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BBCは転売業者へのインタビューを始めとした、イギリス国内における転売事情を報じる記事を公開しました。
「PlayStationの転売のおかげで生活が成り立っている」、Sheraz(仮名)と名乗った転売業者はそう述べています。膨れ上がる医療債務、なかなか受けられない政府の給付金、そして美容師としての職を失ってしまった妻を始めとした家族を養う必要性など、コロナ禍で重くのしかかってきた生活苦から同氏は「Scalping」とも呼ばれる人気商品の高額転売を始めたそうです。
「Scalping」を行っている多くの転売業者は主にbotを使ってターゲットに設定したwebサイトの商品の入荷をチェックし、時にはbotに自動購入を行わせて本来の買い物客が太刀打ちできない速度で在庫を買い漁り、倍の値段で転売を行っているようです。
そういった転売事情について、BBCは24歳の元投資銀行であり6年前から転売行為を始めたというJack Bayliss氏にインタビューを行い、その模様を公開しています。同氏は元々ブランド品の転売によって利益を得ていたようですが、現在は転売そのものではなく転売に関する情報商材のサブスクリプション販売を行う会社を設立し、一年半でおよそ456000ポンドの利益を上げているとのことです。
インタビューの中で同氏は「どんな市場でも、裁定取引の機会があれば、人々はそれを利用しようとするものですよ」と述べ、「どうして金儲けの機会を放っておくんだい?」と挑発的な発言をしています。
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現在のイギリスの法律の範囲ではサッカーのチケット転売に関しては違法とされていますが、それ以外の商品転売は違法行為には当たりません。しかし、転売行為を問題と認識している議員らは、このbotを用いた大規模な転売行為をやめさせようと行動を開始しました。
転売対策を主導するスコットランド国民党のDouglas Chapman議員は、昨年にbotによって自動購入された電子機器の転売を禁止する法案を議会に提出。同議員は転売が全面的に禁止されることで消費者は利益を得ることが出来ると述べ、また「合理的な範囲を越えて市場を歪めている。消費者の保護について考える必要がある」と健全な経済活動を目指すスタンスを示しています。
消費者の保護を目指すChapman議員の「こんなものは市場操作でしかない」という主張と、Bayliss氏の「単なる需要と供給の問題に過ぎない」との意見。イギリス国内における転売事情がどう転ぶかは、再提出される予定のbot利用転売禁止法案が議会を通過できるかどうかに掛かっています。