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CRI・ミドルウェアはスマートフォン、家庭用・PCゲーム、Webブラウザなど様々なプラットフォーム向けに音声圧縮やリップシンク(台詞と口の動きを合わせる技術)といったサウンドに関する高度な演出を実現するミドルウェアを提供している企業です。
近年では、音響制作で知られるツーファイブや、ゲーム制作会社アールフォース・エンターテインメント、画像最適化ソフトウェア「OPTPiX」を手掛けるウェブテクノロジといった企業のグループ化でさらに事業展開の幅を広げる同社ですが、2021年10月4日よりCRIグループ各社が連携し新しい価値を創造していくことをめざして、オフィスを渋谷インフォスタワー11階に集約。さらに、スタジオを新設しました。本記事では、新スタジオの様子についてお伝えしていきます。
本物の音を知る!ドルビーアトモスに対応した新スタジオ
まず拝見したのは7.1.4chで音響を体験できる、こだわりのスタジオです。
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スピーカーそれぞれを個別に調整でき、多くのコンテンツに採用されている立体音響技術ドルビーアトモスにも完全対応しています。
立体音響に対応するにはまず「本物の音」を知る必要があります。最終的にコンシューマー向けのヘッドホンやテレビ向けスピーカーに最適化する場合でも、開発者が伝えたい本物を知った上でヘッドホンに最適化するのと、本物を知らずに最適化するのでは大きな差があるのです。
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最近はApple Musicも一部の曲をドルビーアトモスに対応させており、「新スタジオのような環境で音をしっかりチェックし、想定する機器に落とし込んでいく。という工程は必要不可欠になっていく」、と案内していただいた株式会社ツーファイブのエンジニア ディレクター太田 将義さんは語ります。
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スピーカーの位置や方向から、壁の木を使った音の拡散まで、細部にまでこだわりを感じる新スタジオ。その計算の緻密さは頭の位置(聴取点)を天井から出ているレーザー光で指定するほどです。内装の制限が厳しいオフィスビルという環境の中で最高の環境が実現されています。
ゲーム開発や音楽系でこうした開発環境を配備している組織はまだまだ少ないなか、CRI・ミドルウェアの新スタジオは業界の最先端と言っても過言ではありません。
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複数人で話し合いつつ調整できるテーブルも完備しています。収容人数は収録ブースに1人、コントロールルームに4人を想定しています
(スタジオの外だしや現在使用できるメーカーの情報の記載に関しては、取材時は調整中との事でした。)
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先に紹介したスタジオを含め3つのスタジオは、箱の中に箱を作りコンクリートで遮音する「浮き床構造」で作られており、外からのノイズが全く入ってきません。また、反響をできるだけ少なくしており、ベストな空間で音声を収録できます。
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基本的には音声収録を想定したスタジオですが、グリーンバックといったオプション設備も実装しており、ネット配信を含めた幅広いコンテンツ作成に適しています。もちろん、ネット回線設備も高速なものを準備しているのだそうです。
また、昨今の情勢に合わせて、換気設備も完備。換気や空調等の配管設備にも全て消音チャンバーを配置しており、収録時のノイズを最低限に抑える工夫もされています。太田氏曰く、スタジオのノイズの少なさは他のスタジオと比べても自信があるとのことです。
収録スタジオでは、主に声優の音声収録に使用することを想定しています。渋谷というアクセスが容易な場所にこうした収録スタジオがあるのは、活用する上で大きなメリットといえます。
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もちろん、スタジオには収録状況を管理するコントロールルームも欠かせません。コントロールルームはスタジオごとに存在し、それぞれ最大10人と7人で運用可能です。
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スタジオ内は一般用の電源と機材用の電源がしっかりと区別されています。こうした細かなこだわりが高品質な音響技術を支えているのです。
こだわりの個性的なオフィス
さて、ここまでは新スタジオを中心に紹介していきましたが、新しいオフィスは外観もこだわられています。折角ですので簡単にご紹介しましょう。
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11階のオフィスは庭園をイメージした内装です。
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生まれたての恐竜もいるぞ!
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天井を見上げるとそこには天窓が、太陽も見えます! これは、青空と射し込む太陽の光を再現したイタリア発の照明システムだとのこと。
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ちなみに、10階は地下をイメージしており、岩が特徴的です。
さて、ここまで新スタジオの紹介をお伝えしました。担当者の方からは「エンジニアがこだわって作ったスタジオです!最新の設備を生かし、音声収録はもちろん、立体音響の研究や映像の配信など、新しいことにどんどんチャレンジしていきます」と熱いコメントをいただきました!
グループが集結し、新たな設備も整えたCRI・ミドルウェアグループの今後の躍進に注目です。