
一部従業員による架空買取などの不正行為が明らかになり、決算発表が遅れていたブックオフグループホールディングスが10月15日に通期決算を発表しました。
2024年5月期(2023年6月1日~2024年5月31日)は1割の増収、2割の営業増益と足元の業績は堅調そのもの。不正行為による営業利益への影響は、6,800万円の減少に留まりました。ただし、特別調査費用等引当金繰入額5億5,000万円の計上などにより、純利益へは6億1,800万円の減少要因となっています。
純利益は前期の4割減となったものの、決算発表後も株価は安定的に推移しています。不正の影響が限定的だったことが背景の一つにあるでしょう。
市場が2桁増で拡大するトレーディングカードゲーム人気にあやかる
2024年5月期の売上高は前期比9.6%増の1,116億円、営業利益は同18.4%増の30億円でした。2025年5月期の売上高は前期比7.5%増の1,200億円、営業利益は同14.7%増の35億円を予想しています。ブックオフはコロナ禍を迎える前の2019年3月期(2021年に決算月を3月から5月に変更)の営業利益率は1.9%でした。2024年5月期は2.7%。稼ぐ力が上がっています。

※決算短信より筆者作成
ブックオフは本やゲーム、DVDなどを扱う「BOOKOFF」のほか、アパレルも扱う「BOOKOFF PLUS」、スポーツ用品や貴金属なども取りそろえる大型複合店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」を中心に展開中。特に大型の複合店に力を入れており、2024年4月に1,000坪もの売り場面積を持つ「BOOKOFF SUPER BAZAAR」甲府貢川店を出店しています。ブックオフの中部エリアでは売り場面積トップ3に入る規模。総合リサイクル店へと変貌を遂げ、業績を拡大しているのです。
それに伴って売上構成比率も大きく変化しました。

※「FACT BOOK 2024」より筆者作成
本とゲームを含むソフトメディアの2カテゴリーは、2019年3月期には全体の6割以上を占めていました。2024年5月期は4割ほど。急速に伸長しているのがトレカ・ホビーです。2019年3月期は6.1%に過ぎませんでしたが、2024年5月期は20.1%でした。