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10月25日と10月26日にオンラインで開催されたUnity主催の大規模カンファレンスSYNC 2022。2022年2月にリリースされた『ヘブンバーンズレッド』(以下、 ヘブバン)の開発の裏側についてを語る、「『ヘブンバーンズレッド』の大規模開発と高速イテレーションを支える、自作ツール群の秘密」のセッションレポをお届けします。このセッションには、『ヘブバン』でメインプログラマーを担当しているWFSの奥村典史氏と、バトルアセット制作の天野史也氏が登壇しました。
「SYNC 2022」他の講演レポートを読むツールによって支えられている『ヘブバン』の開発
『ヘブバン』では開発のより迅速に進めるために多くのツールを作っています。ゲーム開発において多くのツールを作ることは切り離せないもので、イテレーションの高速化やアセット制作の効率化など様々なものに関わります。
今回紹介されたツールは、「バトルテストシーン」と「ADVランタイムテストシーン」、「Adv Character Viewer」、「3D Character Viewer」、「Effect Viewer」、「ショートカットウィンドウ」、「デバックコマンド」、「BTL-タイムラインエディタ」、「フィールド編集ウィンドウ」、「探索マップエディタ」の10種類。またイテレーションを早くすることがツールを作る大きな意味であるという。
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メインシークエンスにADVパートやバトルパートが、バトルに演出が、フィールドにはダンジョンがそれぞれ木のように依存関係が広がっています。それらは、バトルを見なければスキル演出を見ることは出来ず、フィールドを見なければダンジョンが見られないことなど段階を踏まなければならないことに繋がっています。
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『ヘブバン』はコマンド式ターンバトルを採用していますが、メインシークエンスなどから辿ると時間がかかるため、それらを省くためのツールを活用。戦闘におけるツール「バトルテストシーン」はLuaスクリプトで構成され、バトルにおいて敵名で検索をかけることや、スキル強制取得など様々なオプションも装備しています。
編成や強化についても同様にテストシーンにおいて任意の編成や装備なども試せます。他にもこの機能はUI開発にも役に立っているほか、アートアセットを制作するアウトチームやバランス調整のゲームプランナーにも活用されているそうです。また『ヘブバン』におけるシナリオやバトル中での会話パートなどのイベントはLuaスクリプトで構成されています。
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前述の通り、『ヘブバン』のADVパートはLuaで構成されており、ツールの「ADVランタイムテストシーン」はファイルを検索し読み込みボタンを押すとそのシーンを単体で確認可能。文章を修正した後にホットリロードすることで、リアルタイムに更新内容を確認したり指定のシーンまで飛ばすスクリプトも盛り込めます。
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