―――4年連続の受賞おめでとうございます。
本間: ありがとうございます。今回も最優秀賞をとれてよかったです。毎年同じコメントになりますが、うちはゲーム専用のクラウドなので、絶対に落とすわけにはいかないという決意で1年間がんばっています。今年も1月から新機能ラッシュです。
刀根: 去年の4月にクラウド基盤にオープンソースソフトウェア「OpenStack」を採用し、低価格でありながら高機能・高品質な新しい「GMOアプリクラウド」の提供を開始しました。新しいサービスのため、総合満足度で最優秀賞を取れるか不安もありましたが、お客様からの支持を得られて良かったです。
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左: 本間氏、右: 刀根氏
―――クラウド基板を代えたのはポイントですか?
本間: そうですね。ゲーム業界のトレンド変化と共にお客様のインフラに求める要件も多様化してきたので、そこにうまく適合する狙いがありました。
―――どういった機能ですか?
本間: この1-2年でリアルタイムバトルが盛り上がってきましたよね。そのため、これまでは1日単位でしか提供していなかったサービスを時間単位でできるようにしました。また、予てから多くご要望をいただいていたブロックストレージ、オブジェクトストレージ、API、フェイルオーバー機能も実装しました。このほか12月末にmBaaSを提供し始めまして・・・。これがもっと早ければ、結果にも影響があったのではないかと思うんですが。
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現在βサービスを提供しているGMO mBaaS powered by backendless
―――mBaaSについて、もう少し概要を教えてください。
本間: 米国のBackendless Corporationが提供しているmBaaSを、パートナーの株式会社アクロディアと国内向けにカスタマイズして、GMOアプリクラウドのオプションサービスとして提供をはじめました。今はβ版で数社様に提供をはじめていて、フィードバックをいただきながら改善をかけています。できれば4月くらいに正式リリースにもっていきたいですね。ちょうどUnityのSDKが提供されるようになるので、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社と株式会社アクロディアと弊社で勉強会を3月3日に開催する予定です。
※勉強会の詳細、参加申込はこちらからご確認いただけます。
―――要望は多かったのですか?
本間: はい、発表後もお客様から「使ってみたい」という反響がすごくありました。
―――強みはなんですか?
本間: 国内データセンターの信頼性・パフォーマンス、日本語ドキュメント・サポート体制の充実、定番機能を網羅したフルパッケージプラン、豊富なSDKといったところでしょうか。GMOアプリクラウドと一緒に使っていただければ、ご請求もまとめさせていただきます。
―――GMOアプリクラウドの今後の方向性について教えてください。
本間: 引き続き、「ゲーム・アプリ開発向け」というコンセプトの元、最新技術をどんどん取り込んでサービスを磨き上げ、きっちりマーケティングを施していきます。というのもオブジェクトストレージの利用が当初、思いのほか促進されなかったんです。実は我々のサービスはほとんどがコントロールパネルから操作できるのですが、オブジェクトストレージだけはAPIからしか使用できないんですね。
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―――存在自体を気づかれていなかった?
本間: その懸念がありました。それでオブジェクトストレージの利点について、メルマガやブログなどで頻繁に発信していきました。バックアップやアーカイブなど長期的に蓄積し、アクセスの頻度が低いデータを保存する用途に向いている、などといったことです。mysqldumpのサンプルスクリプトなど具体的なものも公開していきました。その結果利用の促進が上がっていきました。今年はそのへんをさらに強化していきたいですね。性能面・機能面で最優秀賞がとれなかった遠因かなとも思っています。
刀根:ご要望として、コントロールパネルのUI強化があります。そこはきちんと改善して、お客様の満足度を上げていきたいですね。また、このように現状のサービスを強化していく一方で、世の中の流れに応じて新たなターゲットを見据えたサービスも出していきたいと考えています。
―――クラウドサービス自体が機能が潤沢になっている一方で、業界全体で煮詰まってきている印象があります。
本間:そうでしょうか?これからもっと盛り上がっていくと思いますよ。ただ、中にはゲームには必要のない機能もあるので、そこはきちんとゲーム向けに絞り込んでサービス展開していきたいと思っています。他社様はパブリッククラウド、弊社はゲーム専用ということで、そもそもコンセプト自体が差別化されていますので。
刀根: 結局は同じことの繰り返しだと思います。ゲーム向けという点は決まっているので、いかに業界の人に求められるサービスを作っていくか、変化に対応させていくか、そこだけだと思います。
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―――海外部門でも引き続き最優秀賞となりました。
本間: 韓国では去年の7月から現地に事業所を構えて、日本企業の韓国市場進出支援だけでなく、韓国現地のゲームディベロッパーに対しても営業を進めています。また、今年はG STARのB2Bコーナーへの出展も行いました。現地に人をおくことで、ネット上だけでは得られない、生の声が仕入れられるようになったのは大きいですね。韓国企業が日本に進出したいという要望もあるので、これまでお付き合いのある日本側の企業様と一緒にパブリッシャーを探したりと、今までにない取り組みもはじめています。
刀根: 海外部門が最優秀賞を取ったことに対して、あれって思われる企業さんが多いかもしれませんね。データセンターのロケーションの数という意味では、海外の大手クラウド事業者様には敵いません。、ただ、サービスの品質という点においては、負けていませんので、ロケーションは異なるものの、サポートを含めてすべてのサービスを日本のクオリティで受けられる点やゲームのパブリッシング・ローカライズ・法令対応などをひっくるめて、海外配信サポートのソリューションを提供している点が評価されたのかなと思います。
本間: 日本企業の海外進出という意味では、特にアジア圏が盛んです。中国、韓国、インドネシアなど様々相談を受けることがありますが、最近は台湾も良く耳にします。GMOアプリクラウドでは台湾にデータセンターを用意しておりませんが、日本のGMOアプリクラウドから台湾向けに配信してもレイテンシはほとんど気になりません。データセンターの選択については、米国、韓国にもご用意があるので、配信地域に応じてご相談いただければと思います。
―――逆に気になっている地域はありますか?
本間: 東~東南アジア全域を攻めていきたいという話になると、シンガポールにデータセンターがあると便利だという声は良く聞きます。
刀根: ニーズがあればデータセンターを建てていきたいのは事実です。また、GMOインターネットグループ全体の話しになりますが、グローバルブランド「Z.com」を始動して世界展開を本格化しています。GMOアプリクラウドに限らず、グループ全体として、これから進出する地域は増えていくでしょうね。
―――逆に海外企業が日本に進出する際に採用してもらうなどは・・・
本間: はい、そういったことは考えられます。そのためサービスやドキュメントなどのローカライズなども強化しています。海外企業向けにアプリのローカライズなども進めています。たまたま弊社のお客様に、そういったことを専門にされている企業様がいらっしゃって、両社をマッチングさせていただきました。
―――スマホ以外に家庭用ゲームやPCオンラインゲームなどの実績もありますか?
本間: ありますね。ネットにつながってゲームが動く端末であればすべてビジネスチャンスだと思っています。PlayStation Vitaやニンテンドー3DSのオンラインゲームなどでも実績があります。大前提としてゲームに耐えられれば何でもできますので、「AKB48公式サイト」や、「ゆるキャラ グランプリ」など、ゲーム以外の実績も増えていますね。
―――さて、2015年は何をやっていきましょうか?
本間: まだ発表できませんが、新機能追加がいくつも控えています。サービス内容を更に充実させて品質をもっと磨いていきます。Webマーケティングやイベント活動にも精力的に取り組んでいきたいと思っています。
―――mBaaSの方はどういった形で展開していきますか?
本間: 第一弾としてはUnity、次がcocos2d-xのSDK公開が控えています。ゲームに求められる機能はどんどん追加していきます。モバイルアプリはこれからも増え続けますので、実績を積んで定番と言われるようなサービスを目指していきたいですね。
刀根: 開発段階から気軽にGMOアプリクラウドと使ってもらえるように、フリープランから使用できますので、ぜひ試してもらいたいですね。
―――インディや個人開発者は視野に入っていますか?
本間: その窓口になるのがGMO mBaaSかなと思っています。GMO mBaaSは、ゲームに限らずアプリ開発全般を網羅しているので、GMOアプリクラウドだけではなく他の様々なサービスとも一緒に利用いただけるよう独立したサービスにしています。
―――ゲーム業界でも大手だと、mBaaS的な機能は社内のインフラエンジニアに作らせるので、必ずしも必要ない。それよりもシンプルに価格を下げて欲しい、そういった声はありませんか?
本間: mBaaSのような環境を自社で開発・運用するとなると大変だと思いますよ。だからこそ、アプリ開発に集中することができる mBaaS が求められると思っています。単純に価格を下げればそれで良いというものでもないと思います。
刀根: そこはお客様によると思うんですよね。ゲームを作るための選択肢をいろいろ用意して上げるのが一番かなと思います。コストパフォーマンス部門で最優秀賞をとれているのも、やはりゲーム専用に機能を絞っている点があると思いますし。
―――そうなると、大手に加えて中小、またはインディ向けのマーケティング施策が、ますます重要になってきますね。たとえば美雲あんずに続く、新キャラクターが登場したりはしませんか?
本間: なるほど、そこにつながっていきますか。うーん、残念ながら、ないですね。
―――それは残念です。
本間: そのかわりといっては何ですが、このように4年連続で最優秀賞を受賞させていただいた感謝の気持ちをこめて、「Big Thanks 4 youキャンペーン」を開催します。現在、GMOアプリクラウドを使っていただいているお客様を一番大切にして、その上で新規のお客様に対してもマーケティングを行って、5年連続で最優秀賞がとれるように努力していきます。期待してください。
※「Big Thanks 4 youキャンペーン」の詳細はこちらからご確認いただけます。
―――ありがとうございました。
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