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Unityは、サンフランシスコで現地時間3月18日から22日にかけて開催されている「Game Developers Conference 2024(GDC)」において「Unity ゲーミングレポート 2024」を公開しました。
レポートはゲームスタジオへのヒアリングを元に「AIツールの採用によるゲーム制作の効率化」、「収益化アプローチの多様化」、「マルチプラットフォーム戦略の選択」、「マルチプレイヤーゲームの選択」、「エンゲージメントの拡大」という5つのテーマに触れられています。
本稿では、AIツールの活用に触れた項目のサマリーをお届けします。なお、本レポートは近日中にUnityから日本語版が公開される予定です。
AIツール活用で制作が効率化―ただし導入時の時間的コストを捻出できないスタジオも
ゲームが発売されるまでの平均的な開発期間は、2022年には218日でしたが2023年には304日に増加しました。AIツールは多くのゲームスタジオが開発サイクルの効率化をもたらすものとして関心を寄せており、Unityの調査ではスタジオの71%がAIツールの導入で業務や納期が改善されたと回答しています。
しかし、一般的に効率化のために新たなツールを模索・導入することは課題も伴われます。調査したスタジオの40%は新たな技術を試す際に発生するR&Dの期間の長さに苦慮しており、37%が(既存の)システムやツールとの統合・管理に難儀しています。
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AIツールの活用手段に関しては46%が「キャラクターアニメーションの改善」と回答。それ以外の用途としてはほぼ同率で「コード作成のスピードアップ」、「アートワークやゲームレベルの生成」、「テストプレイの自動化」などが挙げられています。
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アセットやNPCの作成の効率化に大きく貢献
優れたゲームプレイのサイクルを模索するには、本格的な開発に入る前のプロトタイプ制作やコンセプトの構築をどれだけ充実させられるかが重要です。調査では、AIツールを使用している開発者の68%がプロトタイピングやコンセプト作りを加速させることができたと回答しています。2022年にはゲームのプロトタイプ構築が3カ月未満で済むスタジオは85%でしたが、2023年の調査では96%になりました。
AIツールの主な用途としては前述したプロトタイピングとコンセプティングに加えアセット作成やワールド構築が挙げられ、ワールド構築と回答した開発者の64%はNPCの作成に活用しています。ゲームのジャンルはAR/VRゲームがトップの29%を占め、僅差でオンラインのマルチプレイヤーゲーム、カジュアルゲーム、オープンワールド、RPGと続きます。
レポートでは、AIツールを導入する際の課題についても言及されています。最大の障害となっているのは「(新たな技術を取り入れるための)時間やノウハウの不足」で、スタジオの38%がこれを理由にAIツールの導入に消極的な姿勢を示しました。また、AIツールの導入をためらう開発者の43%もそのための時間を取れないことを理由に挙げています。