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デジカの岩永朝陽氏
デジカは2005年に設立。元々はソフトウェアのeコマース事業が中心で、その中から3年ほど前からValveとの付き合いが始まり、Steam上でのビジネスが拡大していったそうです。同社は昨年8月からSteamのウォレットカードの販売を開始し、日本円での決済が可能になりました。パブリッシングでも多くの企業がデジカを通じてSteam展開を始めていますが、総代理店という立場で独占的に扱っているというわけではないそうです。
岩永氏はまずSteamの現状を報告。現在のアクティブユーザーは約1.25億人、同時接続で1000万人を記録したというのはニュースにもなりました。2014年頃から急速にユーザーを拡大していますが、同氏は「決済が世界16カ国でローカライズされたのが大きいのではないか」と分析しました。元々はコアユーザーが多く、男性比率が82%。RPG、アクション、ストラテジーといったジャンルが好まれますが、ユーザーの拡大と共に好まれるジャンルも多様化が見られるとのこと。米国のスタッフからは「乙女ゲームがきてる」という報告もあるようです。日本ユーザーの占める割合は1-5%程度のようです。
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急速に拡大するSteamプラットフォーム
ユーザーの拡大と同時に提供されるコンテンツも増加しています。Steam Greenlightという仕組みが導入されて、小規模なパブリッシャーでもユーザーからの人気を集めればSteamに提供できるシステムができました。これによってインディーの黄金期が築かれた一方で、一本あたりの売上は低下しているようです。
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コンテンツ量が増大している
■デジタルパブリッシングの本質とは?
デジカはSteam Greenlightを通さずに直接リリースできる立場で、これまでに多くの国産タイトルをSteamでリリースしてきました。『ファントムブレーカー』『クリムゾンクローバー』といったゲームや、ツールですが『RPGツクール』や『コミPO!』といったソフトも人気を集めているようです。岩永氏はこれらの実例から、デジタル販売を成功させるための秘訣を語ってくれました。
デジタル販売とパッケージ販売の違いは様々ありますが、Steamで重要なのは「長いスパンで考えること」「ユーザーの声を聞くこと」のようです。
岩永氏はウェブテクノロジが提供するマンガ制作ツール『コミPO!』のSteam版『Manga Maker ComiPo!』の実際の販売データを示しながら解説。Steamでも「New Release」に掲載される最初の週に販売が集中する傾向があるそうですが、他にも急激に伸びる時期があり、それが年に3回あるサマーセール、フォールセール、ウィンターセールです。この時期は全体的に売上が伸び、『コミPO!』の売上もスパイクしていることが分かります。販売が長期に渡りますので、更新やアップデートをかけるのも重要です。
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『コミPo!』の販売データ
また、ユーザーからの反応は非常に重要です。商品ページにはユーザーからのレビューが投稿できます。このレビューの効果は絶大のようです。特にSteamでは何時間遊んだのかが明示されますので、本当に重要な声が何なのかを知ることが出来ます。『コミPO!』の場合は商品内容と価格のバランスが悪いのではないかと指摘があり、それが重要と考えられるユーザーから多くあったため、改定に踏み切ったそうです。それに合わせて期間限定のセールも行い、すると初動の何倍もの売上があったとか。
Steam内の誘導枠などを獲得するのは非常に難しい(Valveと懇意なデジカでも困難)とのことで、同社ではSteamの外でバズを広げる事に腐心しているようです。例えば何かをプレゼントするようなフックで話題を広げて、それをお土産にSteamでフィーチャーされるように交渉するような事が多いそうです。
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Steamの外でバズを広げる仕掛け
Steamの中でも外でも重要なのはユーザーとの結び付きです。ユーザーはフィードバックをくれるだけでなく、Steam内の友達にゲームを広げてくれるプロモーターにも成り得ます。近年ではクラウドファンディングも広がっているため、資金提供者ですらある場合があります。岩永氏はデジタル販売ではこれまで以上にユーザーとの関係性を構築するのに努力を払わなくてはならないと述べ、講演を締めくくりました。
ちなみにデジカでは英語にローカライズする必要がある場合の費用を除けば、レベニューシェアでSteam向けのパブリッシングを行っているとのことで、重要性を増しているSteamでの展開に興味の方はチェックしてみてください。