最初の講演を行ったのはSIG-Glocalizationの正世話人で、架け橋ゲームズにてローカライゼーション・ディレクターを務める矢澤竜太氏。Sony Computer Entertainmentの「Return on Investing in a Robust Localization database(堅牢なローカリデータベースの費用対効果)」とBlizzard Entertainmentの「Implementing Blizzard's Localization Vision in Real Time(Blizzardのローカリビジョンをリアルタイムに実現するために)」の2つのセッションについて報告を行いました。
Sony Computer Entertainment Europeは自社の『inFAMOUS 2』と『Resistance: Burning Skies』について、いくつかのタスクとそこにかかった時間を比較したデータを提示しました。『inFAMOUS 2』はまだローカリゼーションツールを作成したばかりの頃のタイトルで、一方の『Resistance: Burning Skies』はそこからツールの改善、最適化がされたあとのタイトルです。例えばダウンロード再生からストリーム再生へと変えた音声チェックでは、465時間かかっていたものが62時間と大幅な時間短縮に成功しており、80時間を要していたアセット検証に至ってはたったの24分と驚異的な改善を見せています。2つのプロジェクトを比較すると17.5人週の作業を削減がなされ、結果的に$65,320のコスト削減効果があっただろうと結論づけました。
ツール採用にあたって重要となるのが、プロジェクトごとにツールを変えたり、調整したりせず、基本的にそのままの状態で使えるように標準化することです。例えば『StarCraft 2』から採用したBlizzard Entertainmentのツールは、現在では『World of Warcraft』をはじめとする複数のタイトルで使われているそうで、標準化が進んでいます。さらに標準化を強く推し進めているのがSony Computer Entertainmentです。同社のツールは自社での使用にとどまらず、3rdパーティへの提供も行われており、かなり汎用性の高いツールになっていることが伺えます。