ゲームエイジ総研は、ゲーマーのメタバースに対する認知や体験がどのように変化してきているかの調査結果を発表しました。
2021年にFacebook社がMetaに社名を変更したことで一躍知れわたる言葉となった「メタバース」。現実とは異なる仮想空間で自分自身を表現し、新しいアイデンティティを築くことができる仮想空間を意味する言葉です。
ゲームエイジ総研では2021年7月と2022年2月にもメタバースに関する調査を行っていますが。ゲーマーにとってメタバースの認知度は上がってるものの、実際に体験したことがある人はほとんど増えていないという調査結果が出ていました。三度目となる今回の調査では、どのように変化しているでしょうか。
調査結果サマリー
ゲーマーの「メタバース」の認知は大きく増加
→ゲーマーの71.8%が「メタバース」というワードを聞いたことがある
→2021年7月の調査では4.6%
認知度は大きく増加したが、実際に体験した人はいまだ少数
→認知者の5.6%がメタバースを体験したことがある
→2021年7月の調査では認知者の4人に1人が体験したが、2022年2月以降は横ばい
メタバースに求めるものは「最新技術」と「現実ではできない体験」
→最新技術を求める層が26.5%
→「現実にはないファンタジーな世界」は23.7%、「旅行した感覚になれること」が22.2%
利用データ
調査対象:何らかのゲームをプレイしている全国15~59歳の男女
サンプル数:2,880
調査時期:2023年3月
調査手法:インターネット調査
「メタバース」の認知は大きく増加し、71.8%に
今回の調査では「メタバース」というワードを聞いたことがあると答えたゲーマーは全体の71.8%でした。2021年7月の調査では認知が4.6%、2022年2月の調査では32.1%でしたので、メタバースに関する認知度は飛躍的に上昇したといえるでしょう。【グラフ1】
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地上波のテレビや、雑誌、書籍、ネットニュースなど、さまざまなメディアで「メタバース」が取り上げられることで、認知が広がったものと考えられます。
実際に体験したことがある人は認知者の5.6%
メタバースを実際に体験したことがあると答えた人は、認知者の5.6%でした。
2021年7月の調査では認知者の20.7%が体験していましたが、2022年2月の調査と今回の調査はともに約6%程度となっており、認知は広がっているものの体験するには至らない人が多くを占めています。【グラフ2】
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認知が大きくなったことから体験者の実数は増えていると考えられますが、認知した多くの人が積極的に体験するほどの高い普及状況にはなっていないのが現状のようです。
最新技術が使われているメタバースに興味がある人は26.5%
どのような体験ができるメタバースを利用してみたいかを聞いたところ、もっとも多かったのは「最新技術が使われている世界」で26.5%でした。新しい技術から生まれるゲームに常に慣れ親しんでいるだけに、最新技術に強い関心があるのがうかがえます。
続いて、23.7%が「実際にはないファンタジーな世界」と回答しました。
「バーチャルでしか体験できないような、非現実的な自分に出会える空間の実現(31歳男性)」や、「リアルとはかけ離れた世界(54歳女性)」といったように、現実ではできない体験ができるメタバースに興味を持っているのはゲーマーならではといえそうです。
さらに、22.2%が「国内・海外旅行に行った感覚になる(世界)」と回答しており、「世界一周の旅が体験したい(15歳女性)」、「世界旅行をリアルに体験できそう(17歳女性)」など、海外旅行のような体験をしてみたいという意見も見られました。
一方で、「商売・ビジネスができる(世界)」と答えたのは8.0%に留まり、ゲーマーはNFTやブロックチェーン技術を使った"稼げるメタバース"にはあまり興味を持っていないことがわかりました。【グラフ3】
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今後メタバースに期待することとしては「手軽に体験できるメタバースなら触れてみたい」と答えた人も多く、「手軽に、簡単に誰もが楽しめるようになればいいなと思います(29歳女性)」や、「必要な機材が安く手に入るようになってほしい(39歳男性)」などの意見が挙げられたことから、"体験するのは準備が必要で大変"というイメージが伴うようです。
今回の調査で、ゲーマーの間で「メタバース」の認知度は大きく上昇しているものの、実際に触れるまでには至らない人がいまだ多く存在することがわかりました。しかし、機会があれば体験したいと考えている人も少なくないようです。
スマートフォンで簡単にメタバース体験ができるサービスもありますが、情報が十分に届いていなかったり、触れるきっかけがなかったり、機材への初期投資が障壁になったりと、さまざまな要因で体験に至っていないことが考えられます。
誰もが気軽に体験できる仕組みや環境作りとともに、それらの情報をしっかりと届け、体験へと導くことがメタバース市場を拡大する重要なポイントとなる…とゲームエイジ総研はまとめました。