ガンホーは3期連続で最終利益が2桁減益、アクティビストの台頭で今期の株主総会は波乱含みに?【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

ガンホーは3期連続で最終利益が2桁減益、アクティビストの台頭で今期の株主総会は波乱含みに?【ゲーム企業の決算を読む】

ガンホーは2024年12月期に純利益が3割減少し、3期連続で減益。新作ゲームは好評も減収に苦しみ、アクティビストの影響で株主総会は波乱必至。

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ガンホーは3期連続で最終利益が2桁減益、アクティビストの台頭で今期の株主総会は波乱含みに?【ゲーム企業の決算を読む】
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ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、2024年12月期(2024年1月1日~2024年12月31日)の純利益が前期の3割減となりました。

3期連続で2桁の減益。本業で稼ぐ力も失われており、2020年12月期(2020年1月1日~2020年12月31日)に30%を超えていた営業利益率は、17%まで低下しています。2024年12月期は新作『ディズニー ピクセルRPG』をリリースしたものの、減収という結果に終わっています。

足元の業績が停滞する中、アクティビストから揺さぶりをかけられており、その対応にも苦慮しています。


海外の売上比率も下げる結果に

2024年12月期の売上高は前期比17.3%減の1,036億円、営業利益は同37.3%増の174億9,100万円でした。2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)は子会社Gravityが東南アジア向けに『ラグナロクオリジン』をリリース(日本では2021年にリリース)し、2割近い増収となっていました。今期はその反動もあり、2割近い減収となっています。

決算短信より筆者作成

2023年12月期は『ラグナロク』シリーズの好調によりGravityの売上高はそれ以外の会社を上回る状態が続いていましたが、2024年12月期4Q(2024年10月1日~2024年12月31日)においては、再び逆転しました。すなわち、ガンホーの売上は主に『パズル&ドラゴンズ』と『ラグナロク』シリーズに支えられており、長らく『パズドラ』が業績をけん引していましたが、2023年12月期に『ラグナロク』シリーズへと変化。しかし、それがまたもとに戻りつつあることになります。

ガンホーは成長戦略としてグローバル展開の強化を掲げています。2023年12月期は海外売上比率が64.1%まで高まり、この戦略は奏功しているように見えましたが、2024年12月期は56.1%まで低下しました。2024年12月期は減収、減益という結果だったことに加え、成長戦略の柱である海外売上比率も下げる結果に終わったのです。

しかも、2024年12月期は『ディズニー ピクセルRPG』をリリースしています。日本だけでなく、韓国や香港、台湾、タイ、フィリピン、アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツなど、世界各国で同時配信しただけでなく、強力なIPであるディズニーのゲームでした。サービス開始から7日後に100万ダウンロードを突破しているものの、増収へと持ち込むことができませんでした。

リリースした4Q単体で見ても、Gravity以外の売上高は135億7,600万円であり、前四半期比で16.6%の増加に留まっています。

アクティビストとの激しいやり取りが勃発

足元ではグローバル配信を前提とした新作タイトル5本を開発中とアナウンスしていますが、その詳細については明らかにしていません。2025年2月に行われた決算説明会においても『DEATHVERSE: LET IT DIE』がいつ再開するのかについては触れられませんでした。

2月14日の取締役会では、株主還元に関わる重要な決議が2つなされています。1つは50億円を上限とする、最大180万株の自社株の取得と消却。もう1つが2024年12月期末配当の修正です。未定としていた期末配当を60円にすることで決定し、2025年3月28日開催予定の取締役会で決議する予定です。

ガンホーの配当性向は長らく10%程度が続いていましたが、2024年12月期は32.8%というもの。配当性向とは純利益のうち、どれだけの割合を配当金に回しているのかを示しています。株主還元に積極的な姿勢を見せているのかを判断する指標の一つです。

つまり、ガンホーは突如として株主還元を重視しはじめたのです。これには背景があります。国内の有名なアクティビストであるストラテジックキャピタルが、ガンホー株5.4%を保有し、2025年3月に開催する株主総会において株主提案権を行使する書面を送付したのです。

ストラテジックは、森下一喜代表取締役社長CEOの報酬を1.2億円から3.4億円に引き上げた一方、営業利益は7割、時価総額に至っては8割近い大幅な減少に見舞われていることや、10年にわたって配当を30円に固定していることを問題視。代表取締役に対する固定報酬の変更に変更理由の開示条件を追加するための報酬決定や、算定方法の変更、1株当たり318円の配当を行うこと、保有する自己株式をすべて消却することなどを求めました。


《不破聡》

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