*SAP(Social Application Provider)の略。ソーシャルゲームを提供している会社のことを指す業界用語。サップと読む。
ちなみに「ヤバゲー」というのはSAP同士で親しみと皮肉をこめて呼び合ってた「Yahoo!!モバゲー」の俗称のようなものだったのですが、発表会の日、DeNAの南場社長とYahoo!JAPANの井上社長が公認したので以降「Yahoo!!モバゲー」の事を「ヤバゲー」と称することに。
サービス詳細は他に譲るとして結論から言うと「ヤバゲー」は有りです。大アリです。
私自身、モバイル専業で来たのでPC進出は考えていなかったのですが、今回のヤバゲー発表会を聞いてかなり進出マインドになった次第にあります。
モバイルでのソーシャルゲームはレッドオーシャン化(競争激化)して来てますが、PCに関してはブルーオーシャン(競争以前)なのでPCでのウェブゲーム初トライの我々であってもまだまだ勝負できるのではないか、と思った所です。
今回の「ヤバゲー」については3つの点で評価しています。 国内ナンバーワンのYahoo!が母体である事に加え、今回のオープン化についてはモバゲーが主導しているという事。加えて、世界のソーシャルゲームの対象デバイスはPCである事から次のステージが見える事にあります。
◆まず1点目。PCウェブ領域最強のYahoo!ですから言わずもがなでしょうが発表された数字をまとめますと・・・
「Yahoo!JAPAN」のポテンシャル
・1カ月5211万人、ネット視聴率83%(ネットレイティングス調べ)
・利用者の80%がYahoo!ウォレットに登録
・760万IDがYahoo!プレミアム会員
・1日のコマース購入(オークション、ショッピング」)25億円/日
・毎月約7100万人が来店
とのこと。
「Yahoo!ゲーム」にあっては
・約600万人/月間訪問数
・主婦が半分、半分が30代〜40代
と発表されていました。1日のコマース購入25億円・・・。何ソレって感じであきれて聞いておりましたが、やはり最強は違います。
◆2点目。今回、特に私が評価した点はモバゲー主導であるという点。
PCウェブの世界では敵なしのアノYahoo!ですからYahoo!主導であって当然なのですが、ここは潔く実績のあるモバゲーサイドに託した点は天晴れです。
我々SAPとしてもモバゲー主導だから安心して乗れる部分が大いにあります。やはりポータルビジネスとソーシャルゲームビジネスは異質なものなので実績のある「モバゲー」主導は成功のための必須条件なんですね。
◆3点目。世界のソーシャルプラットフォームはデスクトップPC。
DeNA南場社長のプレゼンによれば海外のソーシャルゲームの利用層は
・アメリカ:76%がデスクトップPC、45%がノートPC、 モバイルは8%。
・イギリス:76%がデスクトップPC、 45%がノートPC。
中国もPCが中心で、一億人のソーシャルユーザーのうち、PCが9000万人、モバイルが1000万人。
ユーザー層にいたっては海外30代(PC中心)と言う事のようです。その上で、国内にあっては10代〜20代のユーザー層でモバイル中心という傾向があることから国内のPCにも必ず市場はあるはず・・・という想いを語ってました。
*データは発表会プレゼン時の発表数字。数字が100%になっていないのは重複なんでしょうね。
■異業種参入にチャンス
世界のソーシャルゲーム市場は2013年までに4000億円。1000億円は2010年に超えると言われている巨大な市場です。
またモバゲーはすでに米国においてiPhone版モバゲーである「Mini-Nation」をリリースしており、スマートフォンへの取り組みの足がかりとしても意味は有るでしょう。
ここからが重要な点。
PCでのウェブサービスであろうが、モバイルのコンテンツ販売であろうがネットビジネスのポイントはユーザー獲得に有ることは自明の理。 加えて、ユーザー獲得、つまりユーザーリーチのポイントは 「ポータル ⇒ サーチエンジン ⇒SNS」 という様にトレンドが移り変って来ている事も周知の事実。
であるならば、と、人が集まるソーシャルネットワーク上で自社ビジネスとの接点を考える事は必然の事であると考えるのです。
とはいえ、何から手をつけていいかという迷いも有るかと思いますのでゲーム業界の1つのモデルを提示します。
◆「デベロッパー」と「パブリッシャー」
ゲーム業界には「デベロッパー」と「パブリッシャー」という役割分担と立ち位置の分類があります。 これは家庭用ゲーム機をリリースする場合、巨大な開発費と時間に加え、販売チャネルやプロモーション努力が必要なことから、小資本であるが企画力、開発力に優れる開発会社、すなわちデベロッパーと、資本力を背景に資金負担とリスク負担を行うパブリッシャーの区分けが行われていました。
以前は「委託開発費+販売ロイヤリティ」で行われることが多かったそうですが、最近はもっぱら「デベロッパー」は下請け屋になっていると自嘲的に言う開発会社も多いですね。
しかしソーシャルゲームでは、家庭用ゲーム機のような莫大な資本も必要なければ販売チャネルも要らないので、デベロッパーとパブリッシャーを兼ねるベンチャーがほとんどです。(ていうかIT系からの参入組が多いのでそんな意識も無いでしょうが・・・)
なので、新規参入でソーシャルゲームやアプリの開発実績が無い、というのであればPC向けソーシャルゲームを企画・開発する会社は多く存在するので依託開発を行い、マーケティングやプロモーションに徹する参入方法も大いに有ると考えます。これは一例ですが・・・
外部リンクも可能なので自社サービスの拡充や、ソーシャルゲームだけじゃないソーシャルアプリの市場性など未開の市場ですからアイデアの余地は山のようにあると考えています。 正直、ゲーム会社である弊社としても未だに試行錯誤している状況です。PCとなれば尚の事、相応の努力が必要になると考えています。
参考例として、マザーズに上場しているドリコム社などはこのパターンで試行錯誤を繰り返し異業種参入組でありながら、いち早くソーシャルゲームトレンドをキャッチアップした手腕は見事なものでした。
マーケティングとリスク負担。SAPとして、いわんやパブリッシャーとして挑戦する価値のある、大きな市場が目の前に開けていきます。
出版や新聞、広告、TVなど既存のスター業種が構造不況に直面し、この10年の花形であったモバイルコンテンツビジネスまでも右肩下がりの時代に突入していくこれから。 今回の「ヤバゲー」は、新しいデバイス、新しいプラットフォーム、そして新しいサービスに取り組むにはいいタイミングとターゲットだと思います。 さぁ、あなたならどうする!
日々の業界動向やNEWSはTwitterで!http://twitter.com/katz7777
参考までに6月11日IVSにてDeNA守安氏がプレゼンした「ヤバゲー」の説明資料を置いておきます。斜め取りでスイマセン。
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DeNA社のプラットフォーム展開イメージ=すでにここまでのポートフォリオが形になっているとは凄い!横軸で国、縦軸でデバイス。このことをX-Border : X-Device と称しておりました。ちなみに日本・PCのゾーンがY!モバゲー=ヤバゲーです。
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今年はMiniNation(海外向けiPhone版モバゲー)とヤバゲーの成功が2大テーマなのだとか。MiniNationについてはこちらが詳しいhttp://jp.techcrunch.com/archives/20100511japanese-mobile-gaming-giant-dena-goes-global-with-iphone-social-network-minination/
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マネタイズサポート=3:7の比率はモバゲーと同じ。
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取り組みスタンスは3つ。
1. PC/モバイル連動ゲーム
2. PC独立型ゲーム
3. モバイル独立型ゲーム(既存のモバゲー)
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Yahoo!としても最大級の送客を行う。とコミットメントしてました。頼もしい!
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インバイト(招待)、フィード(通知)。ソーシャルゲームならではの部分ですね。
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アイテム課金だけでなく広告のマネタイズもあるようです。
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スケジュール=なかなかタイトなスケジュールです(汗。
*ちなみにベータ版リリースの9月21日は守安氏の誕生日との事。偶然らしいです(笑