暴力的なビデオゲームと暴力的な行動の関係性について長い間議論されていますが、昨年末、アメリカの医療関係企業が10年間にも及ぶ研究を公表し、思春期時代にプレイする暴力ビデオゲームと暴力性の因果関係を示す証拠が見つからなかったと報告しています。
これは米・ニューヨークの医療関連企業Mary Ann Liebert, Incの出版部門で公表された「グランド・セフト・オートと成長期:思春期における暴力的なビデオゲームプレイに関する10年間に及ぶ縦断的成長の研究(Growing Up with Grand Theft Auto: A 10-Year Study of Longitudinal Growth of Violent Video Game Play in Adolescents)」と題された研究論文によるもの。
以前より、暴力的なビデオゲームは成長期の子供に悪影響を与え、暴力的な大人にしているのではないかとしてさまざまな研究が行われてきました。短期間の研究では、暴力的なゲームが人間の暴力性を高めているという証拠は見つかっていませんでした。
今回の10年に及ぶ研究は、アメリカ北西部の大都市に住む成長期の白人65%、黒人12%、他民族19%、その他の民族的アイデンティティを持つ4%の子供を対象に実施。性別や経済的な地位、住んでいる場所なども考慮されました。
研究によると、男子は女子よりも暴力的なビデオゲームを好む傾向があったものの、幼い頃に多くの暴力的なゲームをプレイしたグループ、中程度にプレイしたグループ、少しだけプレイしたグループは、最終的な社会的行動には違いがなかったとの結論に至っています。
この研究結果からは暴力的なビデオゲームをプレイした子供が暴力な大人になるという証拠は見つかりませんでした。ただ、これは数多く行われている研究の1つであることには注意が必要です。