
2024年9月から続いている任天堂とポケモンによる『パルワールド』の提訴ですが、ポケットペアが2月に抗弁を主張していたことがわかりました。海外メディア・games frayが報道、解説しています。
任天堂の特許に異議
ポケットペアは2月21日、任天堂が発明し、『パルワールド』を訴える根拠としている特許について、異議を唱える抗弁を発表しました。この特許で任天堂が発明したと主張する内容はすでにカバーしている先行技術があり、そもそも特許が認められるべきではなかったというのが大枠の主張です。
任天堂が侵害を主張している、ボール型の捕獲アイテムを投げてモンスターを捕まえるなどといった特許は実効出願日が2021年12月22日とされていますが、ポケットペアはそれよりも前にその仕組みを採用したゲームがあり、特許に新規性がないと主張している形です。日本の特許法では、発明に新規性・進歩性を有していることが必要です。

ポケットペアが主張している3つの特許に対する抗弁は以下の通りです。games frayによれば、自社の作品であっても、特許出願では不利に働く可能性があるといいます。
キャラ捕獲システムについて
戦っているキャラクターにモンスターやキャプチャーボールを放つことで捕獲するという特許については、2020年に配信した自社作品『クラフトピア』に他のゲームの機能を組み合わせることで十分に発明可能であり、新規性・進歩性に異議を唱えています。
『ルーンファクトリー5』『Titanfall 2』『ピクミン3 デラックス』にはプレイヤーがボタンを離してモンスターやボールなどの捕獲アイテムを特定の方向に発射する機能がある。
『ピクミン3 デラックス』『ファークライ5』『トゥームレイダース』(初代)は、投げられるオブジェクトにさまざまな種類があることをすでに示している。
『DARK SOULS 3』Mod「Pocket Souls」、『オクトパストラベラー』『モンスタースーパーリーグ』『FF14』は、フィールド上でターゲットを選び、捕獲を成功させる可能性を表示している。
一般的に、捕獲アイテムによって捕獲成功率が変動するのは、30年以上続く『ポケモン』シリーズの要素である。

また、『クラフトピア』の代わりに、『マインクラフト』のModである「Pixelmon」や、『ARK』のポケモンModをベースにして組み合わせても新規性がないことを主張できるといいます。
入力方向に捕獲アイテムを投げるシステムについて
ここについても、「Pocket Souls」にすでにあるほか、『オクトパストラベラー』『モンスタースーパーリーグ』『ネクソモン』『モンスターハンター4G』などと組み合わせることで十分に発明できると述べています。また、『Fallout 4』のMod「NukaMon」をベースにして『ポケモン ソード・シールド』などと組み合わせることも可能であるといいます。
状況に応じて乗っているキャラを切り替えるシステムについて
このシステムについては、他の作品と組み合わせるまでもなく、『ARK: Survival Evolved』がすでに発明していた内容として説明できるといいます。また、『アーキエイジ』に『ARK』、『ゼルダの伝説』、Unityゲームエンジンを組み合わせることや、『Riders of Icarus』をベースに説明することもできると述べています。

複雑な内容ですが、ポケットペアが主張しているのは、任天堂が侵害していると述べている特許はすでに実効日以前に先行技術があり、そもそも特許として認められるべきではないというものです。この抗弁が提訴をどう左右していくのか、注目が集まります。