インタビュイー(2名)


初回リリースから間を置かずにアップデート!
――8月末の初回版リリースのあたりから、早くも8.1のアナウンスが出ていたようですが。
小野今年の1月ごろから提供していたβ版の段階で、早くも初回実装に予定していなかった要素についてご要望をいただいてました。しかし、正式版は、どうしてもCEDECに間に合わせたかったので、パフォーマンスの改善と並行して、要望を一部反映した8.1を開発していました。
――8.1になって追加された内容について具体的なものは?

小野PSD形式のフォルダ構造と、各レイヤー内で保有している座標情報の保存・復元がそれです。実は、前身だった「OPTPiX imésta(以下、imésta)」では、これらの要素については一部未対応だったんですが、β版のアンケート内に同様の要望をいただいたのもあって、今回対応しました。
――PSDといえば、一般的な形式だと思っていますが、未対応だった部分についてお聞かせいただけますか。
小野iméstaのユーザーの多くがゲーム業界だったんですが、PSD形式の利用シーンは、「PSDを読み込み、レイヤーごとに減色や圧縮などをして出力」するというのが主な使い方でした。その使い方の場合、PSD形式のフォルダー構造や座標情報は必要とされないため、iméstaではこれらの情報は読み込み時に破棄してしまっていました。
――今回、PSD形式のフォルダ構造やレイヤー、座標などへの対応を要望されたのは、ゲーム業界からの要望ではないということでしょうか。
小野はい、実は組み込み業界からの要望でした。組み込み業界では、PSDのフォルダごとにUIイメージをレイアウトし、それを組み込み用のUI編集ツールに読み込んで利用するそうです。その要望にお応えするために、今回、ImageStudio 8にPSDを入力した際、そのフォルダー構造や座標情報を維持するよう、アップデートを施しました。
――ということは、ImageStudio 8は、組み込み業界の需要にもお応えするんですね。
今、改めて“固定パレット減色”
――さて、8.1をリリースしたのが9月下旬でしたが、今後のアップデートの予定は?
小野11月の前半までに、8.2のリリースを予定しています。
※ImageStudio 8 ver.8.210月31日にリリースされた。
橋本8.2の一番大きいアップデート要素としては“固定パレット減色”の対応です。これは、β版のアンケートというよりも、GTMF(*1)や、CEDEC(*2)会場で、ゲーム業界・組み込み業界の両方から聞かれました。
*1:アプリ・ゲームの開発・運営に関わるソリューションが一堂に会するイベント
*2:ゲーム会社からなる一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する日本国内最大のゲーム開発者向け技術交流会

従来のiméstaや、Photoshop等のツールで制作したパレットファイルを使って減色できる。
――“固定パレット減色”は、ImageStudio 8で予定していた機能なのでしょうか。
橋本そもそもゲーム業界では、“パレット”に対応したコンシューマゲーム機がPS Vitaを最後になくなったこともあって、ImageStudio 8では、iméstaのようなパレット操作系は省略を考えていました。当然、ImageStudio 8で減色した際に、減色結果としてのパレットは表示されるんですが。

小野ところが、ゲーム業界は再びブラウザゲームが出てきたのもあって、またここ最近の版権物タイトルでの色指定が厳密なケース。ここに需要があると考えていまして、“固定パレット減色”に対応することにしました。組み込み業界でも“固定パレット減色”のニーズが再確認できましたし。
――その他、8.2での対応内容についてお聞かせください。
橋本ファイルフォーマットの対応を強化しています。主にiOSで使われるPVRコンテナの対応形式にASTCを追加しました。また、Androidベースのハードウェアで利用シーンが増えてきたKTXコンテナにも対応しました。

小野その他にも、Jenkins等のCIツールからImageStudio 8のマクロを実行できるよう、“コマンドライン対応オプション”というものを用意しています。このオプションは、ImageStudio 8を、従来の製品「OPTPiX MacroActor(*3)」よりも、より柔軟な運用を可能にするためのものです。
*3:JenkinsなどのCIツールやSubversion、Gitなどのバージョン管理システムと連携し、画像の最適化処理を自動で行う。既存のワークフローにプラグインで組み込むことで、より強力な自動化ソリューションが実現できる。画像の最適化にはゲーム業界で定評を得ているOPTPiX画像最適化エンジンを使用。
橋本ImageStudio 8は、複数ファイルの並列処理に対応していますので、MacroActorよりもかなり高速になっています。その点にもご期待いただきたいですね。
――8.2のリリースと同時に使えるようになるのでしょうか。
小野“コマンドライン対応オプション”という名前の通り、オプションで提供するものになります。そのため、新ライセンスプランでのご契約が必要なります。
――具体的に、新ライセンスプランとは、どういうものでしょうか。
小野現在提供している単体ライセンスの形式の他に、よりライセンス管理が楽なフローティングライセンスと、更に“コマンドライン対応オプション”を組み合わせたバリエーションを用意しています。詳しくは、ImageStudio 8の製品ページでのアナウンスをお待ち下さい。
どうなる“タイムライン”機能
――さて今後のImageStudio 8のアップデートには、どういう構想があるのでしょうか。
小野先程の“固定パレット減色”の件のように、ユーザーからのご要望については、引き続きお待ちしていますが…そうだ、“重要領域指定減色”の話がありました。

橋本imésta から ImageStudio 8に受け継いだ“重要領域指定減色”ですが、現在の ImageStudio 8では、重要領域の指定はポイント指定しかできません。ですので、自由に範囲指定できるUIの改良は考えています。
――この機能は、f4samuraiさんのインタビュー記事でも登場していましたね。
小野残念ながら手動で「ここが重要!」と指定するので、アクションで自動化するのは難しく…。ああ、アクションというと“タイムライン”についての構想があります。
橋本はい、ImageStudio 8の代表的なUI、“タイムライン”の強化は考えています。このタイムラインは、ユーザーが実行した操作を記録・再実行するという、ImageStudio 8の中核と位置づけています。

小野このタイムラインの目的は、いわゆる操作履歴の可視化、それに操作履歴をそのまま“アクション”ファイルとして保存するというものです。この“アクション”に、“入力”と“出力”を指定するだけで、iméstaの“マクロ”機能と同等のことを、かんたんに実現できるようになっています。
橋本ところが、このタイムライン上でも“入力”・“出力”を1つのアクションとして可視化したいという要望を聞きまして、ImageStudio 8の中核機能としてこのあたりを強化・改良していくことになるだろうなと考えています。
――具体的なイメージはあるんでしょうか。
橋本実現性も含めて検討中のものに、“アクションの分岐”というのがあります。これは、imésta世代のころから“特定の条件に応じてマクロの処理を分岐したい”というのがありまして、それの実現というものです。ところが、これを現在のタイムライン上でどう表示するべきなのか…Gitlabの“Flow”のようなものが良いのか。或いは、“アクション”自体を外部から制御するスクリプトエンジンを実装するほうが良いのでは、とも考えています。最近だと使い手も多いからPythonかな、とか。
――拡張性を感じる良い構想ですね。
Mac版は、いつごろ?
――最後に、来春にリリース予定というMac版の進捗をお聞かせください。
小野はい、CEDECで動作デモを展示しましたが、あれ以降も開発が進行していまして、来春には現在のWindows版に搭載されている主要機能を実装したものを、初版としてリリースできると思います。

――本日はありがとうございました。

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