2年前と比べると、ゲームに対する評価は大きく好転したようです。英国では「バイロンレビュー」の調査結果が公開されました。心理学者タニア・バイロン博士が英国首相の指示により「子供たちへのインターネットとビデオゲームの影響」に関してまとめたのが2008年の「バイロンレビュー」。「インターネットとテレビゲームは子供たちの学習や発達に役に立つが、暴力などの不適当な要因が潜在している。年齢にそぐわないゲームに触れさせないシステムを作るため、ゲーム産業の各所から共同出資する必要がある」と少々厳しめの評価が下されています。「バイロンレビュー」を受け、ネットのいじめや有害なコンテンツから子供たちを守る児童インターネット安全協議会(UKCCIS)が設立。PEGI(Pan European Game Information)とBBFC(British Board of File Classification)の2つが混在していたレーティングも昨年6月にPEGIに統一される・・・など様々な動きがありましたが、博士はこれをどう評価するのでしょうか。バイロン博士は現状を「この2年でデジタル上における子供たちの安全に関し重要な進歩があったことを嬉しく思います」と総括。「ゲームの年齢制限に関し、より明確な制度を作り出そうという動き」「小売業者が未成年の子供たちにそぐわない製品を売った場合にこれを起訴できる法律」「ゲームパブリッシャーが広告のガイドラインを改善・厳守していること」以上3点を評価しています。レーティングの統一に関しては「子供に与えるゲームが適切かどうか親に一貫した基準を与える」として一定の成果を認めました。児童インターネット安全協議会は、2011年より「オンライン上での安全教育」を5歳以上の必修科目とするなど成果を上げています。これについて博士は「子供たちをインターネット上で安全に保つ上で重要な業績であり、英国は子供をデジタル上で安全に保つよう関与する最初の国であると示しています」と賞賛しています。ビデオゲームの教育的な側面に関しては「2008年からの調査でも確たる証拠が得られなかった」として判断を保留。「政府はゲーム産業と教育セクターの間の対話をサポートし、無関心な教育現場においてゲームを使った教育の成果を評価しなければなりません」と今後も調査が必要であるとの見解を明らかにしました。また、カジュアルゲーム市場においてはペアレンタルコントロールの基準を決定、これを周知するため、UKCCISとゲーム産業による専門調査委員会の必要性を説いています。ゾーニングと子供の安全に関しては進歩があった、と努力が認められた形。カジュアルゲームと教育ゲームという新たな課題は出てきたものの、満足すべき結果といってよいのではないでしょうか。
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