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品川区の「TUNNEL TOKYO」で3月16日に開催された「Game Technology Summit」は、ゲーム業界と他業種を橋渡しする交流イベントです。ゲーム業界の技術やノウハウを情報交換するだけにとどまらず、他業種との化学反応で新たなビジネスチャンスを掴む……そんなことを願って実施されました。
イベントは2部制となっており、第1部はスペシャルゲストを招いてのトークセッション、第2部は会食を楽しみながら情報交換をするネットワーキング会(ブース展示および交流会)です。
将来的には様々なブースが立ち並ぶ大規模開催を目指しつつ、今回はキックオフ・イベントということで「Vol.0」と銘打たれての開催となりましたが、会場には150人以上の業界関係者たちが集まり、第1部・第2部共に盛り上がりました。
本稿では、第1部のトークセッションに注目し、スポーツとゲームのコラボ、飲食とゲームのコラボなど、今後めざすコラボレーションの一例を紹介します。
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◆スクウェア・エニックス元CEOが語るゲーム業界の未来像(基調講演)
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「テレビゲーム時代は終わりました」
冒頭そう切り出したのは、スクウェア・エニックス元CEOの和田洋一氏。現在はゲームクリエイターズギルドの相談役を務めており、今回は基調講演にて登壇。第1部トークセッションの先陣を切りました。
かつては大コンシューマー時代を謳歌したものの、現在はまったく異なる時代に突入したと語る和田氏。映画やアニメといった周辺産業を巻き込みながら世界中に売り込み、結果として20兆円の市場規模にまで成長したゲームという文化ですが、今はその時代が終わり、目指す方向性が見えなくなっているのではないかと語ります。
和田氏はその中で2つの方向性があることを語りました。
まずは広がったユーザー定義をどう取り込むかという点。かつてはプレイヤーだけだったものが、現在ではストリーマーやその視聴者、『マインクラフト』のように作って参加する者など多岐にわたり、世界中に広がったマーケットは立体的な展開を見せています。狙い目はそこにあると、和田氏は語ります。
第2の方向性は他産業とのコラボです。今回、トークセッションに招かれたスペシャルゲストたちはまさにその2つの方向性にぴったりであると告げ、続くトークセッションコーナーにマイクを譲りました。