気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Andrés Borghi氏開発、PC向けに10月22日に正式リリースされたホラー格闘ゲーム『The Black Heart』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、計6人(?)のホラーキャラクターたちが戦う個人開発の2D格闘ゲーム。「Final」と呼ばれるクリーチャーは、もう一つの世界をも創り出すほどの力を持つ心臓を持っており、それをめぐって6人のクリーチャーたちが争うというストーリー。日本語には対応していませんが、呪子(Noroko)という日本のキャラクターも登場します。
『The Black Heart』は、1,010円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Andrésアルゼンチン出身の39歳のAndrésです。私は映画監督であり、ライターでもあります。私の一番好きなゲームは『サイレントヒル2』で、この作品は後のホラーゲームすべてに影響を与えた作品だと思っています。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Andrés実は本作は元々ゲームではなく、ただのキャラクターたちの集まりでした。私は格闘ゲームが自由に作れるM.U.G.E.Nエンジン上でキャラクターたちを作っていたのです。多くの人がこのエンジンを使って有名な格闘ゲーム、例えば『ストリートファイターII』と『モータルコンバット』を混ぜ合わせたりし、不可能なはずの「リュウ」vs. 「リュー・カン」のような戦いを実現していました。私はこのエンジンの本当のポテンシャルを目にする事ができましたので、自分でキャラクターたちを作ろうと決意したのです。すでに6人のキャラクターが出来上がっていたので、彼らを全員集め、一本のゲームにしてしまおうと思いました。こうして本作のアイデアが生まれたのです。
――本作の特徴を教えてください。
Andrés本作一番の特徴は、格闘ゲームとホラーをミックスさせている点だと思います。この組み合わせは過去にもほんの数回しかないでしょう。一番有名なものだとカプコンの『ヴァンパイア』シリーズがありますね。本作のもう一つの特徴は、奥深いストーリーです。キャラクターたちのストーリーは全6章の物語の中で交差し、とても興味深い物語となっていますよ。
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Andrés本作のターゲットは、格闘ゲームをプレイする人と格闘ゲームをプレイしながらも毎回ありがちなストーリーに飽きてしまった人たちでしょう。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Andrés本作は多くのものから影響を受けています。主に影響を受けたのは『ヴァンパイア』シリーズですが、映画や本からも影響を受けています。例えば、呪子は2000年代の日本のホラー映画である「呪怨」「リング」「回路」からインスパイアされています。このキャラクターのアクションは、日本の物語に登場するお菊や雪女伝説、そして数多くの妖怪からも影響を受けているのです。私はジャパニーズホラーの大ファンですので、日本の方が本作をプレイし、特に呪子を見てどう思うか、とても楽しみです。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Andrés ぜひ日本語に対応させたいと思っています。まずは私が使っているゲームエンジンが欧州以外の言語に対応しているか確認しなければいけませんが、もし可能であればぜひ前に進めていきたいと思います。もし有志翻訳をしていただける方がいらっしゃいましたら、喜んで採用させていただきます。ぜひメールでお問い合わせください。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Andrésパンデミックによる開発への影響はそれほどありませんでした。むしろ、あらゆる活動が停止したため、自宅で作業をする時間が増えたと言えるでしょう。もしパンデミックがなければ、本作の開発にはもっと時間がかかっていたと思います。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Andrésもちろんです。配信も動画も大丈夫です。ぜひ見させていただきたいですね。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Andrés日本文化は本作を作る上でとても貴重な存在でしたので、日本の皆さんに感謝申し上げます。日本の影響なしでは、呪子というキャラクターは誕生できませんでしたし、ゲーム自体も大きく異なっていたでしょう。また近いうちに日本を訪れ、皆さんの素晴らしい国を満喫したいと思っています。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。