かつて、家庭には黒電話しかありませんでした。約束をしても、出かけたら最後、待ち合わせの場所で会えないとか、電車の遅延や思わぬトラブルで約束の時間に遅れるという事態が普通にありました。若い皆様はわからないでしょうが、主要な駅には「伝言板」のような黒板(緑板)のようなものが必ずありました。そこには「●●へ、さきに■■へ行っている」とか、「30分、待ったけど・・・」とか切ない伝言が散見されたものでした。携帯電話が生まれたことで、そのような事態や事件はほぼなくなったと言ってもいいでしょう。私が子供時代に観た「ウルトラセブン」の劇中で登場した時計型の無線映像受像機さえも、既に現実化しています。あとはどれだけ小型化するかということでしょう。さて、それらが発明され、常用的に利用されるときには、人々の生活は便利になり、負担が軽減されると信じて疑わなかったことと思います。私自身もそう思いました。しかし、そうでありませんでした。連絡がつかないことはなくなり、言い訳もできない時代に入り、時間や場所に関係なく、相手に遠慮なく呼びかけ、時間を搾取するものが生まれたのです。そこから先は皆さんも同様の経験をされていると思いますので割愛します。デバイスが進化した分、同様にソフトも大きく変わりました。アップルやグーグル、アマゾンのなどのポータルが発達しました。そして、個人間の関係性が薄くなるとともに、それを補完するようなSNSという交流サイトが勃興したことも記憶に新しいと思います。今回は、最近の私の経験に基づいたエピソードになりますが、フェイスブックを使ったアカウントのハッキングやLINEでのアカウントハッキングが横行しています。人のアカウントがハッキングされ、「Webマネー1万円分を5枚買ってきて」というオファーを笑って見ている当人も、いつその被害に遭うか分かりません。気付いたら詐欺の先鋒を担いでいた、ということにもなりかねません。私が被害にあったのは、フェイスブックのアカウントハッキングがキッカケでした。7月のある夜のこと、マイクロソフトのホットメールが自分のスマートフォンに着信しました。発信した覚えはないのですが、確認をすると過去にホットメールで使用したアドレス履歴にメールを配信しているようでした。すぐに送信を中止ました。どうやら、メールアカウントがハッキングをされたようです。その当時はホットメールをフェイスブックに紐付けていたため、ホットメールのパスワードからフェイスブックのアカウントがハッキングされました。フェイスブックは自分の普段ログインしている場所と異なる場所からのログインに関して注意警告のメールが来ます。その日は、全く身に覚えのない「台湾」からのログインという案内に心底驚きました。フェイスブックのログイン場所情報は雑なものがあり、実際の場所と異なる表示になっているケースもあるようですが、さすがに「台湾」はあまりにも距離が離れています。すぐにログインができました。幸いパスワードは変更されていませんでした。それともハッキングしている連中が変更してる最中だったのかもしれません。いずれせよ。そのタイミングでパスワード変更を行い、ページが改竄されていないかを確認しました。問題はなかったと思い、そのまま安堵したのですが、実はそうではなかったのです。「黒川塾」を開催するにあたって、フェイスブックのバナー広告を毎回上限を1万円くらいに設定して広告露出を行っていましたが、その広告用のアカウントが狙われていたのです。すでにご存じのことと思いますが、サングラスの「Rayban」を販売するサイト(皆さんのなかにもタグを付けられた経験をお持ちのかたもいると思います)の広告が1日の上限が700ドル(約7万程度)設定され、月末の請求メールを見て、予想より高い金額に気が付いた時点で35万円分くらいの広告費用が計上されていました。最終的には9月中旬ごろまで広告展開が設定されていましたが、その上限は19000ドルですので日本円で190万円に相当します。すぐにその広告キャンペーンを削除し、フェイスブック側に連絡し広告費用の課金中止ならびに取り消しを依頼し、はカード会社に被害を連絡し、調査を依頼し、月次の請求回避を依頼しました。また、警視庁サイバー犯罪窓口に相談し、さらには国民消費者センターにも連絡をしました。このなかで一番、心強かったのは「国民消費者センター」です。今回のケースは、一般的に良く言われるパスワードの使いまわしによる、リスト型の攻撃によるものです。私のパスワードは記憶することが面倒だったりするために共通のものをいくつかのサイトで流用しており、それに依るところの脇の甘さです。皆さんのなかにもそのようなケースは多いと思いますので、今さらながらですが、サイトごと、サービスごとに変更を御勧めします。最終的にはフェイスブック社から「広告詐欺なので請求はしません」というメッセージが2週間ほどして着信し、ほぼ同時のタイミングでクレジットカード会社からは「調査の結果、相手先が詐欺の可能性が高いので請求は全部取り消します」という案内がきました。一件落着。しかし、私たちの身の回りは「便利」という盲信的な言葉に支配されています。「こうすると便利」「こうなると便利」というアレです。果して本当にそうでしょうか。便利になったと思う反面、すごく不便になったと思いませんか?つまり、やることや、覚えることが異常に増えてしまったということです。同時にそれらのために費やす時間や労力が格段に増えてしまったというのが現代社会です。もはやこのシステムから逃れることはできません。2016年には国民背番号制度と言われる「マイナンバー」が導入されます。従来縦割りだった税務、社会保障などが一元的に管理されるようになります。ますます、管理体制が進みます。過度の負担、過度な管理、これらが人間の思想や行動などを制限していくことがないことを望みます。とはいえ、原始時代に戻るわけにはいきません。人との関わりをもたない世界というのも現実的ではありません。使うか使わないか、やるかやらないか、したいかしたくないか、今後はさらにその選択肢が重要にものになってくるのではないでしょうか。■著者紹介黒川文雄くろかわ・ふみお 1960年、東京都生まれ。音楽ビジネス、ギャガにて映画・映像ビジネス、セガ、デジキューブ、コナミDE、にてゲームソフトビジネス、デックス、NHNjapanにてオンラインゲームコンテンツ、そしてブシロードにてカードゲームビジネスなどエンタテインメントビジネスとコンテンツの表と裏を知りつくすメディアコンテンツ研究家。コラム執筆家。黒川メディアコンテンツ研究所・所長。黒川塾主宰。現在は、インディーズゲーム「モンケン」、東映アニメーションのスマートフォン向けゲーム「円環のパンデミカ」を手掛ける、また全日空公式映像ソフト「ANA747 FOREVER」を製作。「円環のパンデミカ」公式サイト ツイッターアカウント ku6kawa230ブログ「黒川文雄の『帰ってきた!大江戸デジタル走査線』」「ニコニコチャンネル 黒川塾ブロマガ」も更新中。
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