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先日、人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」とのコラボチャプターが発表されたBehaviour Interactiveの非対称ホラー対戦『Dead by Daylight』。TGS2019にて同作のディレクターであるマシュー・コート氏(以下にインタビューする機会を得られましたので、本記事では同氏に伺った新チャプターの裏側や今後の『Dead by Daylight』についてお届けします。
新チャプター「ストレンジャー・シングス」コラボは如何にして出来上がったのか?
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――新コンテンツとして「ストレンジャー・シングス」とのコラボコンテンツをリリースした理由を教えてください。
マシュー我々はこれまで、主に70~80年代におけるホラー界のレジェンドをコンテンツとして取り上げており、現在の流行を取り入れたのは今回が初めてとなります。しかし、「ストレンジャー・シングス」は80年代のノスタルジーが反映されたドラマで、かつ我々と同じように古い映画などからインスピレーションを得た作品でもあるため、その点にシンパシーを感じたことが理由として挙げられます。
――ちなみに、「ストレンジャー・シングス」はご覧になりましたか?
マシュー氏もちろんです!ただ、実は今回のチャプターの話がNetflixとの間で始まったときにはまだシーズン3は始まっていなかったため、その時点ではどのようなストーリーになるか把握できていませんでした。その代わり、Netflixからアイデアや部分的なストーリー、アドバイスなどを貰っていたため、それを基にコンテンツを完成させています。シーズン3はその後視聴したのですが、自分たちの試みとストーリーがちゃんとマッチしたものになっていたため、素晴らしいコンテンツを完成させることができたと思っています。
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――「ストレンジャー・シングス」には他にも様々なキャラクターが登場していますが、新サバイバーとして「スティーブ・ハリントン」と「ナンシー・ウィーラー」の2人を選出した理由を教えてください。
マシュー氏「ストレンジャー・シングス」には魅力的なキャラクターがたくさん存在しますが、「子どもを登場させる(殺害する)ことはできない」というルールとNetflixからのアドバイスを鑑みた結果、キャラクター的にも非常にパワフルで、バックストーリーの面白さや成長性を持つ彼らを登場させることが決まりました。
――サバイバーを一気に2人も追加するアップデートは今までのチャプターを考えるとやや変則的ですが、何故2人のサバイバーを追加しようと考えたのでしょうか。
マシュー氏仰る通り、サバイバーが2人存在追加される、キラーが人間を逸しているなど、このチャプターではいくつかのルールを破っています。ただ、我々はこれが「ストレンジャー・シングス」とゲームにとって正しい判断であると思ったため、このような方向性で実装することを決めました。
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――なるほど。では、ゲームとコンテンツにとって正しい方向性であると判断するのであれば、今回の「デモゴルゴン」のようなモンスター型キラーは今後も登場するのでしょうか?
マシュー氏よりゲームが楽しく、良いものになるのであればもちろんそうすると思います。モンスターや人間に限らず、クールなストーリーを持つ作品はたくさんありますしね。
これからの『Dead by Daylight』……新機能や新アイテムはどうなる?
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――新機能である「アーカイブ」と「リフト」についての質問です。ロードマップによれば、本機能によってキャラクターたちの設定がさらに拡張されるとのことですが、同作の核となるエンティティや儀式に関するストーリーも加速していくのでしょうか?
マシュー氏アーカイブは新しい目標設定やプレイの方向をプレイヤーに提供します。報酬としてはスキンなどのアイテムのほか、キャラクターに関するストーリーが提供されるので、エンティティや儀式に関する設定もテキストやイメージ、アニメーションなどを通して表現されていくでしょう。
――ロードマップによれば、「リフト」機能では「生存者・殺人鬼用のスキンを今までに増して取得することができる」とのことですが、今後、スキンやアンロック要素の追加はより頻繁に行われるようになるのでしょうか。
マシュー氏仰る通り、我々は今後スキンなどのアンロック要素を頻度を含めどんどん増やしていき、その上でアーカイブ機能を成立させるつもりです。例えば、我々は「チャーム」という新たなスキンを追加する予定で、これはベルトやフックにつけられるキャラクター共通のコスメティックアイテムとして実装されます。
――ちなみに、その「チャーム」は「アーカイブ」限定で取得できるアイテムになるのでしょうか?
マシュー氏いいえ、あくまで新しいカテゴリのスキンとして実装されるため、様々な方法で提供される予定ですが、「アーカイブ」ではよりたくさん取得できる、という形になるでしょう。
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――9月26日に発売されるスイッチ版では、今までのプラットフォームと違い「キラーもサバイバーも対面でプレイ出来る」という大きな特徴があります。ここから生まれるゲームへの新たな影響について教えてください。
マシュー氏ゲームプレイに影響を及ぼすことはないと考えていますが、対面で遊ぶことでプレイヤーのリアクションは変化するでしょう。実際にプレイヤーの反応を見ながらゲームを遊ぶことができるというのは、今までとの大きな違いになると思います。
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――スイッチ版発売記念イベントなど日本国内向けのイベントも増え、日本のいちファンとしても嬉しく思っています。今後もこのような催しは実施されるのでしょうか?
マシュー氏日本のコミュニティのパワーと影響が続く限り続けたいと考えています。彼らがゲームに懸ける情熱はとても素晴らしく、ゲームにとっても良い影響を与えていると思っていますし、個人的にも日本のことが好きなので、自分に日本に来る機会をくれて非常にありがたいと思っています。
――同作のヒットをきっかけに、いわゆる「非対称対戦」ジャンルのゲームが非常に増えました。流行の先駆け的な作品として、ジャンルが盛り上がることについてはどう思いますか?
マシュー氏確かに、『Dead by Daylight』がリリースされたときと比べ、非対称対戦ゲームはかなり増えてきています。ただ、このジャンルのゲームというのは非常に難しく、毎日ゲームバランスを考えなければならないため、開発している方には「幸運を祈ります」としか言えません(笑)。とはいえ、独自のゲームを作ってくれる人はプレイヤーに大きな貢献をしていると思っていますし、ゲーム業界自体にも活気やプレイヤーの流入を生んでくれると考えているので、競合相手が生まれることは大歓迎です。
――最後に、スイッチ版や「ストレンジャー・シングス」をきっかけに同作を始めようとしている方々へのメッセージをお願いします。
マシュー氏このゲームは非常にタフで、最初は何度も死ぬだろうけれど、勝ったときの満足感はすごく素晴らしいので、新規のプレイヤーには是非その楽しみを体験してほしいと思っています。逆に古参のプレイヤーに向けては、新規のプレイヤーに優しくしつつ、彼らがゲームに残ってくれるよう色々と教えてあげてください、と伝えたいですね。
――ありがとうございました!
今回のインタビューで話題に上がった「デモゴルゴン」や新サバイバーの登場する最新DLC「『ストレンジャー・シングス』未知の世界チャプター」はPC/国内PS4/Xbox One向けに配信中。スイッチ版『Dead by Daylight公式日本版』は9月26日から発売予定です。