「アラド戦記」や「メイプルストーリー」など、中国・韓国を中心にヒットタイトルを手掛けるネクソン。業績は堅調なものの、成長を支える「アラド戦記」の人気に陰りが出てきました。
2022年12月期第2四半期の営業利益は前年同期比4.2%増の612億400万円。ネクソンは2022年3月末時点で、第2四半期の営業利益の下限を611億8,700万円と予想していました。ギリギリで通過したことになります。
「アラド戦記」は特に中国での鈍化が顕著。レベルキャップ解放の効果も乏しく、短期的な数字の改善にしか繋がっていません。
ゲーム専門の会社の中では時価総額が任天堂に次いで2位
ネクソンは1994年に韓国で誕生したネクソン・コーポレーションが前身。無料でプレイでき、アイテム課金によって収益を得るゲームを数多く手がけています。2002年12月に100%子会社ネクソンジャパンを設立。グローバル展開するにはゲーム開発の本場である日本が望ましいとの考えから、2005年10月に親会社の拠点も東京に移しました。2009年4月にネクソンジャパンからネクソンに社名変更しています。
2011年12月に東京証券取引所1部に上場。ネクソンは2022年9月4日の段階で時価総額がおよそ2兆4,500億円。これは、ゲーム関連の会社の中では、ソニー(13兆7,000億円)、任天堂(7兆3,300億円)に次いで3番目。ネクソンはバンダイナムコホールディングス(2兆2,000億円)を2,000億円以上上回っています。
■ゲーム関連企業時価総額ランキング(2022年9月5日)

※エムフロのデータをもとに作成
ネクソンの時価総額は、ゲーム単体の会社としては任天堂に次ぐ2位にランクインしており、投資家からの注目度が高い企業です。
その理由は業績が極めて堅調なため。ネクソンは2017年12月期から2020年12月期まで、営業利益率38%台をキープし続けました。なお、任天堂は新型コロナウイルス感染拡大の影響で巣ごもり特需となった2021年3月期の営業利益率が36.4%、2022年3月期が35.0%でした。本業で稼ぐ力はネクソンの方が上です。

※決算短信より(営業利益率の目盛りは右軸)
2022年6月末時点での自己資本比率は83.4%。総資産の38.0%を占める4,000億円近い豊富な現金を保有しており、財務の健全性も高い会社です。
2022年12月期第2四半期のエリア別の売上高をみると、韓国が61%でトップ。中国が23%、日本が2%、北米・欧州が7%。韓国と中国が圧倒的です。

※決算説明資料より
韓国では「メイプルストーリー」が息の長い人気を獲得しているほか、「アラド戦記」「FIFA ONLINE 4」「風の王国」「マビノギ」などのタイトルがヒットを重ねています。
その一方で、2017年12月期のネクソンエリア別売上高は、中国が49%、韓国が34%という構成比率でした。中国での「アラド戦記」人気が隆盛を極めており、ネクソンは中国攻略を本格化していました。

※決算説明資料より
近年、比率は大きく変化しているのです。