公正取引委員会は、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」施行後、同法での指導の対象となった主な事例を公表しました。
2024年11月1日に施行

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」は、フリーランス(個人事業主など)やフリーランスに業務を委託する事業者を対象とし、フリーランスとして業務を行う個人と彼らに業務を委託する事業者との取引を適正化、フリーランスが安定して働ける環境を整備することを目的としています。取引条件の明示義務(報酬額・支払期日など)、報酬の60日以内の支払い義務、ハラスメント対策の義務化を主な規制内容として、2024年11月1日に施行されました。
公正取引委員会は、フリーランスとの取引が多い業種であるゲームソフトウェア業、アニメーション制作業、リラクゼーション業及びフィットネスクラブの事業者を集中的に調査。「フリーランス・事業者間取引適正化等法第22条」の規定に基づき、45名の事業者に対して、契約書や発注書の記載、発注方法、支払期日の定め方等の是正を求める指導を行ったとし、その事例について公表しています。
以下、ゲーム業界の事例のみ抜粋
○ ゲームソフトウェア業を営むA社は、特許関連の業務を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、給付を受領する期日を明示していなかった。
○ ゲームソフトウェア業を営むB社は、オンラインゲームのイラスト制作を特定受託事業者に委託しているが、既に給付を受領していたにもかかわらず、給付を受領する期日及び報酬の額を明示していなかった。
○ ゲームソフトウェア業を営むC社は、ゲームソフトに関する企画制作を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、報酬の支払期日を明示していなかった。
○ ゲームソフトウェア業を営むD社は、ゲームイラストやテキスト等の制作を特定受託事業者に委託しているが、特定受託事業者が請求書を提出した日を基準に支払期日を設定しており、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払わない場合、期日までの報酬支払義務違反となるおそれがあった。
○ ゲームソフトウェア業を営むE社は、同社が取り扱うゲームに関する漫画制作を特定受託事業者に委託しているが、検収日を基準に支払期日を設定しており、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払わない場合、期日までの報酬支払義務違反となるおそれがあった。
1956年6月1日に施行された、中小企業や個人事業主などの下請業者が大企業から不当な扱いを受けることを防ぐための下請法で問題になるような事例が上がっており、フリーランスが安定して働ける環境作りには、依然として課題が多いようです。
※UPDATE(2025/3/29 0:21):サマリーを修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。