
2024年7月9日、東京・秋葉原UDXビルでゲーム・アプリの開発者向けツール/ミドルウェアの総合イベント「Game Tools & Middleware Forum 2024(GTMF2024)」が開催されました。本稿では「CRIWARE & OPTPiX 最新アップデート ~立体音響 / C# / Godot Engine~」のレポートをお届けします。
本セッションではCRI・ミドルウェアの久田友海氏が登壇し、世界で8,000以上のゲームソフトやスマホアプリの開発に採用されているミドルウェア「CRIWARE」と「OPTPiX」の最新情報が紹介されました。
「Sound xR」であらゆるユーザーに仮想立体音響を届ける
「CRI ADX®」は統合型のサウンドミドルウェアです。ゲームエンジンに搭載されているオーディオ機能とはワークフローが異なり、音声ファイルを専用ツールで独自データに変換します。
データに再生タイミング・音量・エフェクトなど、音の鳴らし方に関するメタデータを付与できるようになっており、ゲームエンジンからは再生を要求するだけでデザイン通りの音が鳴ります。
ゲームエンジンとしてもメジャーなUnityやUnreal Engineにももちろん対応済みで、「CRIWARE SDK for Unreal Engine」では、音源を複数ポジションで再生するマルチポジショニング、指定した面や空間で音源を再生するエリアサウンドボリュームなど、AAAタイトルやオープンワールドゲームの制作を意識した設定が用意されています。

そんな「CRI ADX」に標準搭載された新機能として「Sound xR」が紹介されました。これはヤマハが提供するイヤホン/ヘッドホン向けの仮想立体音響ソリューションで、全てのユーザーが高精細な立体音響を体験できるようになります。7.1.4ch以上のサラウンド出力や、Object-Based-Audioといった、方向感のあるサウンド表現が可能です。


「CRI ADX」との組み合わせによる一番のメリットは追加の対応コストがかからないことです。通常通りのサウンド実装を行ったうえで、CRI ADXの設定ひとつでSound xRに対応できます。

久田氏は「AAAではないタイトルでも“とりあえず”で立体音響を採用できます」と強みを強調しました。モノラルで収録した音源でも立体音響にできるほか、ハードウェアではなくソフトウェアで制御することでユーザーの環境によって音の鳴り方が左右されることがなく、制作者が制作現場で聴いた音をそのままユーザーに届けられるとのことです。
