7月4日、秋葉原UDX GALLERY NEXT THEATERにて「Game Tools & Middleware Forum 2023(以下、GTMF)」が開催されました。
GTMFはCRI・ミドルウェアが幹事を務めるGTMF運営委員会が主催する、国内唯一のゲーム開発向けソリューションのビジネスイベントで、新たな技術を求める開発者とソリューションのベンダーを引き合わせる目的で開催されてきました。
コロナ禍の影響による中断を経て、今年は6月30日の大阪会場と併せて4年ぶりの開催に。本稿では、そんなGTMFで行われたセッションの中から、日本マイクロソフトによるセッション「マイクロソフトのAIソリューションをゲーム開発・運用に活用するための虎の巻」のレポートをお届けいたします。
AIがゲーム開発の手助けに
本セッションの講師を務めたのは日本マイクロソフトの下田純也氏。近年はチャットボットであるChatGPTも注目を集めるAI系サービスですが、それらをゲーム開発に活用していくための方法についてのセッションが展開されました。
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最初に紹介されたのは、AIを用いた読み上げサービスの活用例。テキスト読み上げはアニメキャラクターを演じる声優の個性的な口調も再現できるようになっており、英語話者の声を学習したAIが日本語音声を読み上げるリアルタイムでの翻訳機能も実現しています。
こうしたスピーチ機能は会話データの出力や多言語展開を助けてくれるだけでなく、リップシンク用のデータも出力可能で、違和感のないリアルなグラフィックを追求したゲーム開発においても活用可能と紹介されました。
今ではゲームの進行で詰まった際には攻略サイトなどを閲覧するユーザーも多いと推測されますが、それはクリエイターにとって決して望ましいアプローチではありません。読み上げ機能を持つAIとチャットボットのような会話AIを組み合わせれば「ゲームキャラクターの声で話すアシスタント」が実装可能になり、ゲームに没入したままユーザーに適切なヒントを与える役割を持たせられるようになるのです。
さらにMicrosoftの研究開発から生まれたAIサービス「Azure Cognitive Services」の「Azure Content Moderator」機能を活用すれば、グローバル展開による複数言語へのローカライズの際に問題のある単語をAIが見つけ出してくれるとも、下田氏は解説。このように様々なAIソリューションを組み合わせていくことで、ゲーム開発がより便利になっていく可能性を持っていると語られました。
「Azure OpenAI」の事例から見るAIとゲーム開発
ここからセッションは2023年1月に一般提供が開始された「Azure OpenAI」の話題に。
LLM(大規模言語モデル)に基づいた機械学習による「Azure OpenAI」は、投げかけに対してさまざまな返答を行うGPTだけでなく、ソースコードの書き出し、そしてプロンプトで要求されたイラストの出力などをセキュアな環境で実現しています。
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