカ大作戦」には、各ヒーローにレジェンドカードがあります。中でもウォリアーのレジェンドカードはヒーローカード“ドクター・ブーム”。ヒーローパワーがとても面白く、これが私のお気に入りのカードです。
ウォーレン:一番のお気に入りは、まだ公開されていないカードです。公開されたカードの中で言うなら、“マイラの不安定元素”ですね。実装される初めての“レジェンド呪文”。これからどんな作戦が現れるのか、楽しみにしています。
――「博士のメカメカ大作戦」の世界観は以前の拡張「ゴブリンvsノーム」に近いものですが、関連はありますか。
ウォーレン:もともと“ドクター・ブーム”が「ゴブリンvsノーム」のキャラクターであるなど、非常に近い部分はあります。ただ、前回は“爆弾”、今回は“サイエンス”をメインテーマに据えているという違いがあります。
ネーグル:その違いを全面に押し出したものとなっており、例えば各ヒーローが“生物学”、“天文学”といった研究所を担当しているなど、様々なタイプの科学にフォーカスしています。
――「ゴブリンvsノーム」のカードは魅力的でしたが、「博士のメカメカ大作戦」での復刻はありますか。
ウォーレン:今回収録されるカードは全て新規のカードで、「ゴブリンvsノーム」の復刻カードはありません。ただし、参考にしたカードはあるので知っていれば嬉しい、ニヤッとできるようなものはあると思います。
――“ドクター・ブーム”は過去にも登場したキャラクターですが、改めて取り上げたのはどういった経緯があってのことでしょう。
ウォーレン:今回は“サイエンス”中心の拡張版を作りたかったのですが、どんなキャラクターと組み合わせるかという段階で“ドクター・ブーム”が候補に挙がりました。彼は『World of Warcraft』ではそこまで有名ではないキャラクターでしたが、『ハースストーン』ではその悪名高いカードとして猛威を振るい、コミュニティでも人気です。ヴィランとして面白い、ということもポイントの1つです。
――トレイラーでは、新カードのうち1枚ヒーローカードのようなものが確認できますが、それはどういったカードなのでしょう。
ウォーレン:ウォーリアのカード、“狂気の天才ドクター・ブーム”です。面白いヒーローパワーを持っています。
――なぜ“狂気の天才ドクター・ブーム”をウォーリア限定のヒーローにしたのでしょうか。
ウォーレン氏:1つ目の理由としては、“ドクター・ブーム”はジャイアントロボットに乗っていますし、大きな銃を持っていて印象がウォーリアに寄っていること。もう1つは、「ゴブリンvsノーム」の“ドクター・ブーム”ではメタが崩れてしまったこともあり、バランスを考慮した結果です。
――少々話題は変わりますが、今年に入ってHamilton Chu氏とBen Brode氏の退社がありましたが、その前後で体制の変化はありましたか。
ウォーレン:現在、『ハースストーン』の制作チームには優秀な人材が多数在籍しており、2人がいないことによる不安はありません。例えば、新しいメカニクスについては別のチームがコミュニティに対して発表・解説を行っています。
――“超電磁”について詳しく教えてください。
ネーグル: “超電磁”はメックのミニオンを組み合わせて、能力を足し算して強化することができます。単純な足し算ですので、ボーナスなどはなく、対象はメックのみ。1度組み合わせると分離はできません。
――新しいメカニクスが追加されますが、どういった環境の変化を想定していますか。
ウォーレン:まだまだメカニクスがどのように活用されるのかは想像できません。“超電磁”については、“挑発”や“生命吸収”、“聖なる盾”との組み合わせなど、エンドゲームにどう作用していくのか。“生物学プロジェクト”は相手にも有利な効果、それをどうやって上手く利用するのか。もちろん、相手のデッキがZooだったら気をつけた方がいいですよね。“オメガ”のカードはレイトゲームでは非常に強力ですが、安いコストそのままであっても“挑発”が使えるなど使い道は多いです。
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――“オメガ”シリーズは10マナクリスタルを条件にしていますが、“マナ加速”を持っているドルイドが極端に強化されてしまうという懸念があります。その辺りのバランスはどのように取っているのでしょうか。
ウォーレン:現在、ニュートラルの“オメガ・ディフェンダー”が公開されていますが、ドルイドが強くなりすぎてしまうという心配はありません。これから、ドルイド以外のクラスで使える強力な“オメガ”カードが公開されていきます。社内でも実際に様々なデッキを試して問題がないか確認しています。
――初心者や復帰をする人に対してのアピールポイントはありますか。
ネーグル氏初心者に対しては、“サイエンス”という親しみやすいテーマをアピールポイントにしています。印象が強く、魅力的な“ドクター・ブーム”を好きになってもらう自信があります。
ウォーレン:“サイエンス”、“巨大ロボット”など、全体的にコミカルですよね。今回のソロモード“パズル研究所”など、『ハースストーン』をプレイしたことのないプレイヤーでも楽しめるはずです。
――最後に、楽しみにしている日本のプレイヤーに一言お願いします。
ネーグル氏:日本のプレイヤー特有の作戦なども出てくるかもしれませんし、これからどんなプレイが展開されるのかという期待と共に、リアクションやメタの変化を楽しみにしています。
『ハースストーン』最新拡張「博士のメカメカ大作戦」は、8月8日より配信予定です。