マイクロソフトによるActivision Blizzard買収についてアメリカで裁判が行われていた件ですが、勝訴したマイクロソフトに対しFTC(連邦取引委員会)は控訴する姿勢をみせています。
マイクロソフト対FTC、マイクロソフトが勝利を掴む
突然の買収発表からはやくも一年半が経過し、いまだアメリカやイギリスで膠着状態となっている現状のなか、先日ついにマイクロソフトとFTCの裁判による判決が下され、マイクロソフトが勝訴となりました。
本件で判決を下したジャクリーン・スコット・コーリー判事はこの買収はテック業界において史上最大規模であるとしつつ、マイクロソフトが『コール オブ デューティ』シリーズタイトルをPlayStationやニンテンドースイッチといったハードでも提供するという姿勢を指摘し、この買収合併によって市場の競争力が低下するというFTCの主張については「勝訴する可能性がない」との判断を示しました。
さらにはこの買収によって、『CoD』をはじめとしたアクティビジョンのタイトルに消費者がアクセスする機会が増えることを示していると結論づけ、米連邦地裁は買収を認め、FTCの差し止め請求を棄却する方針となりました。
これに対してフィル・スペンサー氏は「有利な判決を迅速に下してくれた」と裁判所に感謝するツイートをし、より多くのデバイスでさまざまなタイトルが遊べるようになることも続くツイートにてアピールしています。
結果的に振り出しに…買収期限も目前のなか、次の一手は
事態は大きく進展するかと思われた矢先、FTCは本件の判決に対して控訴すること発表。結果的に、アメリカでの買収闘争は振り出しに戻ってしまった形となります。今後の審理では、FTCがマイクロソフトや連邦裁判所に対して「合併によって業界の競争力が低下してしまう」という有力な証拠を果たして提出できるのか、という部分が注目のポイントとなるでしょう。
しかし、それよりも気にしなければいけないのはマイクロソフトによるアクティビジョンの買収期限です。買収期限は7月18日と定められており、アメリカでの控訴の審理や判決が18日より前に行われるかは不明です。英国でのCMAとの裁判もまだ残っており、こちらは一時停止で合意しているものの、マイクロソフトが提示する条件の変更や、それに伴う再審査なども考慮すると間に合いそうもありません。
業界を騒がせ続けている買収問題と法廷闘争ですが、7月18日の買収期限を迎えることでひとまずの区切りを迎えることでしょう。しかしその後、マイクロソフトが買収条件の変更を行う可能性もあり、次なる一手も注目となります。一体いつまで続くんだ…。