2010年のGDCでミシェル・オバマ米大統領夫人は、会場を埋め尽くした開発者に対して、肥満防止に向けたゲーム開発キャンペーン「Apps for Healyhy Kids」をアピールしました。オバマ大統領もまた、講演で教育用ソフトに対する重要性に触れています。オバマ政権は、これまでで最もシリアスゲームに対する理解度が深い政権だと言えるでしょう。
連邦ゲームギルドの構成メンバーは連邦政府、学術界、産業界、慈善団体などで、37団体(うち4団体はホワイトハウスの関係団体)、191名にのぼります(中でも軍関係と医療関係の割合が突出している点が特徴です)。また全米17校の大学が協力し、ゲームで社会変革を進めようという団体「Games for Impact」とも協力体制を取っていると言います。
『iCivics』は各種ミニゲームを通して民主主義と投票の重要性を学ぶというシリアスゲームです。ミニゲームには、法律事務所を経営しながら、街の人々のさまざまな陳情が合衆国憲法的に適正か否かを判断していく『Do I have a RIGHT?』など、行政、市民の義務、市民と行政のかかわりに関する17種類が用意されており、すべて無料でプレイできます。教師向けにゲームとペーパーテストを組み合わせた授業プランが用意されており、積極的に授業で使用してもらうことが意図されています。
『FiLAMENT GAMES』はシリアスゲーム専門のゲームスタジオで、自社サイトでゲームを提供する傍ら、他のパブリッシャーにもゲームを提供しています(『Do I have a RIGHT?』を開発したのも同社です)。ミニゲームの一つ、『Citizen Science』では、クリック式のアドベンチャーゲームを遊びながら、身近な科学について学んでいきます。同社によると▽テストの前後でスコアが46%上昇▽57%のプレイヤーが自宅でプレイする▽85%のプレイヤーが十分に理解できたとレポートを提出−−といった効果がみられました。