筆者自身も『ポケカ』プレイヤーであるため、あれやこれやと聞きまくること約90分。ロングインタビューとなってしまいましたが、『ポケモンカード』好きには堪らない話題が続いているはずです。ぜひ、最後までごゆっくりお付き合いください。
●ここまで『ポケモンカード』が盛り上がった背景は?
─一昨年から『ポケモンカードゲーム(以下、ポケモンカード)』が大きな盛り上がりを見せています。その背景には何があったとお考えでしょうか。
長島氏:
『ポケモンカード』はこれまで、好きなポケモンをコレクションするなど、ラフに遊んでいる人が多いのかなという印象を持っていました。しかし近年は、しっかりとした対戦が楽しめるTCG(Trading Card Game)としての需要が高まっていると感じています。そんな状況の中、2018年7月に発売した「GXスタートデッキ」は一つの大きな切っ掛けになりました。500円という安価な値段で友達と気軽に対戦できるという部分が、現代のニーズに上手くマッチしたんじゃないかなと考えています。
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プレイ環境のデザインやゲームロジックの設計など、ゲーム仕様全般のディレクションを手がける。
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─私自身もプレイヤーとして『ポケモンカード』を楽しんでおりますが、確かに「GXスタートデッキ」から一気に人口が増えたと感じています。
塚本氏:
個人的に、これほど『ポケモンカード』が盛り上がるというのは初めてだったので、非常に驚きました。たくさんの人が遊んでくれているんだな、ということが再認識できてとても嬉しく思います。
岡本氏:
それは本当に思いますね。やってて良かったな、と(笑)。
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ムービースペシャルパック「名探偵ピカチュウ」ではプロジェクトマネジメント全般を担当。
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ポケモンカードゲームの開発全体における企画立案、プロジェクト管理・進行、チームマネージメント等を行う。
石井氏:
多くのYouTuberさんが『ポケモンカード』を取り上げてくれたのも、追い風としてあったかなと思います。先ほどお話に上がった「GXスタートデッキ」や、近い時期に行われていた「ゼクロムHR / SR争奪戦」もピックアップされていましたね。また、初心者の方が参加しやすい「GXスタートバトル」もその頃から始まっており、新規のプレイヤーがたくさん参加してくれているなと感じました。
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公式YouTubeチャンネル「ポケモンカードチャンネル」のメインMCや、大会実況を担当するポケモンカードの伝道師。
─『ポケモンカード』は関連商品が多く発売されていますが、これから始めようと思っている人たちは、どこから入るのが良いでしょう。
長島氏:
『ポケモンカード』をどんな風に遊びたいかによって、オススメは変わってきますね。とりあえず家族と『ポケモンカード』に触れたいというのであれば、2019年3月に発売されたばかりの「ファミリーポケモンカードゲーム」が良いでしょう。
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友達とワイワイ遊ぶのであれば「GXスタートデッキ」が最適ですし、大会等で上を目指したいということであれば、「炎のブースターGX」「水のシャワーズGX」「雷のサンダースGX」あたりがオススメですね。
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─「ファミリーポケモンカードゲーム」に収録されている「むしとりしょうねん」って新録ですよね?ちょっと意外というか、こういう商品って大体再録が中心になるのかなってイメージがあったのですが。
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岡本氏:
むやみに新しいカードを作ることは我々も良しとしていませんが、誰にどんな遊びをしてほしいかを考えた時に、必要なパーツと判断して入れました。まず2枚引いて、そこでコインを投げてオモテならもう2枚引く。そこにワクワクして欲しいなと。まあ「むしとりしょうねん」に限らず、「ファミリーポケモンカードゲーム」に収録されているポケモンは全て新規ですし、商品にあったものを適宜という考え方で進めています。
石井氏:
よりテキストが読みやすくなるよう、通常のカードより文字が大きくなっているのも「ファミリーポケモンカードゲーム」の特徴ですね。
岡本氏:
お子さんはもちろんなんですが、普段『ポケモンカード』をやらない方でも、なるべく入りやすいようにと意識しています。『ポケットモンスター Let’Go! ピカチュウ・Let’s Go!イーブイ』を遊んだお父さん、お母さんにもぜひ手にとって頂ければと。効果が複雑なカードは入ってませんし、付属のダメカンも従来の紙製より3倍ほど厚く、使いやすくなってますよ。
─なるほど。プレイヤー層に何か特徴はありますか?
石井氏:
イベントによっても集まって頂く方々の層は、様々ですね。先日の企業対抗戦では社会人のプレイヤーに集まって頂けましたし、大型公式大会は「ジュニア」「シニア」「マスター」と年齢に応じた3つのリーグがあり、競技志向の方が参加されています。毎月行われている「ポケカの日週末限定バトル」は、お子様から大学生、ファミリー層や大人のカジュアルなユーザーの方が参加されていますね。
長島氏:
ほかのカードゲームでは見られない層の広さは、『ポケモンカード』ならではだと思いますね。20年以上続いているので、昔遊んでて今はお子さんと一緒に、なんていうお父さんプレイヤーが多くいます。最近グッと増えたのは、中高生かな。
石井氏:
そこはやはり、YouTuberの影響が強いようですね。あとは対戦はせずに、純粋にコレクションとして『ポケモンカード』を買われている方もいらっしゃいます。
長島氏:
特徴と言えば、『ポケモンカード』やってる方ってみんな優しいですよね。
─ああ、それは感じます。私もプレイヤーとして大会等に参加しますが、みんな本当に優しい…。
岡本氏:
あと、単純に“強さ”以外に、「このポケモンが好き!」という理由でこだわりのデッキを使う方も多いですよね。『ポケモンカード』はポケモンの魅力を活かそうと、イラストの幅をかなり広く作っているので、そういった“遊び”も楽しんで頂いているのかなって思います。
●対戦中のワザ名はぜひ、口に出して欲しい
─『ポケモンカード』は毎月、新カードが収録された拡張パックが発売されています。それらは「タッグボルト」「ダブルブレイズ」など、印象的な名前が付いていますが、その背景を教えてください。
岡本氏:
ここ直近は、そのパックに含まれるメインカードのワザ名を商品名として採用しています。ワザ名って口に出す言葉なので、商品名とリンクさせると覚えやすいかなと。あと、言葉としての引っ掛かりを凄く大事にしてまして…。例えば対戦で「ジージーエンド!」って宣言すると、相手も「うわ~、それか~」ってなるじゃないですか。単純にカッコいい言葉というだけでなく、そういったコミュニケーションが生まれることも想定して決めています。
『ポケモンカード』に慣れていらっしゃる上級者の方は時折、ワザ名の宣言を省略することもあると思うんですが、こちらとしてはぜひ、声に出して欲しいなあと(笑)。
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●タッグチームGXの実装はサン&ムーンシリーズを立ち上げる3年前から決まっていた
─「タッグボルトGX!」とか、ワザ名を言う時って気持ち良いですよね。新弾に収録されるポケモンやトレーナーは、どういった基準で選んでいるのでしょうか。
長島氏:
基本的にはメタや環境の流れを大事にしており、例えば「今は炎タイプを強くしたいから炎のジムリーダーを入れよう」といった具合で決めています。あとは各タイプのバランスですね。
ただ私が一番大事にしてるのは、その時点でゲームやアニメでまだフィーチャーされていないポケモンを差し込むことです。皆さんを驚かせたい、といいますか。よく「なんでこのポケモンを選んだんですか?」なんて聞かれますが、「面白いからです」と(笑)。
岡本氏:
別の視点となりますが、『ポケモン』シリーズ全体の流れに合わせるということも意識しています。「タッグボルト」以降の流れを例にすると、ニンテンドースイッチで『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』が開発されていることは把握していたので、そこに合わせて注目度が集まるカントー地方に登場するポケモンを多く出しました。
─「タッグボルト」と言えば、そこからタッグチームGXという新たなカードが登場し、環境がまたガラリと変化しましたね。どういった経緯で実装されたのでしょうか。
長島氏:
タッグチームの実装に関しては、実は3年前の「サン&ムーン」シリーズ立ち上げから決まっていました。「サン&ムーン」シリーズで登場したポケモンGXを将来的にどう変化させようかというのは、ずっと考えていたんです。「タッグボルト」以前の環境は、対戦中に1度しか使えない「GXワザ」の駆け引きという面白さがあったんですが、「タッグボルト」以降は、ポケモン同士の組み合わせから生まれる新たな面白さに挑戦したいなと。ポケモンの意外な組み合わせからこれまで無かった一面が見えたり、よりポケモンが好きになったりしてもらえればという思いから、タッグチームは出発しています。
─確かに組み合わせのバリエーションは豊富ですよね。「ピカチュウ&ゼクロムGX」のようにサイズ感に差があったりする時もあれば、「ベトベトン&アローラベトベトンGX」のように似たもの同士な時もありますし。
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長島氏:
組み合わせに関しては、私自身がどうこうというよりも、会社全体で考えています。「見てみたい組み合わせは?」なんて声を掛けると、ブワーっとアイデアが集まるんです(笑)。それを見ながら、メタに合わせて決めていくという感じですね。
岡本氏:
みんなが一番熱くなる時間ですよね。そのアイデアに対して、「こんな感じで戦うんです!」とリアルに設定まで語る社員もいれば、「…どうなんでしょう、勢いだけで選んじゃいました」なんて社員もいますし(笑)。あとは、そのポケモン達がどう出会ったのか、といった背景も大事にしています。
─会議の議事録を見せてくれというファンの方も多そうです(笑)。個人的には先日発表された「モクロー&アローラナッシーGX」が大変気になっています。
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長島氏:
モクローとアローラナッシーに関しては、強烈なファンが社内にいまして…。
塚本氏:
これまでの『ポケモンカード』は、ピカチュウやモクローのような進化前のたねポケモンが活躍する環境ってなかなか作りづらかったという事情もありました。タッグチームの活躍は、そういったポケモンが好きな方にも喜んで頂けているようです。
─確かに、それはあるかもしれませんね。ピカチュウやモクローをガチの対戦で使うならどうしても進化させちゃいますし。
長島氏:
「タッグボルト」で言うと、ピカチュウがあそこまで堂々とパッケージのセンターを飾ることは、映画関連の商品とか特別なものを除くと、今回が初めてですものね。
─なるほど。「スカイレジェンド」には初めて3匹が組み合わさった、「ファイヤー&サンダー&フリーザーGX」も登場しますし、今後もどんな組み合わせが発表されるのか、非常に楽しみです。
岡本氏:
あ、ちなみに3匹でも“タッグ”と言って大丈夫なようです。そこは調べました(笑)。
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●レアリティや加工は、“特別なモノ”感を大事に
─『ポケモンカード』では、同じ性能を持つポケモンやトレーナーでも、SR/HR/URといったレアリティやミラー加工など様々な工夫がされており、コレクター要素がくすぐられます。こちらはどのようなこだわりを持っていらっしゃるのでしょうか。
岡本氏:
レアリティの話は、あまりしたことがないかも…。基本的にはお楽しみ枠と言いますか、コレクション要素として考えています。例えばテキストが読めないお子様にも“特別なモノ”感が伝わるというか、「なんか凄いのが当たった!」ってことが直感的に分かるように心掛けていますね。
その一方で、カードゲームとして最低限の文字の読みやすさ等は維持するようにも気をつけています。デザイナーは毎回、より良くなるよう試行錯誤を繰り返していますよ。それと必ずしも強いカード=ハイレアリティにしないという所もあるかな。遊びというか、そこは『ポケモンカード』として幅を残しています。
通常のイラストにも触れますと、こちらはポケモン図鑑の側面という部分を凄く大事にしています。基本的にカード1枚にポケモン1匹を描くようにしていますが、イラストレーターさんからも様々なアイデアをご提案頂いており、それがさらなるクオリティアップに繋がっています。ポケモンが活き活きしている様子を見て頂きたいですね。
塚本氏:
「タッグボルト」以降に登場したスペシャルアートは、また新しい試みになりましたね。
岡本氏:
そうですね。スペシャルアートはキラキラ光るとか、そういった“特別なモノ”感とはまた違ったアプローチをしたいと思って作りました。タッグチーム2匹が出会った瞬間や、旅をしている様子などのストーリー性が感じられるようにしています。こちらも多くの方に喜んで頂いているようで、嬉しいです。
長島氏:
スペシャルアートについても社内中からストーリーを集めていますよ。けっこう破天荒なものも届きます(笑)。
─当たると凄く嬉しいですよね。「マーシャドー&カイリキーGX」のスペシャルアートは、戦いから離れている穏やかな二匹の姿がとても印象的でした。
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石井氏:
「ライチュウ&アローラライチュウGX」のスペシャルアートも、アローラライチュウがライチュウの尻尾を引っ張る様子が可愛いですよね!
岡本氏:
あれは元々兄弟だったというイラスト上の設定をもとに描かれていて、片方がアローラで育ち、ヤンチャなアローラライチュウが「もっと砂遊びしようよ!」と引っ張る的な…。
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─そ、そんな背景が!確か「ゲンガー&ミミッキュGX」の時は、マンガもありましたよね。
~カードの数だけ 出会いがある~
— 【公式】ポケモン情報局 (@poke_times) 2018年11月30日
友達を作りたかった、ミミッキュとゲンガーの話。#ポケモンTAGTEAMストーリーhttps://t.co/6pHZLnXE6H pic.twitter.com/Qir3ggp4Dr
塚本氏:
あのマンガのように、ユーザーさんも色々想像してくれると楽しいのではと思います。
岡本氏:
そうですね。あまり深くは私たちからは言わないです。その前後は自由に想像してほしいなと。
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●肝となるバランス調整は、専用のテストスタッフによる努力の結晶
─TCGはバランス取りが非常に難しいジャンルかと思います。どのような点を意識して運営されているのでしょうか。
長島氏:
いろんなポケモンが活躍できるように、という所に一番気を使っています。主に「ポケモンカード ラボラトリー」という場所で開発をしているんですが、そこには専用のテストスタッフが約20名おりまして、彼らは朝から晩まで延々とデッキを作っては崩し、対戦を繰り返して調整を行っています。
ただ、一言で調整といっても、大会向きの強さやライト向きな強さ、または楽しい遊びが出来るかどうかなど、色々な種類があります。純粋に強いか弱いかだけでなく、強さと遊びのバランスも重要です。
─ちょうど先日、『ポケモンカード』テストスタッフの求人がネットに出ていると、ユーザーの間で話題になっていました。
長島氏:
ああ、そうですね。ちなみに彼らの最初の業務は、これまでに出ている全てのカードを暗記するところから始まります。
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─ぜ、全部ですか!?
長島氏:
基本的に全部覚えて頂いてますね。だから、新しいデータをテストする時には、「これだったら最強はこれ」みたいなことを思いつくスタッフがいっぱいいます。
岡本氏:
逆に言えば、それくらいの知識が無いと仕事として回らないんですよね。いちいち見直していたら、とても時間が足りなくなってしまう。先日採用したメンバーも、「立派なテスターだね」と社内で言われるまでには、最低1年は必要かと思います。
─か、壁が高すぎる…。それほどのハードルならば、大型公式大会等で活躍されているトッププレイヤーを採用したほうが早いのでは?
岡本氏:
それも先ほど上がった、“強さと遊びのバランス”なんですよね。もちろん採用する時もありますが、『ポケモンカード』としてカードのテキストがポケモンと合っているかという面も見て欲しいので、カードゲームを触ったことがない未経験者を敢えて採用することもあります。そういった方は、最初はおぼつかない手付きでカードを触っているのですが、数ヶ月後にはシャッフルのスピードがとても早くなったりするので、人って慣れるんだなぁと(笑)。
─ちなみにポニータさんは毎日『ポケモンカード』の動画をアップしていますが、実際のスキルはいかほどでしょうか?
石井氏:
いやー、僕は朝から晩までやってるわけじゃないので…(笑)。足元にも及ばないです。
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●名刺交換から対戦が始まる企業対抗戦は、社内でも評判だった
─先日行われた企業対抗戦は大盛り上がりでしたね。
長島氏:
こちらとしても、見ていてとても面白かったですよ。対戦の前に名刺交換してる姿とか、良かったですよね。『ポケモンカード』ってバトルするゲームですけど、コミュニケーションツールとしても役立ってるなって、ほっこりしました。
岡本氏:
ビジネスの延長のような場ですから、皆さんもより紳士的というか(笑)。
長島氏:
そうそう、会社代表で来てるから、みんな紳士(笑)。始めたばかりの人が優勝チームにいたというのも凄かったですよね。
─ポニータさんもその日は一日中、動画の撮影等で参加されていましたね。
石井氏:
そうですね。企業対抗戦は大人の皆さんも仲間内で『ポケモンカード』を楽しんでもらいたいということから開催されました。参加された方にお話を聞いたところ、「上司に誘われたから」とか「人数が多いほうが有利らしいんで来ました」みたいな回答もあったんですけども、終わる頃には皆さん「対戦が楽しかったです!」なんて言ってくれて。会社内で『ポケモンカード』仲間も増えたようなので、凄く良かったなと。
長島氏:
会社の上下関係が逆転するのも面白いですよね。部下の方が強い、とか。
石井氏:
ありましたね。今度の第二回も盛り上がってほしいです。5月10日(金)まで参加企業を大募集していますので、たくさんの社会人プレイヤーの皆さんに参加いただきたいです!
「ポケモン企業対抗戦」公式サイト
https://www.pokemon.co.jp/sp/fight_company/
●映画ファンと『ポケモンカード』ファンを繋げたいという思いでスタートした「名探偵ピカチュウ」のカード化
─4月26日にはポケモン発のハリウッド実写映画「名探偵ピカチュウ」の各シーンを再現したムービースペシャルパック「名探偵ピカチュウ」も発売されます。こちらはどういった経緯でカード化されたのでしょう。
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岡本氏:
先ほどの『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』と同様、「ポケモン」シリーズ全体の流れから、カードもやりましょうというのが大元のキッカケです。ただ映画を見る方と『ポケモンカード』を遊ぶ方って、同じポケモン好きでも層が若干異なるので、カードを見た時に映画の思い出が蘇るようなものであればコレクションとしても優秀だし、良いのではと考えました。
実写版のビジュアルを初めて見た時は「これは凄い…けどどうしよう」なんて思ったんですが、仮の素材をカードフォーマットに入れてみたところ、意外と馴染み、ディレクター陣からも良い商品になりそうだという判断があって、本格的にスタートしたというのが経緯です。
─ムービースペシャルパック「名探偵ピカチュウ」は1BOX購入すると、収録カードが全て手に入るようになっていますが、カードを見て映画を思い出してほしいという願いがそこに込められていたんですね。今回は映画チーム全面協力の下で、デザインされたそうですが、どのようなディレクションを行ったのでしょうか。
塚本氏:
今回は映画がベースにあるので、映画を見た人が喜んでくれるものを、またカードから映画に興味を持ってもらえるようなものを目指してスタートしました。最初は映画の情報が揃っておらず、映像もビジュアルもほとんど無かったため、それぞれのポケモンごとにどんなイラストが印象的になるかシナリオから想像し、映画チームとも相談しつつ、時間を掛けて突き詰めました。出来上がったものを見た時は、感動しましたね。
あとは、ポケモンが活き活きと描かれているか、カード単体で見た時にそのポケモンがちゃんと目立っているかという点には気を配りました。そこにしっかりと向き合うことで、良いものが出来たのではと思っています。
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─ちょっとマニアックなんですが、「名探偵ピカチュウ」のカードは、ピカチュウ単体としては珍しく逃げるときに必要なエネルギーが2個ですよね。そこには“おっさん設定”が反映されていたりするのでしょうか。
長島氏:
そこに限らず、テキストや設定に関しては、色々と映画を意識してます。従来の『ポケモンカード』には使ってこなかった言葉も入っていますよ。コダックの「パニくる」とか、カイリキーの「こうつうせいり」はその例ですね。
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岡本氏:
通常であれば効果からワザ名を付けることが多いんですが、今回はワザ名が先行しているケースも多いと思います。
─このパックの中で、一押しのカードがあれば教えてください。
長島氏:
変わったところでいうと、特性「パントマイム」を持ったバリヤードですね。特性「ほしにねがいを」を持ったジラーチと組み合わせれば、面白い動きができるんじゃないかなと。
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あとはゲッコウガGXかな。専用デッキを組むのはもちろんですが、元々ある別のデッキに1枚入れても良さそうです。レインボーエネルギー等が入っていれば、アリなのではと。GXワザの「ダークミストGX」は水エネルギー1枚で使えますし、相手も予想できないはずです。
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石井氏:
僕は渡辺謙さん演じるヨシダ警部補ですね。効果はもちろんですが、なによりカードとしてのパワーがあります。
─カードとしてのパワー(笑)。
石井氏:
でも実際、カードの効果は「ゲンガー&ミミッキュGX」と相性良いですし、ガチデッキも組めるかと。あと、これを使うと通ぶれます(笑)。
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─インパクトは抜群ですよね。ヨシダ警部補の制作話が上がってきた時は、どんな印象を持たれたのでしょうか。
塚本氏:
いやー、めちゃめちゃ面白いなって思いました。「名探偵ピカチュウ」だからこそ出来たと思うので、やってやるぞと。ただ、実写かつ人物になるので、これが『ポケモンカード』だとユーザーに分かってもらえるかという点だけ、注意しました。そのひとつとして、カードには最初、ヨシダ警部補だけが描かれていたのですが、より映画の物語性が引き出せるよう、パートナーポケモンのブルーも一緒に入れたんです。
─実写映画のカード化は非常に珍しい挑戦だったと思います。
塚本氏:
実際にやってみて分かったんですが、映画のワンシーンを一枚のイラストに落とし込むというのは、簡単そうに見えて、凄く難しいなと。躍動感を出したり、よりポケモンが魅力的に見えるよう表現を工夫したりと、とても勉強になりました。映画チームの協力もあって、映画に負けないくらいのクオリティに仕上がったと感じているので、ぜひ手に取って頂きたいです。
●自由すぎる公式チャンネルの原点は、少しでも『ポケモンカード』に触れる機会をと願う情熱から
─ポニータ石井さんがYouTubeで公式チャンネルを展開したキッカケを教えてください。
石井氏:
元々は、『ポケモンカード』20周年キャンペーン内の一つでした。成長と共に『ポケモンカード』から離れてしまった20~30代のユーザーにもう一度振り向いてもらうにはどうしたら良いかと考えた結果、当時その層に対して“熱い”と騒がれていたYouTubeが最適だろうとなり、そこから毎日動画を公開するという謎の企画が立ち上がったんです。既存の公式には無いフットワークの軽さをウリにしてみようという方針から、ポニータ石井というキャラクターが誕生しました。
また、その頃は今のように毎月新弾が出ておらず、次の発売まで3ヶ月くらい空くこともあったため、その期間はみんなも『ポケモンカード』に触る機会が減ってしまうのではという懸念があったんです。だからこそ、毎日更新が当時からのこだわりでした。ちょっとクオリティはアレかもしれないけれど、毎日何かしら『ポケモンカード』に関する映像コンテンツがあれば良いかなって思って、今日まで続けています。
─昔は会議室みたいな場所で撮影していましたよね。
石井氏:
そうですね、テスト企画ということもあり、まあ見ての通りの予算感でして…(笑)。チャンネル登録数が1万人を超えたタイミングで、今のスタジオをお披露目しました。最近はポニータ石井以外の人物も出して、みんなでワイワイ楽しんでる様子も見せたいなぁと。
─ポニータさんの動画は、ある意味公式らしからぬ自由な空気が、ファンの心を掴んでいるんじゃないかなと思います。
石井氏:
心を掴んでいるかどうかは自信が無いんですが、掴んでいるといいなって思います。特にスタート当時は株式会社ポケモンの目にも止まらないような場所で、自由にやらせてもらっていましたから。どちらかというと、「このチャンネルってどうなの?」という話が上がる前に、もうポニータ石井という世界観が完成してしまったんだと思います。テスト企画だったので、少数精鋭によるチャレンジではありましたが、『ポケモンカード』を盛り上げたい、なんでもやってみますといったスタンスを受け入れて頂いたのかなと。
先ほども言った通り、当初は『ポケモンカード』の動画自体が少なく、だからこそ公式っぽくないような、ライトな立ち位置でお届けできればと思っていました。一時期はまあ、迷走もしていましたが(笑)。最近はまっとうに『ポケモンカード』してますけどね。
─毎日動画は投稿したい。けど新弾発売までしばらくある。さあ困ったぞと。
石井氏:
まさにそれです(笑)。でも、毎日更新は鉄の掟ですから。…何回か破ってますけど。
─私個人で言えば、ドラマが凄く好きでした。
石井氏:
ありがとうございます。ただドラマは演者の皆さんが引退してしまったので…。第三部まで書いた脚本はお蔵入りになってしまいました。
─あと、受けたダメージ分だけスクワットする対戦とかも好きでした。シュールだなと…。
石井氏:
あれは太ってると言われたことに傷付いたのがキッカケでした。めっちゃキツかったです。絶対に一発撮りにしようと。
色々やっていましたが、今は多くの方が『ポケモンカード』の動画をアップしてくれているので、僕としては公式として出来ることをという考えにシフトしてきています。
─ちなみに、名前に付いているポニータはお好きなんですか?
石井氏:
大好きなので名前に付けました。図鑑No.77というのも縁起が良いですよね。
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●お気に入りのカードを教えてください!
─皆さんの、お気に入りのカードを教えてください。
長島氏:
最近だと、ジガルデGXですかね。登場から時間が経ったカードが、また突然グッと上がるというのは面白い試みだと思います。
塚本氏:
僕は「フルメタルウォール」のヤドランが好きですね。「かれいなるかけ 」というワザは、勝っても負けても楽しいし、盛り上がります。
岡本氏:
ライチュウ&アローラライチュウGXかなあ。抜群に可愛いですよね。スペシャルアートも欲しいんですが、まだ引けてない(笑)。確定でマヒが取れるのもお気に入りです。
石井氏:
僕は特性「ぎゃくしゅうのオーラ」を持ったガブリアスですね。負けていたら強くなるって部分が通好みというか、頭を使う感じでいいかなと。特性「はどうよち」を持ったルカリオと組み合わせると好きなカードを持ってこれますし、初心者から上級者まで面白いと思います。
─最後になりますが、ユーザーに向けて一言お願いします。
長島氏:
新しいプレイヤーがどんどん参加してくれているので、『ポケモンカード』を始めるには良いタイミングかなと思います。大会も色々な所で開かれていますし、ポケモンカードをプレイヤーさん自らの手で広げ盛り上げていける公式資格「イベントオーガナイザー」や「公認ジャッジ」の方たちもきっと、皆さんの近くにいると思います。ぜひこの機会に触って、『ポケモンカード』を楽しんでもらえればと思います。
岡本氏:
競技としてはもちろんですが、『ポケモンカード』はコレクションするだけでも楽しいと思います。僕たちが言うのも妙な話ですが、多少ルールを間違っても、お互い楽しく遊べるならそれで良いのではと。それこそ昔買って頂いたカードを混ぜてもいいですし。カードゲームは難しそうに見えるかもしれませんが、決してそんなことないので、飛び込んで頂けると嬉しいです。
塚本氏:
『ポケモンカード』プレイヤーって優しい人が多いですし、せっかくの対戦ゲームなので、いろんな人と対戦してほしいですね。コミュニケーションツールとして活用し、初めて出会った人と普段とは違う話をするのも新鮮ですよ。
石井氏:
競技としてハマれるTCGを探している方にも『ポケモンカード』はオススメかなと。「カードゲームって結局は運ゲーでしょう」って印象を持っている方もいると思いますが、大会の結果を振り返るとしっかりと実力者が勝ち残っています。どんなデッキを選び、使いこなすのかという部分でもプレイヤーの腕がしっかり反映されるスポーツだと思っているので、対人ならではの駆け引きを存分に味わってください。
─ありがとうございました!
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