モブキャストホールディングスが2022年12月期に3億5,400万円の営業損失を計上しました。
これで8期連続の営業赤字。2023年12月期も2~3億円程度の営業赤字を見込んでおり、9期連続となる公算が高まりました。
2023年1月30日にリリースした『炎々ノ消防隊 炎舞ノ章』が30万ダウンロードを突破するヒットとなるものの、損失を補填するほどの力はありません。
モブキャストは人材の流出が深刻であり、人材の獲得と育成に経営資源を集中する必要があると考えられます。
売上高は全盛期の1/7ほどに縮小
モブキャストは『モバサカ』や『モバプロ』シリーズのヒットで成長しました。2012年12月にマザーズ市場に上場しています。
2018年12月期に売上高が前期の2.2倍の72億4,500万円に跳ね上がりました。これは自動車部品などを扱うトムスを1億5,400万円で買収したため。当時、モブキャストは広義のエンタメ領域としてモータースポーツの強化を狙っており、ファンを拡大してカー用品の需要を掘り起こそうとしていました。
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※決算短信より(2023年12月期の予想は下限のもの)
しかし、主力のゲーム事業との相乗効果は生まれず、会社全体の売上高は減少し続けます。2020年6月にトムスの経営陣に株式の80%を8億円で譲渡しました。トムスは上場を目指すとしていたため、20%は継続してモブキャストが保有していましたが、2021年2月に残りの株式を譲渡しました。モブキャストはこの取引で6,400万円の株式譲渡益を計上しています。
モブキャストがいかに苦境を迎えているのかは、主力のゲーム事業の業績推移を見ると明らか。2022年12月期のゲーム事業の売上高は、前年同期の半分以下となる7億6,900万円。2018年12月期の売上高と比較すると、7分の1の水準まで落ち込んでいます。
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※決算短信より
2018年8月に『モバサカULTIMATE FOOTBALL CLUB』を日本でリリース。その年の9月にテンセントゲームスがパブリッシャーとなって、中国でも配信を開始しました。2018年12月期は売上高が急伸します。しかし、『モバプロ2 レジェンド』の共同運営や、新作パズルゲーム『LIP』の開発中止を決めたために減損損失を計上。3億6,800万円もの赤字を出す結果となりました。
モブキャストは売上絶好調のこのタイミングで悪材料を出し切り、翌期から黒字を出しやすい体質に転換を図ろうとしたと考えられます。