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10月25日と10月26日にオンラインで開催されたUnity主催の大規模カンファレンスSYNC 2022。ゲームにおけるストーリーの作り方やプレイヤーの居場所をインタビュー形式で語る「ゲームのストーリーにおけるプレイヤーの居場所とは」のセッションレポをお届けします。
このセッションには、『ひとりぼっち惑星』などを開発したことを知られるインディーゲーム開発者のところにょり氏と講談社の鈴木隆介氏が登壇しました。なお、ところにょり氏は講談社のゲームクリエイターズラボで1期生として活動中です。
「SYNC 2022」他の講演レポートを読むところにょり氏が語るプレイヤーの居場所
初めのテーマは「ゲームを作る上での人称問題」です。ところにょり氏は過去に小説を書いていた経験から、一人称か三人称で語るのか、読者がどの視点で読み進めるかを決めないと最後の方で「一人称でなく、三人称である方が良かったな」と思ったら全て書き直さなければならないと述べます。
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それはゲームにおいても同様で、プレイヤーがどの視点にいるのか厳密に求められがちであるそう。主にプレイヤーが自分でキャラクターを操作することでストーリーを駆動していくことから、プレイヤーの存在が「対象のゲームのストーリー上で自分はどういった存在なのか?」という疑問が生まれてしまうからです。
それは、ゲームが映画など傍観者(第三者)の視点で見るコンテンツと異なるためで、プレイヤーなりの居場所がなければ疎外感を感じてしまうから。そのプレイヤーの居場所を企画書など初期段階で決めなければ疎外感を与えてしまうことが多いと述べます。
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プレイヤー視点は大きく分けて2つです。『ゼルダの伝説』のリンクや『ドラゴンクエスト』の主人公などプレイヤー自身が操作するキャラクターがあるものと、ストラテジーゲームや育成ゲームなど第三者視点で操作するものに別れます。
例えば自動的に動く猫を、障害物を除けて導くゲームがあるとするならば、猫がプレイヤー自身でないことは明らかです。様々な障害を抜けた先々で猫が他のキャラクターと仲良くする姿をみると、「僕ががんばって導いたのに、この猫だけが仲良くしている」と疎外感を感じてしまうのでは……と分析します。それらを解決するために、猫を好いて助けている妖精を登場させて行動すれば、プレイヤーはその妖精に自分の居場所を求めるため、プレイヤーと猫との居場所が近くなると語ります。
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一方でゲームの面白いところは、プレイヤーの疎外感を利用できること。プレイヤーや妖精が導く先が最終的に危険な場所へとなると、神的な存在のプレイヤーや妖精が、猫を不幸に陥れようとしている筋書きにも変貌させられるからです。