セミナーでは、ソフトバンクモバイルのiPhone事業推進室シニアエヴァンジェリストの中山五輪男氏が、iPhoneをビジネスシーンで活用するための様々な取り組みやアプリケーションの紹介を行いました。
挨拶に立ったCRI・ミドルウェアの鈴木久司社長は、元々はCSKグループのCSK総合研究所(CSK Research Institute=CRI)からスタートした同社の歴史を振り返りながら「大川功会長は当時4000人はいた従業員全員にIBMのPCを配って、それによって多くの物が生まれたと思います。CRIは幅(朝徳、iPhone & SmartPhone 推進室長)が、孤軍奮闘していたけど、イマイチ流れができない、ということで全員にiPhoneを配布することに決めました」とコメント。この取り組みが上手くいくかどうかは分からないが、皆が持てば、それぞれの立場で様々なアイデアが生まれてくるのは間違いないと話しました。
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CRI・ミドルウェア 鈴木社長 |
中山氏は青山学院大学に500台のiPhoneを納入した立役者で、ソフトバンクモバイルで、唯一の肩書"シニアエヴァンジェリスト"としてiPhoneの普及活動を行っています。実はCRIは日本でiPhoneを全社導入した最初の企業だということですが、AIGが100台購入し、将来的には4300人の全営業職員に配布する計画なほか、著名なコンサルティングファームPwCも導入を決めているなど、ビジネスユースの拡大が続いています。
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ソフトバンクモバイル 中山氏 |
CRIはゲーム開発向けのミドルウェアを提供する1プラットフォームとして全社的にiPhoneを研究しようという目的だけでなく、社内インフラとしてiPhoneを活用してビジネスを進化させることも視野に入れているようです。中山氏からはiPhoneを使った様々な先進的な取り組みや有益なアプリケーションが紹介されました。
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3GSの新機能 デジタルコンパス | 組み合わせでプレゼンツールに早変わり |
まずはiPhoneの基本的な機能の説明から入った中村氏。カメラに触れ、動画であれば32GBに16時間分が撮影できると説明。意外に知られていないオートフォーカス機能などを紹介しました。中山氏は、手元で使えるコンパクトサイズのLED照明を使った小型プロジェクターも紹介。このような機器を使えばビジネスにも簡単に利用できるとコメントしました。また3GSからの新機能としては音声コントロールを紹介。「孫正義 に 電話」と喋りかけると本当に繋がってしまうというハプニング(?)もありました。
ビジネスに利用できるアプリの紹介では、名刺整理ソフトのデータをiPhoneで持ち運ぶことのできる「BC Folder」、喋った内容をメールに書いてくれる「音声認識メール」、起動している人の位置情報を共有する「friend mapper」、VPNで他のコンピューターに接続できる「VPN Lite」といったものが紹介されました(いずれも日本製)。
iPhoneを業務に活用している例では、ソフトバンクショップで店員が携帯電話の在庫を確認できるアプリケーションを利用している事や、ソフトバンクホークスの選手に配られたアプリケーションでは、プロ野球の全試合、全打席を動画でチェックできるということが紹介されました。これを使って選手は自分の苦手な相手を知ったり、自分のフォームをチェックしたりするそうです。
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また、「Air Strip」というアプリケーションを使って、新生児の心拍数を常にチェックできるようにしている海外の病院の例や、青山学院大学が導入している「e-very study」では英語の学習などがiPhone上で可能になっていること、京都で複数社の提携で行われている、お花の見ごろをチェックできる「花なび」といった使用例が紹介されました。以下のように、iPhoneは多様なビジネスで活用できる可能性があります。また、今後は医療分野や運送業(GPS利用)で更なる発展が期待できるのではないかと中山氏は述べていました。
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また、今後話題になるであろう技術の例としては、拡張現実(AR)が紹介され、それを利用したアプリケーション「セカイカメラ」が取り上げられました。これはカメラを使って映し出した現実世界の上に、GPS連動でデータを重ねるというものです。ゲームの世界でも注目されていて、可能性を感じさせます。
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1時間程度のセミナーでしたが、様々な事例が紹介されるたびに参加者からは驚きや関心するような声が上がりました。単なる携帯電話という枠を超えて、多くの可能性を見せるiPhone。今後の動向からも目が離せなくなりそうです。