2024年8月21日から23日まで、国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンスイベント「CEDEC2024」が開催されました。
さまざまな角度からゲーム開発にまつわる知見が共有された多数のセッションの中から、本稿では「生成AI」を用いた新たなゲーム体験作りが紹介された、モリカトロン株式会社による講演「ほぼ、フルAIゲーム。『Red Ram』がプレイヤー好みのミステリーゲームを無限に生成できるからくり」の模様をレポートします。
本講演のスピーカーを務めたのはモリカトロン株式会社のAIエンジニア高橋力斗氏とリードエンジニアの宮本茂則氏。今回は2023年に開発された技術デモ『Red Ram』を題材に、生成AIを使ったゲーム作りに関する知見が共有されました。
まず最初に高橋氏から「生成AIを使ってゲームを作ること」のメリットが紹介されました。プレイヤーが入力したデータをもとにゲーム内でコンテンツを生成すると、繰り返し何度も遊べる「バリエーション豊富で飽きない」ゲームになり、加えて個人で異なるジャンルや世界観や難易度などの「好みに合わせたゲーム」を作るポテンシャルを持っています。
そのポテンシャルを研究する目的に作られたのが、2023年に開発された技術デモ『Red Ram』です。BitSummitなどのイベントへ出展され、実際に来場者にプレイしてもらってゲームの自動生成に成功していました。
『Red Ram』はプレイヤーの注文に応じてコンテンツの生成を段階的に行うのが特徴で、ゲームが作られるまでの流れは以下の通りです。
プレイヤーが入力したおおまかな設定に基づいてプロット生成
プロットを元に肉付けしたストーリーデータを生成
ゲームに登場する人物や場所の詳細な設定付けを生成
詳細設定を元に会話シナリオや人物画像、背景素材などのゲーム素材を生成
ここからはスピーカーを宮本氏に交代し、詳しい『Red Ram』の仕組みの解説へ。本作ではプレイヤーが殺人事件を担当する刑事となって4人の容疑者から真犯人を見つけ出すゲームになっており、操作は尋問相手を選んで行くシンプルなもので、捜査で証言や証拠品を集めることが解決の鍵になっています。
