ソニー・インタラクティブエンタテインメントより、PS4向けに発売が予定されている『Ghost of Tsushima』。先日の「State of Play」にて詳細なゲームプレイが披露され、その一端が見えてきた本作は、中世日本の対馬を舞台とした“オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー”ということで、国内プレイヤーからの関心も非常に高い作品となっていることでしょう。
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Jason Connell氏
今回は、開発元のSucker Punch Productionsにて、『Ghost of Tsushima』のアート/クリエイティブ・ディレクターを務めるJason Connell(ジェイソン・コーネル)氏へのオンライン合同インタビューに参加。『Ghost of Tsushima』の表現やこだわりについてを中心に、お話を伺いました。
――“侍になる”という体験をプレイヤーに与えるために、こだわった部分を教えてください。
Jason Connell氏(以下、コーネル)特にこだわった部分がふたつあります。ひとつは、物語の舞台となる「対馬」です。環境や背景がしっかりしていないと「中世の侍の世界を体験する」とは言えないと思いますので、実際に対馬へ足を運んだ取材を元に、世界を構築していきました。
もうひとつは「侍の動き」です。侍がどう動くのか、動きのタイミングといったところですね。侍の動きからは「正確さ・静寂さ」が感じ取れ、私は、これが侍と他の戦士を区別する最も大きな違いだと思っています。本作でも、この「正確さ・静寂さ」を十分に感じ取れるように表現できるよう努めています。
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――先日公開された「State of Play」でのプレイ映像では、マップのガイドとして「風」が活用されていました。この要素も日本への取材の経験から生まれたのでしょうか。
コーネルそうですね。特に「風」を採用したことについてはふたつ理由があります。まず、歴史上、日本への蒙古襲来は2回行われていますが、その際に「台風」が到来しモンゴル軍に壊滅的な打撃を与えたという伝承がありますよね(編集注:いわゆる「神風」)。それを初めて知ったときに「風が守ってくれる・導いてくれる」というイメージが浮かんだのです。
そしてもうひとつ、黒澤明監督の時代劇からも影響を受けています。黒澤監督の時代劇を観ていると、画面の中に常に特徴的な「動き」があり、風の表現もその中のひとつなのです。このようなところから、本作に相応しい表現の仕方ではないかと思い、風をガイドとして採用しました。
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――他にもガイド役として「狐」や「鳥」なども登場し、特に狐はそのかわいさが話題になっていましたが、本作には他にも動物がでてくるのでしょうか。また、他の動物が出るとしたらどのような役割を持っているのでしょうか。
コーネル他にも動物は登場しますが、その中でもガイドする役割を持っているのが狐と鳥になります。本作は主人公・境井仁が、生まれ育った故郷である対馬を守るという大筋になっていますが、逆に慣れ親しんだ故郷の自然に助けられることもあるだろうと考えています。それが動物という形でゲーム内に組み込まれているのです。
――自然といえば、季節・天候の要素もありますが、これらはどのような形でゲームプレイに影響を与えるのでしょう。
コーネル季節・天候の要素は、対馬の各地域に「個性」を持たせるために採用しました。ある地域には雪山があり、また別の地域では沼沢が多いなどですね。他にも、森をなす木々の種類が地域ごとに違ったり、天候の傾向も変わってきます。
私達の作っている対馬は広大なオープンワールドです。こういった世界を作るときに、同じような場所ばかりを作ってしまいがちです。確かに、同じ世界なので似たようなものが多いのは理屈の上では正しいことですが、ゲームとしては退屈になってしまいます。これを避けるために各地域に個性を持たせたのです。
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――マップには実際の地名やロケーションも登場するのでしょうか。
コーネルマップ全体の形としては、実際の対馬とほぼ同じです。いくつかの有名な場所も登場します。ただ、個々のロケーションに関しては、フィクションを盛り込んでいる部分が多くあります。これに関しては、季節や天候と同じく、個性を持たせるためですね。実際の対馬を忠実に再現すると、どうしても森林が多くなってしまうので、ゲームとしてイベントや物語を楽しめるように、様々なものを創作して配置しています。
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――本作では、侍としての誉れある戦いを捨て、邪道である「冥人(くろうど)」に堕ちていく仁の苦悩というのも核のひとつとして置かれているのでしょうか。また、これについて、例えば『inFAMOUS』のカルマシステムのように、プレイヤーの行動や戦法がストーリーに影響が与えることはあるのでしょうか。
コーネル強大なモンゴル軍から故郷を守るためには、「冥人」にならなくてはならない。仁はそういうプレッシャーを感じていますが、一方で仲間や家族たちからは「邪道だ」との誹りを受けます。「侍」と「冥人」の間で揺れ動く仁の苦悩は、本作の核となるテーマのひとつになっていますね。
プレイによって物語が「侍」と「冥人」とで分岐することはありません。ただ、「冥人」としてのスキルを身に着けてしまったら、「侍」のスキルを使えなくなってしまうということもなく、個々の戦闘でどちらを使うかというのは主にプレイヤーに委ねられています。
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――戦闘では、拠点に乗り込んで暗殺を行ったり、1対多の状況で戦うことがある反面、侍らしい1対1の決闘も見受けられます。この決闘もプレイヤーが自ら挑んで状況を作り出すことができるのでしょうか。
コーネル先日の「State of Play」では、搦め手を使って1対多の状況を切り抜けるシーンの他に、仁が3人の敵を一人ずつ一瞬で斬り伏せていくようなプレイもお見せしました。これが「Stand off(一騎打ち)」のシステムで、これは路上や敵拠点問わず、ゲーム中ほぼどこでもできます。そして、これとは別に2018年のE3トレーラーでお見せしたマサコとの決闘のような、本当の1対1というのもあります。こちらはストーリー上の展開で発生するもので、ボスクラスの敵と特定の場所で発生します。
――では最後に。中世日本の作品というと、やはり「日本刀」は外せないと思っています。本作でも日本刀はフィーチャーされた形で登場すると思いますが、表現の部分でこだわった点はありますか。
コーネルまず仁の刀について。彼の刀は境井家に先祖代々伝わる特別な刀で、彼自身もその刀にこだわりを持っています。そのため、ゲーム中で刀そのものを取り替えられるということはありません。代わりに、刀の各所、鞘や鍔、刃文などをカスタマイズできるようになっていますので、外見についてはプレイヤーの好みを反映することができるようになっています。
表現については、「音」に関してこだわりを持っています。昔の時代劇を観て、先人たちがどのような音で表現しているかを研究し、音を作っていきました。実は、「State of Play」でお見せした時代劇風の「白黒モード」でプレイすると、通常時とは刀の斬撃音が少しだけ変わり、黒澤監督作品に見られるような特徴的な音になります。ぜひ、そこも楽しんでいただきたいです。
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『Ghost of Tsushima』は、2020年7月17日にPS4向けタイトルとして発売予定です。
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