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2023年5月13日・14日の2日間にわたって幕張メッセにて開催された「DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA」は、人気インフルエンサー同士のeスポーツ大会や音楽ライブなど、まさにZ世代が注目するイベントでした。
その中でも注目を集めていたのは「BYOCエリア」。今回、e-Sports Business.jpでは、参加者たちの生の声を取材しました。
BYOCとは
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BYOCとは、「Bring Your Own Computer / 自分のPCを持って集まろう」の略であり、PCやゲーム機を自分たちで会場に持ち寄り、1人1人が自由なスタイルでゲームに没頭する楽しみ方です。
今回、日本に初上陸した「DreamHack」は、スウェーデンで1994年にスタートした交流イベントであり、(スタート当時は)BYOCを主なコンテンツとしていました。
「DreamHack Japan 2023」で設けられたBYOCエリアは、インターネット環境は勿論のこと、デスク・椅子・電源を完備しています。機材のレンタルもできるので、手ぶらでの参加も問題ありません。またエリア内では、様々なゲームタイトルイベントが開催されており、参加者自身もエリア内でイベントを開催できます。
国内では、同様に自分のデバイスを持ち寄って交流する、LANパーティという言葉として良く知られており、C4 LANをはじめとする、LANパーティはコアゲーマーを中心に親しまれています。
BYOCエリアの参加者にインタビュー
実際に自分のデバイスを持ち込んだ人たちはどれくらいいたのでしょうか。またBYOCの魅力とは何なのか訊いてみました。
同じ場所にいて違うゲームをできるのがBYOCの魅力
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──ご自身のPCを持参されてますね。ところで机の上の光っている剣のオブジェもご自身が持ってきたものでしょうか。
持ってきました。これは『DOOM』というゲームの中で出てくるアイテムのフィギュアです。電飾がついていてカッコいいので気に入っています。
自宅では飾ってませんが、こういうLANパーティの時は光らせています。
──ということはLANパーティーにはよく参加されていて、その時に持ってきているのでしょうか。
そうですね。「俺の席だよ」みたいな感じで置いています。
──BYOCの魅力を教えてください。
この中にいる人って「ゲームが嫌い」って人いないんです。
そんな人たちが同じ場所に集まって、みんな自分がやりたいゲームをするっていうのが、僕はすごく魅力だと思っていて、隣の席の方とかにちょっと声をかけても、みんな心よく対応してくれます。
そういうソーシャルな交流ができる点が、BYOCの魅力だと思います。
──1か所に集まっているのに、別々のゲームをやっているというのが、ポイントですね。みんなで集まったら「同じゲームをプレイしないと」と思ってしまいますが、その必要もないということなんですね。
そうですね。僕はそこが魅力だと思います。別のゲームをプレイすることで「なんか隣の人が面白そうなゲームやってるなぁ、ちょっと話しかけてみよう!」ということが起きます。
流行ってるゲームをやるのもまた良いですし、全然誰もやってないようなゲームを一人で黙々とやるのも良いと思います。
夜行バスで参戦!休憩場所としても利用できる
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──これはご自身のPCでしょうか。
いえ、レンタルサービスを利用しています。
──こういったイベントはよく参加されるのでしょうか。
今回が初めてで、こういう大きいイベントも初めて来たのでワクワクしながら楽しみにしていました。めちゃめちゃ楽しんでます。
新潟から深夜の夜行バスに乗ったんですけどちょっと楽しみすぎてバスで全然寝れませんでした。
こういうイベントに来るのが初めてなのでめちゃめちゃ人いるし、ネット上でしか見てなかった有名配信者の方が目の前にいたり、さっきもトークショーとか見て「本当に実在するんだな」って思いました。
──いまはモニターでeスポーツ試合を観戦されていますが、今日はどのように過ごされましたか?。
さっきまでBYOCエリアの『VALORANT』の対戦会に参加して、休憩がてら配信を見ています。
──BYOCは自分のパソコンを持ってきて遊ぶためのものだと思っていましたが、こうやって休憩にも使えるですね。
そうですね、ここは飲食もできるので自分用のスペースのように使ってます。
──BYOCの魅力を教えてください。
他の人と気軽にゲームで交流できることです。さっきもこのエリアにいる人たちと『VALORANT』の対戦をやりました。これはハマっちゃいます。次もあったらまた来たいです。
日本に上陸するのを楽しみにしていた!親子で参戦
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──お二人で来られたのでしょうか。
姉妹の家族とも話し合って、みんなで一緒にきました。「DreamHackが日本に来る」という情報を知って、楽しみにしていました。
私は東京在住なのですが、姉妹は福岡在住なので、この会場に集まりました。
──これらのPCやゲームはご自身のものでしょうか。
そうですね。夫のゲーミングPCを持ってきてまして、あとはニンテンドースイッチを持ってきました。
──今回のような、自分のPCやゲーム機を持ち寄るイベントに参加されたことはありますか。
今回が初めてです。福岡では頻繁にこういったイベントがあるようで、福岡の子たちは以前にもこういったイベントに参加したことがあるようです。
──初めて参加されてみて、いかがでしょうか。
みんなで集まってゲームする一体感や雰囲気が楽しいです!
自宅で遊ぶとそのゲームだけの楽しさになってしまいますが、直接話しながらできるとより楽しくなります。会場の開放感とか、周りにいろんな人がいる中でプレーするのはいつもと違う気分でゲームができますね。
自作PCを持ち込み!自宅のゲーミング空間を完全に再現
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──こういったLANパーティのようなイベントにはよく参加されますか?それにしても、自作のデスクトップPCやマイクまで持参されていて、かなりの重装備で来られてますね。
LANパーティは初めてですね。今回、知り合いが車を出してくれたので、機材を自宅から持ってきました。
──BYOCのコンセプト通り、完全に自宅のゲーミング環境を再現されているんですね。参加は初めてとのことですが、いかがでしょうか。
めっちゃ楽しくて、マジで来てよかったです。さっきもこのエリアの人たちと一緒にゲームで対戦をして盛り上がりました。
プレイしたゲームは『VALORANT』なのですが、今日ここで知り合った方とその場で「一緒にやろうぜ」ってなって、運営の方が大会を案内してくれたので参加しました。
自宅でひとりでやっている『VALORANT』と全然違う体験になりました。普段はオンラインで見知らぬ人か友達としかやらないので、同じ会場にいる人たちとその場で集まってやるっていうのは新鮮で面白かったですね。
ゲーム中に味方だった人が近くに座っていたりして、ゲームが終わったら顔を合わせて「お疲れ様でした!」って話したりしてました。
──いつもと同じゲームをやってるようで、全く違うゲームをやってるような気分になります。
そうですね。こういう場所に来てる人たちって、すごく良い人たちで、普段だったら終わったら「ああ、負けちゃった」って終わるんですけど、終わってからも、実際に顔合わせて「いやーこうでしたね」と交流できるのは普段はできない経験なので良かったです。
またこういうBYOCとかLANパーティがあったら、ぜひ参加したいと思っています!
まとめ「7割近くが自分のデバイスを持ち込んだ」
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BYOCエリアの受付担当者に話を伺ったところ「BYOCエリアを利用する人の7割近くが、自分のPCを持参している」とのことです。
日本国内において、BYOCはまだまだ一般的な遊び方ではなく、一部のコアゲーマーだけに親しまれる交流スタイルといえます。
ただ、2020年~2022年の巣ごもり需要により、自宅にゲーミング空間を構築した人も多いでしょう。「自宅で構築した秘密基地を、他の人とシェアしたい」という欲求は、多くの人たちの中に芽生え始めているかもしれません。
コロナ禍を経て生まれた新たなニーズとして、今後、国内で開催される大規模なBYOCイベント、およびLANパーティは要チェックすべきでしょう。