Unity TechnologiesのCEOであるジョン・リッチティエッロ氏は、同社がモバイルアプリにおけるユーザー分析やマネタイズを行うironSourceを買収したことを受けて行われた海外メディアPocket Gamer.bizのインタビューで、収益化についての考えを明かしました。
Unityがマネタイゼーションの指標などの機能を埋め込んだ複合成長エンジンへ移行することの経緯を聞かれた同氏は、昨今のモバイルゲームの成功に着目し、モバイルゲームの制作数を上げるためだと話します。さらにゲーム制作者に求められているのは、単純に良いアイデアであるよりも、その中から適切な顧客やプレイヤーを見つけられるかどうかであるとコメント。「制作プロセスのできるだけ早い段階で、潜在的なユーザーからフィードバックが受けられるライブエンジンを開発することに大きな期待を寄せている」と明かしました。
さらに、今回の買収によってUnityのツールはironSourceの運営するプラットフォームと統合されることになり、開発者はゲーム開発・成長、マネタイズなどをシームレスに行えるようになるといいます。しかし、こうした機能の実装に開発者側から反発を受けていることに対して、同氏は「彼らは最も美しく、純粋で、聡明な人々ですが、同時に最も愚かな人たちでもある」と痛烈に批判。かつては開発者が事前のやりとりもなく広報や営業にゲームを渡して売るというのが普通だったと述べたうえで、昨今ではそのやり方は古く、ユーザーがどう感じているかを知る、フィードバックの重要性を説きました。
ですが言葉選びが少し過激だったのか、このインタビューを受けて、海外のインディーゲーム開発者の中からは批判的な声もいくつか挙がっています。携帯ゲーム機Playdate向けにゴルフゲーム『Faraway Fairway』を開発しているインディー開発者のRokashi氏は、「ゲーム制作を楽しむため、教育のため、考えやアイデアを共有する人々に気がついていない」として、非難されるべきではないとツイートしました。
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またここ最近では、『ディアブロ イモータル』のマネタイズモデルに関する指摘なども注目を集めました。キャラクターの完全なアップグレードには約1,100万円相当の課金が必要になるという分析を受けて、同作には批判が殺到。ゲームディレクターやBlizzard Entertainmentの社長が直々に弁明・擁護するといった事態にまで発展しています。多額の課金を強いるといった極端な収益化への注力に対しては、やはりユーザー側として危機感を抱かざるを得ないでしょう。
しかし、一方でマネタイズを一切無視するというやり方が健全でないのも事実です。言葉選びが過激であるものの、フィードバックや収益化の重要性を説くリッチティエッロ氏の主張は決しておかしなものではないですし、海外メディアPC Gamerは今回の件について「世界は変化しており、商業的な成功を収めたい開発者は適応する必要がある」「趣味でゲーム制作をしている人やインディー開発者にはあまり関係ないかもしれないが、ビジネスでやろうとする人には、的を射た発言だと思われる」と見解を述べています。
今回のインタビューによってさらに燃え上がった「ゲームのマネタイズ問題」。ゲーマーとしてあまり嬉しい話ではないものの、素敵な作品にはやはりお金で応援したいものです。商業作品である以上、収益化は当然のことですし、何よりもバランスが重要といえるでしょう。開発側には、気持ちよくお金を出せるような良質なコンテンツ作りをお願いしたいですね。