ソニー・インタラクティブエンタテインメントが新しくリリースするアクセシビリティデバイス「Access コントローラー」のメディア先行体験会が、先日行われました。「Access コントローラー」とは、身体にハードルを持つ方々(障がい者)の方々に向けゲームがプレイしやすくなるように開発されたアクセシビリティデバイスです。
本コントローラーの特徴は、従来のアクセシビリティデバイスと違い、あくまで外部接続に頼らなくても「Access コントローラー」単体でゲームプレイが可能ということ(Logicool製の外部接続デバイスで拡張も可能です)。その導入までの容易さで、今まで様々な理由でゲームを遊ぶことができなかった方々に向けて“ゲームプレイへの敷居の低さ”を提供します。
本稿では、発表会で行われたプレゼン、インタビューだけではなく筆者が実際にAccess コントローラーを試遊してみた感触までをレポ。「Play Has No Limits」の理念で製作された本デバイスを紹介していきます。
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◆Access コントローラーはまさしく「Play Has No Limits」!敷居の低いアクセシビリティデバイス
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プレゼンでは、グローバル商品企画部に所属する池ノ谷 優一郎氏、堀越 朝氏によってAccess コントローラー開発の経緯が語られました。
始めにSIEの「アクセシビリティ」への取り組みとして『The Last of Us Part II』が全盲のプレイヤーでも遊べるようになったことや、視覚、聴覚面のカバーを紹介しつつ、今回“ゲーム機においてコントローラーが担うアクセシビリティ”へ切り込んだことは重要なものと述べます。
ボタンやスティックを位置や力のかけ方に至るまで自在にカスタマイズできるアクセシビリティデバイスであるため、豊富なプロファイル設定やボタンの配置まで個々人にあわせたカスタマイズが可能。「押す力が弱い」「片腕が動かない」など、身体にハードルをかかえる人でも「これのみで始めてのゲームができる」コントローラーとなります。会場にはLogicool製の外部接続デバイスも用意されており、これらを接続することでさらなる拡張が可能です。
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5年前より「Project Leonardo」として開始された本企画は開発過程にて、障がいのあるプレイヤーコミュニティや専門コンサルタントの協力を得ることにより、「障害は人それぞれであり、まったく同じ状況のプレイヤーはいないということ」「障害によっては時間によって良くなったり悪くなったり、動的な要素を含んでいるということ」というテーマを認識し、三つの要素を重視したそうです。
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一つ目は、障がいの程度によっては持つという行為がハードルになりえるため「コントローラーを持つ必要がない」デバイスにすること。二つ目は「ボタンの小ささや密集具合によって、上手く目的のボタンを押しづらい」という問題の解消、三つ目は「スティックの高さ、幅、向き、位置が固定されているため、動かしづらい」という点です。
Access コントローラーでは前述の問題を解消したことに加えて、ボタン配置を個々人のスタイルにあった配置へと変更できるように変更が可能です。また、スティックでもデッドゾーンの設定を変更したりと感度を細かく変更できるように変わりました。指ではなく腕や顔で操作するケースも考えられるということで、それに寄ったシステムと言えるでしょう。
また、プレゼンでは「いま障害を持つ人」にのみ向けて作られたコントローラーではなく、誰においても加齢や不慮の事故などの様々な要因で「障がいを感じる状態」になりえるとも続けられました。
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Access コントローラー最大の特徴は「外部接続品の補助がなくとも、使いやすい」という点です。これはゲームを初体験することへの敷居、諦めていたゲームを再開することへの重要な補助となるでしょう。
従来とは全く操作方法の異なるコントローラーとして、プレゼンではデータを基に“新しいコントローラーに慣れる時間”として7日から10日が必要とも語られます。Access コントローラーにチャレンジしてみる方は前述の日数を目安にしてみてはどうでしょうか。
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発表会には開発に協力した日本支援技術協会で理事を務める田代洋章氏、テクノツール株式会社の干場慎也氏も登壇しプレゼンを行いました。株式会社 ePARA 所属の畠山駿也氏も含めて、本企画に協力してこられた方々です。
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田代氏はプレゼンでまず誰もがデジタルの恩恵を受けられる環境作りのため、デジタルアクセシビリティの理解度を深める活動を行っていると、日本支援技術協会の活動を紹介しました。
そして「障がい」とは個人的な特性ではなく、置かれた環境との相互作用で起こる“状態”だと続けます。つまり周囲の変化により「障がいを感じなくなる状況」を作ることが可能ということ。同時にそれは誰もが事故や病気、さらには加齢によって誰しもが「障がいを感じる状況」になりえるということでもあります。
たとえばコロナ禍で在宅ワークを強いられた健常者も「外に出ることができない」という障がいを抱えていたともいえるでしょう。これら「障がいというものは障碍者の方のみに起こることではない」ことをプレゼンで延べ、今回のプロジェクトは障がい者とされる方々のみではなく様々な人にとって大きな意義があるとされました。
実際に、いま健常な人でも老化によってゲームが遊びづらくなるという事態は想定すべきでしょう。生涯現役のゲーマーであるためにもデジタルアクセシビリティへの関心を高めていくことは非常に大事なことかもしれません。
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干場氏はご自身がハードルを抱えられている視点から「かなりの疲労感を抑えてプレイすることが可能になった」と操作感を語られました。「ゲームに遊びたいけど触れられない」と躓いてきた方が、本コントローラーによって“ゲームという楽しみ”の扉を開き、新たな世界や関係性を作っていけるのではないかと言われました。
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続いて登壇された畠山氏は先天性の筋ジストロフィーとのことで、ゲームによって友人とつながってきたご自身のゲームに関する思い出を語られました。一時期は症状の進行によってゲームから離れたこともあるようですが、現在はゲームの世界に復帰し、株式会社 ePARAに勤務されています。
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ご自身がプレイされるとき、やはりハードルである「操作」について効率的な解決を体感されたとされます。事前のセットアップでは「(ゲーム世界への)冒険の準備をしている感覚」を覚えられたとのこと。アクセシビリティそのものに関して重要なのは「遊びの限界を作らないこと」だとし、今まで遊ぶことができなかったゲームにも挑戦できるようになると喜ばれていたのが印象的でした。
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本コントローラーを実際に筆者が開封の段階から試遊してみるとまず、製作過程で特に重視され工夫を凝らしたという「片手で開けられるパッケージ」の便利さに驚かされます。実際の使用を想定して片手のみでチャレンジしても簡単に開封が可能で、ハードルがある方でも“開ける楽しみ”が味わえられるモノとなっていましたね。
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マグネットでボタンが固定されているため、ボタンの種類を入れ替える時も力を入れずにセットアップが可能です。種類によって力の入れやすさが変わるボタンに、思わず健常者としてのゲームプレイにも役立ってしまうのではないかと思います。従来のコントローラーを無意識に使っていると気付けなかった「ボタンの形による押しやすさの違い」がことさらに実感できます。
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さて、PS5に接続した後、プロファイルで各ボタンを当てていくのですが、こちらでは「初めてゲームをプレイする人間にわかりやすい表記」が印象的でした。この設定でうまくゲームプレイができるのかと悩んだ際には、いつでもプロファイルからボタンマッピングを微調整していくことができます。
使用スタイルによってはAccess コントローラーについているプロファイルの切り替えボタンによって、ゲーム中の多くのシーンに切り替えつつ対応することも可能でしょう。
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2台連結させたり、外部接続機器を付ければさらなるボタン数の拡張は可能です。しかしAccess コントローラー単体でも『グランツーリスモ7』や『ストリートファイター6』は十二分にプレイできたと感じました。
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また、2台のAccessコントローラーを利用して『Horizon Forbidden West』『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』『The Last of Us Part I』『Stray』を試遊。ジョイスティックをあえて手首で動かしてみましたが、始めは操作感に戸惑いつつも次第に自由に使えるようになっていく感覚を覚えます。
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プレゼンでも述べられた「“新しいコントローラーに慣れる時間”として7日から10日が必要」ということを加味しつつ、デッドゾーンの調整などを含めていけば親指以外でも自由な操作が可能となり、様々なハードルを背負っていても楽にゲームを楽しむことができるようになるのではないでしょうか。
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会場では干場慎也氏、畠山駿也氏が実際にAccess コントローラー使用してゲームをプレイ。各々のプロファイルや使用法に適したプレイを見せてくれました。
生涯現役ゲーマーであるためにもアクセシビリティの向上は必須!【関係者インタビュー】
インタビューではプレゼンでも登壇されたグローバル商品企画部1課に所属する池ノ谷 優一郎氏(ハードウェア担当)、そしてグローバル商品企画部 2 課 堀越 朝氏(ユーザーインターフェース担当)にお話を伺うことができました。そして別枠として、グローバル商品企画部の部長である若井 宏美氏にも答えていただけることに。さらには日本支援技術協会 理事 田代洋章氏、ePARA 畠山駿也氏へのインタビューも掲載していますので、ぜひご覧ください。
グローバル商品企画部 池ノ谷 優一郎氏&堀越 朝氏インタビュー
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――Access コントローラーはその拡張性から個人使用のみならず、多くの場所で使用できる可能性があると考えています。これから先はどの様な展開を考えていますか?
池ノ谷 優一郎氏(以下、池ノ谷):Access コントローラーは通常のコントローラーで遊ぶことが難しい方が、自らボタンなどを遊びやすくカスタマイズしていくものです。ですので今後も継続的にユーザーの声を聞いて、そこで生まれた課題をしっかり解決していきたいですね。
――PS本体に続いてコントローラーのアクセシビリティに取り組むことになった経緯を教えてください。
池ノ谷:Access コントローラーは構想を含めると5年ほどかけて完成したものです。PS5本体のアクセシビリティ設定などから発展していって、やっとご提案できたかなと。「皆さんが使いやすいものって何だろう」と長年考え続けていました。
堀越 朝氏(以下、 堀越):PS4の時代から、アクセシビリティに関しては「文字の読み上げ機能」などで取り組んでいました。視覚や聴覚などでのサポートは行ってきたのですが、今回の物理的なデバイスへの取り組みは初めてとなります。一人でも多くの方がゲームを楽しんでいただけることを祈っています。
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――開発過程において当事者となるユーザーやコミュニティとはどのようにかかわってきたのでしょうか。
堀越:「Project Leonardo」の時代から、構想を含めて専門家コンサルタントの協力を経ていました。ユーザーに関してはアメリカや欧州、そしてもちろん日本の方々の意見を聞いていましたね。実際にユーザーテストとして、数週間ほど障害のあるユーザーのご自宅に送って試していただくということもしています。そういったテストに参加してくださった方のご意見などを取り込んでいるというのが、「コミュニティとの繋がり」になるでしょうね。
――本コントローラーを企画され、今こうやって実現されるまでの開発期間、変わらず大事にされた理念などはありますか。
堀越:プレイステーションがグローバル全体で大事にしている信念のひとつが「Play Has No Limits」、すべてのお客様に革新的なゲーム体験をお届けするというのがそもそものミッションになります。この理念のもと障害のあるプレイヤーの声を聞き、どのように課題を感じられていてどう改善できるのかと、チーム一同考えています。デザイナーやプログラマーなども含めて当事者の方々を向いて開発してきましたね。
――企画チームはこれまでどのようなキャリアを持っているメンバーなのでしょうか。
堀越:商品企画、今でいうとプロダクトマネージャーとして活動している人間のキャリアは本当に人それぞれで、プレイステーションでは日本・アメリカに多くのプロダクトマネージャーが在籍しています。数は少ないですが新卒から採用される方もいますし、私などで言うとカメラ事業部の方で働いていましたので、別の事業部から来たという人間もいます。そしてもちろん大学でしっかりとアクセシビリティを学んだメンバーもいまして、そういった面からも協力してもらっています。
池ノ谷:私事ですが、私は元々ハードウェア設計をしていました。
堀越:そうですね。文系職だけでなくてエンジニアから商品企画を始めているというケースもあります。
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――今後どのような課題が生まれるとお考えでしょうか?
池ノ谷:今回、「ボタンを押すのが難しい」「コントローラーを持つのが難しい」といった方々に向けてご提案しましたが、私たちも100%すべての方々のニーズに応えられたものではないというのは理解しています。ですので発売後も継続的に皆様の声を聴いて、課題を取り除いていきたいですね。
――ゲームをしてみたかったけど今までプレイできなかった方も遊べるようになるコントローラーだと感じています。そういった「初めてのゲーム体験」をされる方々に向けてコメントをいただきたいです。
堀越:あらためて、プレイステーションは「Play Has No Limits」で努力しています。その一つの成果としてAccess コントローラーが実現しましたので、今まで「プレイステーションがやりたい! けれどコントローラーが使えないんだよね」という方がこの商品で少しでも興味を持っていただければ幸いですし、実際に使っていただいて新しいゲーム体験をしてもらえればと思っています。
グローバル商品企画部 部長 若井 宏美氏インタビュー
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――ソフトウェアにおけるアクセシビリティは、どのようなプロセスを経て作り上げていくのでしょうか。
若井 宏美氏(以下、若井):通常の商品企画と比べて特別変わったプロセスを組み込んでいるわけではありません。今回アクセシビリティという点で少し違うところがあるとするならば、アイディア、技術、検証を行うフェーズ(POC)には時間をかけているといえます。
実際のユーザーテストの回数を大目に行ったりですとか、検証が難しい場合は専門家や当事者の方のご意見やフィードバックをいただいています。実際にそれらを使う方にとって有益になるように、という所に時間をかけていますね。
――デバイスの性能を活かすためにソフトウェア側でどのような行為をされたのでしょうか。
若井:プロファイルの設定はかなり自由度が高い設計を実現できているのですが、「形として新しくなおかつ自由度が高い」という組み合わせは本来わかりづらいモノだと思います。なので今回一つ一つのステップで迷わずに設計を行えるというのは、今回力を入れたところです。
タイトルによって頻繁に使うボタンなどは違いますので、どうしても一つのプロファイル設定で全てのゲームが遊べるという万能な設定は難しいので、今回、PS5には30個のプロファイルを入れられますし、コントローラーでは3つをいつでも切り替え可能です。
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――PS5、あるいはビデオゲーム全般でのアクセシビリティはどのようにとらえられていますか?
若井:ゲームを楽しむということが、数多くのエンターテイメントでもひとつの大きなジャンルとして認識されていると思います。日々ゲームをしている我々が年をとって「小さい字が読めなくなる」「早い操作ができなくなる」となってゲームができなくなるのは、自分も本当に悲しいことです。
あらゆるプレイヤーの皆さん、そして“未来の自分”が制約なくプレイステーションを遊んでいける世界を実現するのが、アクセシビリティに対応していく意義だと思っています。
――若井さまのキャリアや、世界中のどういう所とコミュニケーションを取っていらっしゃったか教えていただければ幸いです。
若井:私自身はアクセシビリティの専門分野というわけではなく、2005年に入社してから商品企画に携わって「PSP」「PSVita」「PS3」「PS4」「PS5」とずっと担当してきました。今は全体的なところを見る立ち位置になっているので、今回のコントローラーもマネージャーとして進めています。
今回はそういう意味ではグローバルに協力して出来上がった商品です。最初はUSのメンバーからのアイディアで始まっています。とはいえすごく新しい商品ですので、繰り返しになりますがPOCを何度も行い、商品になるのではないかという段階で、東京のハードウェアに詳しいメンバーがいますので、連携して進めてきました。
私がUSにいたころ、アクセシビリティ対応の法規制が進んでいた時期でもあり、そちら側でサポートしていた背景もあるので、今回「とても特別なことをした」というわけではなく「新しいPSユーザーを増やしたい」という当たり前のことをしてきただけですね。
――現在、課題として想定できるのは「すぐにCMやタイアップをガンガンうって広めていくというものではない」ことだと思います。そういった問題と……Access コントローラーの自由度から『グランツーリスモ』などで「車の運転そのもの」につなげられそうとも考えられました。そういった点を含めた展望を教えていただきたいです。
若井:ガツっとプロモーションしてCM打つというよりは「必要な方に必要なユースケースとともに伝えていきたい」と考えていますので、そういった意味では世の中で必要とされている方が手に取ると“コミュニティの力”で広がるのではないでしょうか。我々としても長い目で見て間口を広げたいと思っています。PC対応などは今後のチャレンジにおける一つですね。
「日本支援技術協会」理事 田代洋章氏インタビュー
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――田代さまからみたAccessコントローラーへのインプレッションをお教えください。
田代洋章氏(以下、 田代):障害を感じる状態というのは誰しも起こりえることだと思っています。それをSIEさんがちゃんととらえて多様な人たちがプレイできる環境を作るという覚悟を感じられました。
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――アクセシビリティが広がることで社会に期待できることはありますか?
田代:環境整備が大事だと思っています。環境を含めたゲームアクセシビリティが重要で、それが一般的になれば誰しも同じフィールドで競えるようになるわけですよね。「障碍者向けのフィールド」ではなく「インクルーシブなフィールド」になることが重要だと思っています。そういった考えや環境整備が、教育や就労に広がっていくことを期待しますね。
ビデオゲームって時間や場所に縛られないじゃないですか。ネット対戦になると障害の有無は関係なくなりますので、オリンピック/パラリンピックのように分けなくてもいい分野になるんじゃないかなと思っています。
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――他社が出しているアクセシビリティ製品と比べて、Accessコントローラーの特徴はどう言ったものになるでしょうか。
田代:Accessコントローラーは、インターフェイス的な製品ではなくて本体そのものがアクセシブルな設計になっているのがとても特徴的ですね。
――初めからゲームができないと思ってしまっている障碍者の方もいると思います。そういった潜在的なプレイヤーについてどう考えていらっしゃるかお聞きできれば幸いです。
田代:私が今まで出会ってきた方で、ゲームを諦めていた方は非常に多いです。Accessコントローラーのようなアクセシビリティ機器にたどり着いた方だけが遊べている現状があるので……これは早く打破したいなと思っています。
――アクセシビリティの観点から、ゲーム業界への言及などがあればお願いします。
田代:“障害を感じる状態”というのは誰にとっても起こりえることで、多様な人たちがプレイするということを想定していくことが重要でしょう。皆が共に遊べる環境を整えて欲しいですね。SONYさんでもきっと、すでにあるのでしょうがゲームアクセシビリティを向上させるガイドラインが今後必要になってくるのではないでしょうか。
「株式会社 ePARA」畠山駿也氏インタビュー
――実際にAccessコントローラーに触れてみていかがだったでしょうか。
畠山駿也氏(以下、畠山氏):僕自身、「指で押す力」が強くないというのもあって「ボタンをうまく押せるかどうか」を最も危惧していました。しかしAccessコントローラーに付属されたボタンのひとつに指を引く力でボタンを押せるものがあって「引っ掛けて引く動作」が使えましたね。外部入力装置だけにボタン操作を頼ることなく、元々あるものでゲームをプレイできるというのが嬉しかったです。
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――Access コントローラーと従来のアクセシビリティデバイスの違いについて教えてください。
畠山氏:従来のアクセシビリティコントローラーですと外部入力装置をまず使わなくてはいけないのですが、このコントローラーはもともとスティックがついていてボタンもあって、それを様々にカスタマイズすることができる。顎を使ってのスティック操作であったり、たとえば足で操作する人もいるはずです。
一個のコントローラーに外部装置を接続するのではなく、Access コントローラー自体で行える。今までアクセシブルなデバイスを使ってゲームをしたことがないという方が、一番最初に手に取りやすい製品なのではないでしょうか。
――近年、ビデオゲームのアクセシビリティが大きく注目を感じることになったと思います。畠山さんはどう感じられていますか?
畠山氏:ゲームタイトルごとでのアクセシビリティの取り組みが活発になってきていて嬉しく思っています。僕は『ストリートファイター』シリーズをやっているのですが、前作(『ストリートファイター5』)では一つのキャラクターを使うことしかできませんでした。ですので『ストリートファイター6』発売前は、今まで使えていたキャラが使えなくなったらどうしようと悩んでいました。
しかし『ストリートファイター6』ではモダンモードが登場して、全部のキャラを使うことができるように変わりました。それだけですごく嬉しいなと感じています。
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――今後エンタメ分野に求めていることはなんでしょうか。
畠山氏:僕がエンタメ文化に求めていることは誰でも参加しやすい、遊びやすいことなのかなと思います。たとえばeスポーツでもただプロが戦うだけじゃなくて一般的なユーザーがゲームで交友する内容だったり障害を持ったユーザーもバリアフリーでゲームができるような業界であったらいいですね。
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――Access コントローラーの登場で、今後期待されていることを教えてください。
畠山氏:Access コントローラーに期待することは、僕自身がこれを使って様々なゲームに挑戦することはもちろんですが、今までゲームに触れられなかったり、一度諦めてしまったという方が新しいゲーム体験ができるきっかけになれればということです。
Access コントローラーは今までゲームに触れてこなかった人が「初めてゲームをプレイする」ためのデバイスとして優れていると思います。多くの方が新しくゲーム体験をできたら嬉しいです。
――今回は、ありがとうございました!
今回の発表会では、あらためてアクセシビリティというものが障がいを持つ方だけでなく、老化や不慮の事故などを考え「すべてのゲーマー」に必要な存在だと感じさせられました。そして、ゲームを遊ぶことを諦めてしまう、そもそも自分にゲームは難しいと感じる人にこそチェックしてほしい「Access コントローラー」……ぜひ、周りにハードルを抱えた人がいるのなら勧めてみてはどうでしょうか。
「Access コントローラー」公式サイト「Access コントローラー」は2023年12月6日発売予定で価格は12,980円(税込)。現在、各販売店で予約受付中です。