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NVIDIAはリアルタイム物理演算エンジン「PhysX」の最新バージョンとなる「PhysX 5.0」を発表しました。統合された制約付き粒子シミュレーションフレームワークをサポートし、次のような機能が組み込まれるとのことです。
- 有限要素モデル(Finite Element Model/FEM)は可変形物体に対する業界標準のシミュレーション手法。剛体部品や軟体部品の構造強度を正確にシミュレートするために自動車業界や製造業で広く利用されている。
- 液体シミュレーションにより、開発者は離散粒子シミュレーションを使用して流体と粒状体の流れをモデル化することが可能。実装には拡張性があり、大きな時間ステップを使用すると広範囲の液体を安定してシミュレートできる。離散要素モデル(Discrete Element Model/DEM)は摩擦と接着をサポート。PhysX 5.0では海洋学や火山学で利用されるSmoothed Particle Hydrodynamics(SPH)を実装し、離散粒子を含む液体をシミュレートする。
- PhysX 5.0の制約付き粒子モデルを使用すると任意のメッシュを布またはロープとしてシミュレートが可能。これらのメッシュは膨張可能な形状をシミュレートするためにアプリケーションで定義された圧力と体積保存の制約を組み合わせることができる。メッシュベースのシミュレーションでは空力的な揚力と抗力をシミュレートするモデルも提供される。制約モデルはスプリングをサポートしているのでマススプリングシステムの作成に使用可能。シェイプマッチングは粒子のグループが剛体構造を維持するためのメカニズムを提供する。これを使用しておおよその剛体ダイナミクスをシミュレートし、さらに実行時に剛体構造を変形して塑性変形のような効果を実装できる。
ゲームでよりリアルな表現を可能にするかもしれない「PhysX 5.0」は2020年にリリース予定です。