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DMM.comは、2022年8月31日(水)から9月2日(金)にかけてオンライン展示会「アニメ・ゲームサミット 2022 Summer」を開催します。事前の登録を済ませておけば講演の聴講はすべて無料で、イベントでは6つの基調講演が予定されています。
本稿では、その中から「円谷プロの「特撮×アニメーション」製作戦略について」のハイライトと登壇者へのインタビューをお届けします。
スタッフの強みを生かした、こだわりある作品作り
講演では、円谷プロダクション マーケティング本部 IP推進部の石塚徹氏、同社同部署の麻生智義氏、同社営業本部コンシューマーサービス事業部 マーチャンダイジンググループの稲葉由梨氏が登壇しました。
同プロダクションは3歳~6歳をメインターゲットとした『ウルトラマン』シリーズを中心に60年近く特撮作品を世に送り出し続けていますが、そうした映像作品制作部門に加え、ステージショーや催事を担当するイベント部門、グッズや出版物、EC展開、タイアップなどを展開する商品&ライセンス部門、自社メディアやSNSによる宣伝PRなどを担当するオウンドメディア部門が存在し、各部門がビジネスパートナーと連携を取っています。
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映像作品は「ウルトラマンシリーズ/シン・ウルトラマン」、「平成ウルトラマンシリーズ/ニュージェネレーションウルトラマン」、「かいじゅうステップ」、「ハイターゲット向けアニメーション」という4つのフランチャイズが展開されており、本講演では「ハイターゲット向けアニメーション」の作品紹介や狙い、展開事例が語られました。
まずは1993年の実写特撮作品『電光超人グリッドマン』をモチーフにしたアニメ作品『SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)』と『SSSS.DYNAZENON(ダイナゼノン)』が紹介されました。
アニメーション制作スタジオのTRIGGERと特撮作品を愛する雨宮哲監督のタッグにより、繊細なキャラクターと力強いヒーローを共存させたアニメになりました。
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作中に登場する怪獣はCGで描かれていますが、雨宮監督のこだわりで(特撮作品の)着ぐるみを意識して動かせる箇所を制限。そうした特撮への深いリスペクトはアニメファンのみならず特撮ファンもうならせ、テレビ放送時は各話が放送されるたびにTwitterでトレンドワードとなりました。
「ハイターゲット向けアニメーション」のもう一翼を担う『ULTRAMAN』は、2011年から連載されている同名コミックを原作とするフル3DCGアニメです。初代ウルトラマンこと早田進の息子・早田進次郎を主人公に、異星人との戦いや少年ならではの葛藤などが描かれます。
2019年にNetflixで独占配信された「Season 1」は同サービスで「2019年に視聴されたアニメ」の年間ランキング1位を獲得し、2022年春には「Season 2」が配信されました。
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また、「ハイターゲット向けアニメーション」は当初からグローバル展開も視野に入れており、クリエイティブやプロモーションはそれを念頭に構築されました。特に『ULTRAMAN』はNetflixで全世界同時配信されることが決まっていたので「セリフに頼りすぎず、起きている事象でドラマを描く」ことを強く意識していたそうです。
ファンの熱意や声援を受けて今後もさらなる展開が待っており、『ULTRAMAN』は2023年に「FINALシーズン」を配信予定。『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』も2023年に2作品のキャラクターが共演する完全新作劇場版が公開されます。
2023年に向けて両作品がさまざまな展開をしていくため、ぜひ注目してほしい…と麻生氏はまとめました。
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基調講演の全容は「アニメ・ゲームサミット 2022 Summer」でご覧ください。最後に、登壇した石塚氏、麻生氏、稲葉氏へのインタビューをお届けします。
【ミニインタビュー】特撮とアニメのハイブリッド作品を届けていく
――10代~30代のハイターゲットに向けたアニメーション作品についての講演でしたが、ターゲットと作品はどちらか先に決まったのでしょうか。
石塚お客様に楽しんでいただける作品はどのようなものがよいか、何がよいか、というのが一番最初ですね。そのうえでセグメントを分け、ターゲットを明確にして、コンセプトや制作体制を固めていきました。今回お話した作品に関しては、2016年頃から企画が動いていました。
麻生『SSSS.GRIDMAN』は土曜深夜帯のテレビ放送でしたが、Twitterでトレンド入りしてくれたのは嬉しかったですね。また、放送が第2話、第3話と続いていくと、さまざまなビジネスパートナー様がお声がけくださるようになり、強い手応えを感じました。
『ULTRAMAN』も含め、どちらの作品も監督、スタジオが実力と実績の確かな方たちでしたので、どのようなキャラクターが視聴者やファンに受け入れられるかをとてもよく熟知されておられると感じました。
――『ULTRAMAN』はモーションキャプチャーによる戦いの描写も印象的でした。
石塚Production I.Gさん、SOLA DIGITAL ARTSさん、神山健治監督、荒牧伸志監督とフルCG映像作品の最前線におられる方たちとご一緒することが決まり、ダイナミックな絵作りをするにはモーションキャプチャーだよね、とすんなり決まりました。制作時から、特撮とアニメーションのハイブリッドといえる映像作品になるという手応えがありましたね。
それと、『ウルトラマン』における初代ウルトラマンは一切しゃべらないキャラクターでしたが、『ULTRAMAN』に登場するその息子・進次郎たちは自らの思いを語り、等身大の悩みも見せる作品です。監督たちが培ってきたストーリーテリングや人間ドラマを見せる力がうまくかみ合ったと思っています。
――それでは、最後にビジネスパートナーに向けたメッセージをお願いします。
石塚我々は自信を持って取り組んでいますので、これまでご一緒してきた皆さまはもちろん、ご興味を持ってくださった方はぜひお声がけください。いっしょにこの作品群を盛り上げていきましょう。
麻生元々は特撮だったこともあり、キャラクター、ヒーロー、ヒロイン、メカニック…と、両作品とも非常に多くの切り口を持っています。2023年に向けて盛り上がりを最大化させていきますので、ご注目ください。
稲葉講演にもありましたように、円谷プロはオウンドメディアにも一層の力を入れていきます。何かご協力いただけることがありましたら、弊社からもしっかり情報を発信し、ファンの皆様に届けていきます。