
画像最適化ツール「OPTPiX imésta」シリーズの最新版、「OPTPiX ImageStudio 8(以下、ImageStudio 8)」のVer.8.4が2020年5月19日にリリースされました。
今回のアップデートで追加された「テクスチャー超解像」と「ノイズ除去」機能は、画像を高画質に拡大する、機械学習を使用したオープンソース技術を、ウェブテクノロジ独自にカスタマイズした「Clear waifu2x」技術が使用されています。本稿では、テクスチャー超解像・ノイズ除去機能を実装した経緯と、今後の展望を伺いました。
きっかけは、ImageStudio 8の「アンケート機能」から
今回の機能を開発するにいたった経緯は、ImageStudio 8のツール内に設けられている、アンケートからの投稿だったそうです。

今回の機能を搭載するきっかけにもなっています。
「HDリマスタータイトルの開発に従事しています。リマスターの元素材となるアルファチャンネルを持ったテクスチャーを、waifu2xを利用して拡大処理したところ、透明境界部分にノイズが乗ってしまいました。そのため、ムービー素材やゲームの素材として他の素材と重ね合わせた時に、透過部分がおかしなデータになってしまう状態に…。

トーンカーブなどを調整することで、問題が発生したテクスチャーを一括処理する方法を試みましたが、ノイズなのか、意図して作られたアルファチャンネルなのかを判別する方法がなく、結局デザイナー総出で、膨大な時間をかけてレタッチすることになりました。
このお話は、SD世代のゲームハードから、現行のゲームハードへHDリマスターする際に起きたエピソードとか。膨大な時間を割いたというレタッチ作業、世の中が思っているより泥臭いのが『クリエイティブな仕事』ではあるものの、その泥臭い仕事をどうにかするのが、ツールの役目。そんなエピソードから生まれたのが「Clear waifu2x」だったそうです。
『Clear waifu2x』で、超解像は更にキレイに
「waifu2x」をウェブテクノロジが独自に拡張させた「Clear waifu2x」。このClear waifu2xを利用したテクスチャー超解像機能によって、アルファチャンネル付きの画像に、高品質な超解像処理を行うことができるようになり、一般的なwaifu2xでは出るようなノイズがない状態で画像を拡大することができるようになったと、開発者は語ります。

一般的なwaifu2xに比べ、縁の処理が滑らかで自然になっています。
ノイズ除去機能にもClear waifu2xは使われています。デジカメで撮影した画像などでよくある、粒子ノイズや圧縮ノイズが比較的多い画像を拡大する際にノイズを目立たなくすることができるようになったそうです。

ONにした場合の方がノイズのない状態で拡大されています。
ImageStudio 8.4での『テクスチャー超解像』の実行手順
ImageStudio 8のテクスチャー超解像の実行手順は簡単です、と開発者。その言葉のとおり、メニューアイコンにある「テクスチャー超解像(Clear waifu2x)」をクリックし、表示された設定画面から出力サイズやアルファチャンネルの処理を指定して、OKボタンをクリックすると、処理が実行されました。
テクスチャー超解像の出力サイズの指定方法は、画像の寸法、倍率だけでなく、任意の条件を指定して出力することも可能となっています。

画像の寸法、倍率だけでなく、任意の条件を指定しての出力が可能となっています。
アルファチャンネルの処理方法も、アルファチャンネルや輪郭部分の乱れが少なく、バランスのよい多階調アルファ付き画像を生成する「スマート」、元のアルファ階調をなるべく維持できる「キープトーン」、輪郭部分がスマートよりもなめらかになる「スムージング」と、3種類あります。これは、画像の用途に合わせて高品質な拡大処理を行うために用意したそうです。

『Clear waifu2x』は、ドット絵の拡大にも配慮
ドット絵の拡大などで、元画像の色数の少ないドット絵的な雰囲気・ベタ塗り感を残したい場合などは、「元画像の色を可能な限り保持する」にチェックをいれることでなるべく元画像の色味を残すこともできるそうです。

『Clear waifu2x』の今後は?
高画質化を目的として開発されたClear waifu2xですが、開発の途中で画像の劣化を予測する機能のアイデアも出てきたそうです。近い将来のアップデートでは、画像の劣化を予測してピックアップ、クリエイターをサポートする機能が搭載されるかもしれません。
ユーザーの意見から画像最適化の新領域を開いた「OPTPiX ImageStudio 8」
ユーザーの意見がきっかけとなって開発された『Clear waifu2x』技術は、減色機能による画像の画質を落とさずファイルサイズを小さくする「画像最適化」という枠を超えた、新たな領域が開かれたように思えました。
旧世代のゲームハード用タイトルのHDリマスターに代表される、画像リソースの再利用時に発生していたテクスチャーの修正作業を大幅な削減が可能となるこの機能は、クリエイティブの製作などにも貢献できる可能性を大きく秘めています。また、今回アンケートに投稿された意見について、ユーザーに大変感謝しており、今後もユーザーの意見を積極的に取り入れていきたいと話していました。
夏までにMac版も予定している画像最適化ツール「OPTPiX ImageStudio 8」、これからの展開にとても期待しています。
●OPTPiX ImageStudio 8の詳細はこちら!
https://www.webtech.co.jp/imagestudio/
テレワーク用ライセンスを無償提供中
OPTPiX ImageStudio 8テレワーク用ライセンスの無償提供を行っています。この記事内にあるテクスチャー超解像・ノイズ除去機能もご利用いただけますので、この機会にぜひお試しください。
テレワーク用ライセンスのお申し込みページ
開発メンバーを募集中
株式会社ウェブテクノロジでは、『クリエイターを笑顔に』をモットーに、開発メンバーを募集しています。お気軽にご応募ください。株式会社ウェブテクノロジ キャリア採用