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東京ゲームショウには「ビジネスパーソンの交流の場」という側面も大いにあります。
ゲーム業界は最先端テクノロジーを取り扱う業界でもあり、それに携わる企業の成長や進化もハイペース。その動向から目を離すことはできません。
今回は東京ゲームショウ2023のビジネスデーに設けられたビジネスソリューションコーナーを取材し、そこからいくつかの注目企業を取り上げたいと思います。
かっこいい題字を手掛ける「デジタル文字職人」ダイナコムウェア
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ゲームのタイトルに利用するフォントは、今やその殆どが「外注製品」です。
言い換えれば、ゲームそのものを作る人と題字を作る人は全く別人ということ。従って、東京ゲームショウにはフォントのみを取り扱う企業もブースを出しています。
「ウチは文字屋です」
そう語るのは、ダイナコムウェア 第一営業部シニアマネージャーの柳澤克則氏。
「かつて、ゲーム開発者は題字も手掛けていました。しかしPS2が発売されたあたりの頃だったと思いますが、より繊細で複雑な描写ができるようになると、自前で題字を作るということが難しくなっていきます」
80年代から90年代のPCゲームを振り返ってみても、いわゆり「ピクセル職人」が苦心して題字を組み立てていました。旧日本軍の高級軍人に題字を一筆書いてもらった戦争シミュレーションゲームもありました。
今は「題字を外注する」ということが確立され、一人親方のインディーメーカーでもかっこよくインパクトのあるタイトルを手配することができるようになっています。
古い画像を簡単リマスター! CRI・ミドルウェア
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十数年前の名作タイトルを現代のハードに移植する。これは文字で書くほど簡単なことではありません。古いゲームは現代の目から見れば画質が粗く、それをどうにか近代化しなければならないからです。それはデジタル化された一枚絵や古いデジカメで撮影した写真にも同じことが言えます。
しかし、それらの「古い絵」を簡単に2Kもしくは4K対応が質にすることができたら?
CRI・ミドルウェアの画像最適化ツール『OPTPiX ImageStudio』の最新バージョンでは、3種類の画像拡大エンジンを使った「画像のリマスター作業」ができます。これを使えばアラ不思議、拡大すると粗の目立つイラストが人間の手で描き直されたかのように繊細かつ高画質対応の画像になります。
えっ、これすげぇ! 間近で見ると、驚かずにはいられません。
これにより、古いゲームのリマスター化にかかる工程やマンパワーを抑制することができます。時代の進化を感じる!
マルチプレイシステムを提供するDiarkis
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それにしても、幕張メッセを革製のブーツで歩いていると疲れますね……。
この時点で、筆者のふくらはぎはパンパン。足の裏も限界に近づいています。ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁっ!!
「そこの人、疲れてますね。マッサージどうですかマッサージ?」
そう声をかけてきた人がいたので、振り向くとそこには1台のマッサージ台が。「ここで無料のマッサージをやっています」とのことですが……。
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「え~と…Diarkisさん? マッサージ屋さんですか?」
「いいえ、我々はマルチプレイを提供しています」
マルチプレイを提供している? それってどういうこと?
ネットに接続して多人数での対戦または協力プレイは、しかしながら簡単に構築できるシステムではありません。マルチプレイ対応なのに、システムがあまりにも貧弱で有名無実のような状態になっている……という有名タイトルすら存在するほど。
現代のゲームにおいて、同時接続機能の構築・管理を専門とする企業は欠かせません。ですが、売っているものが「モノ」ではない故にブースに何を出せばいいのかという問題があるようで……。
「目に見える製品というものがないため、こうしてマッサージ台を出しているというわけです」
ゲームプレイ動画配信に可能性を見出すTikTok
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最後は「TikTok for Business」というブースにお邪魔しました。
TikTok……そう、あのTikTokです。若い子が音楽と共にダンスをし、その動画を乗っけるSNSです。しかし、「若い子が音楽と共にダンスをする」という部分は既に過去の一場面になりつつあります。
現在、TikTokではゲームプレイ動画が増えているとのこと。TikTokの動画がきっかけで、自分の知らなかったゲームに巡り合えたという現象も実際にあるそうです。また、TikTokのエフェクトを使った独自のゲームもブース展示されていました。
YouTubeがゲーム実況動画というジャンルを確立させ、それがゲームの売上にも影響している事実は誰にも否定できません。今、TikTokがそれと同様の役割を担おうとしています。