VTuber「にじさんじ」を展開するANYCOLORの株価が曲がり角に差し掛かりました。
2022年6月8日の上場初日はストップ高、2日目についた初値4,810円は公募価格1,530円の3倍以上となりました。10月27日は13,790円の高値をつけています。時価総額は一時3,000億円を超え、VTuberという上場したばかりの新興勢力が、フジテレビや日本テレビ、TBSなどの民放キー局の時価総額を上回りました。
しかし、2022年12月ごろから失速。株価は1万円を割ってズルズルと下がりました。2023年2月27日は4,240円で引けています。ついに初値を下回りました。
ANYCOLORは2022年12月15日に2023年4月期の通期業績の上方修正を発表。上限で210億円としていた売上高を7.1%増の225億円に引き上げました。目立った悪材料が見当たらないANYCOLORの株価が下がっているのはなぜなのでしょうか?
成長性を阻害する3つの要因とは?
ANYCOLORの株価が下がっている要因として、高い成長性を失ったという声が聞かれます。しかし、どうもそのようには見えません。
2023年4月期の売上高が予想通り225億円を通過すると、前期比58.9%もの増加です。確かに2022年4月期の売上成長率が85.5%という驚異的な数字だったことを考えると、やや勢いを失ったかもしれません。しかし、株価絶好調の時期だった2022年6月発表の業績予想を上回る数字であり、本業で稼ぐ力を表す営業利益率は2022年4月期を4.6ポイントも上回っています。
とても稼ぐ力が落ちているようには見えません。
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※決算短信より
ただし、業績推移の内容を細かく見ると、ANYCOLORの収益性が衰えている兆候や、成長性に不安を感じる部分が確かにあります。業績や経営方針において、マイナスとなりそうな要因は3つあると考えられます。
1.稼ぎ頭となるサービスの伸び悩み
2.成長ドライバーとなるVTuberの次なる担い手の不在
3.将来的な成長に必要な投資に消極的な経営方針