今週初め、インディーデベロッパーのCowcatは80~90年代アニメ風推理アクションADV『名探偵ブロクと秘密の依頼』に対して、何人かのSteamキュレーターがゲームをプレイせず否定的な偽のレビューを投稿していると非難し、彼らがレビュー目的と偽ってSteamキーを要求し、それを転売している疑いがあると非難。そしてこの度、Valveは問題のすべてのキュレーターをBANしたことが明らかになりました。
『名探偵ブロクと秘密の依頼』の発売に先立ち、Cowcatはレビュー用キーを求めるSteamキュレーターから大量のリクエストを受け取ったと述べました。これは正当なキュレーター、ストリーマー、ゲームサイトの慣行である一方、グレーマーケットでの転売を目論む詐欺行為に利用される点が問題視されています。
これを排除したいと考え、開発側は本作の無料の前日譚のキーを送信するという巧妙な策を実行。この作戦は見事に効を奏し、合法的なキュレーターがキーを一度引き換えた上で完全なゲームを要求する一方、転売者は体験版キーを完全版として販売することとなりました。
デモ用コードが送られてきたことを疑問に思った声はごく少数で、レビュー用キーの要求のほとんどは投稿前にキーを有効にしなかった詐欺師の物であると推測しています。一方、コードを転売した後に払い戻しを行うこととなった転売者が報復として、「ゲームプレイが壊れている」や「洗練されていない」などの一般的な批判を含むキュレーターレビューを書き始めた可能性があると指摘。これを正確に証明することはできないと述べる一方、そのキュレーターレビューの中で本作が否定的なレビューを持つ唯一のものであると話しています。
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また、米掲示板サイトRedditユーザーのdarklinkpower氏による投稿で、否定的なレビューを残した9人のキュレーターには、投稿内容を制御できる共通の管理者ユーザーやフォロワー数、ほぼ同じ日に作成されているなど、かなり疑わしい類似点があると分析し指摘しています。
これらの投稿が注目を集めて間もなく、問題のキュレーターは当該レビューを肯定的なものに変更。「完全に統合された横スクロールアクションのメカニズム」を備えた「素晴らしい漫画探偵アドベンチャー」だと手のひらを返し、CowcatはそのキュレーターをValveに報告したと述べていました。
その甲斐あってか一連の投稿の3日後、公式TwitterにてSteamより当該キュレーターをBANしたとの報告があったとツイート。どういうわけかほんの少し罪悪感を抱いているともコメントしています。
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実に機転の利いた方法で詐欺行為を撃退した本作ですが、そもそもキュレーターがゲームをプレイせずともレビューを公開できるというシステムにも疑問を呈しています。そして、同じ境遇の開発者に同様の方法での協力を、プレイヤーにはグレーサイトでの転売品の購入をしないよう協力を求めています。
件の『名探偵ブロクと秘密の依頼』は122件のユーザーレビュー中99%に好評とかなりの高評価。作者自身も「キュレーターのレビューが実際に売上に影響を与えるかどうかはわかりませんが (おそらく影響はないでしょう)、率直に言って気にしません。」と語っています。
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80~90年代アニメ風推理アクションADV『名探偵ブロクと秘密の依頼』は、WindowsPC向けにSteamにて発売中です。日本語字幕にも対応となっていますので、興味を持たれた方は遊んでみてはいかがでしょうか。
※UPDATE(2022/9/1 20:59):一部、訳について修正し、再公開しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。