
ソニーグループのゲーム&ネットワークサービス分野(以下ゲーム事業)が好調です。
2025年3月期3Q単体(2024年10月1日~2024年12月31日)のゲーム事業は16%の増収、37%の営業増益でした。営業利益においては、為替の影響が下押し要因になっています。それにも関わらず、大幅な増益を達成しました。
代表執行役社長COO兼CFOの十時裕樹氏は決算説明会にて、年末商戦前に新たなコンソールがリリースされ、「私たちの予想よりもかなり強いモメンタム(勢い)があった」と発言しました。ソニーは2024年11月7日にPlayStation 5 Proを発売しています。販売が好調だったことが、好業績を後押ししている様子が伝わります。
事業再編で金融分野のスピンオフに挑む2025年
ソニーグループの2025年3月期第3四半期累計期間(2024年4月1日~2025年3月31日)の売上高は前年同期間比8.2%増の10兆3,268億円、営業利益は同22.9%増の1兆2,035億円でした。足元の好調ぶりを受け、通期業績予想を上方修正しています。売上高は従来予想比4%増の13兆2,000億円、営業利益は2%増の1兆3,350億円としました。
ただし、ソニーは完全子会社で金融事業を展開するソニーフィナンシャルグループのスピンオフを計画しています。ソニーグループが保有するソニーフィナンシャルグループの株式80%を現物配当として株主に分配し、持株比率を20%未満にするというもの。2025年10月にスピンオフを実行し、その後ソニーフィナンシャルグループを上場させる計画です。
金融部門を切り放した場合のソニーの2025年3月期の通期売上予想は11兆9,000億円、営業利益は1兆1,900億円となります。ソニーは注力領域であるゲーム、音楽、映画などのエンタテインメント領域と半導体事業の成長に経営資源を集中する姿勢を強く押し出しました。
事業の過度な多角化は、コングロマリット・ディスカウントを生じさせる契機となります。コングロマリット・ディスカウントとは、事業が複合化することで本来持っている企業価値が過小評価される現象のこと。日立製作所や東芝、ゼネラル・エレクトリックなどの巨大企業がコングロマリット・ディスカウントの解消に動いたことは有名。ソニーもその流れに追随しました。ゲームを含むエンタメ領域に注力することは、ファンにとって喜ばしいことでしょう。