BTSやSEVENTEENなどの人気アーティストを擁する韓国の総合エンターテインメント企業 HYBE。その傘下企業であるHYBE IMは2022年11月、韓国FLINT社が提供する『ドラゴンスラッシュ』の新作のパブリッシングを行うことを発表しました。ゲーム事業を本格化することを明らかにしたのです。
HYBE IMとFLINTは、8月23日~28日にドイツ・ケルンで開催された「gamescom 2023」において、その最新タイトルである『星になれ-ヴェーダの騎士たち』単独ブース出展を行いました。GameBusiness.jpでは今回、HYBE IMの代表取締役 チョン・ウヨン氏とFLINTの代表取締役 キム・ヨンモ氏へメールインタビューを実施。両社の提携の狙いや展望を伺いました。

――貴社の親会社であるHYBEは音楽をメインに事業展開されている企業かと存じますが、子会社であるHYBE IMの事業内容や位置づけ、体制についても教えてください。
チョン・ウヨン:HYBE IMはインタラクティブメディアアートと技術を活用してHYBEのエンターテインメントライフスタイルプラットフォームの境界を拡張するソリューション事業を行っています。 特にゲーム開発およびパブリッシング事業を通じて、世界中のゲーム利用者に多様な体験を提供し、コミュニケーションを深めていこうと考えています。
「IM」はインタラクティブメディアの略ですが、ゲームはインタラクティブメディアアートと技術が出会うコンテンツの良い例だと思います。 ゲームとエンターテインメントの両方の領域が拡張して出会う地点、そこを私たちが開拓していこうという夢を持っています。
――ゲーム事業における御社ならではの強みはどのようなところでしょうか?
チョン・ウヨン:HYBE IMの強みの一つは、ゲーム製品だけでなく、ゲームを作る人やゲームを楽しむ人の想いまで一緒に見据えて、それをコンテンツ化する力だと思います。
ゲームの世界観や物語、サービスを作り上げる過程で発生する様々な事象はすべてサービスコンテンツに繋がると認識しており、それを汲み取った上で立体的に提供していきたいと考えています。
HYBE IMはエンジニアリングパワーに優れ、安定性と技術分析、そして環境面において強力な組織です。 例えば、現在提供している『BTSIsland:インザソム』では、障害なくサービスをリリースすることができました。
このような安定性と技術力は、HYBE IMが新興のパブリッシャーであるにもかかわらず、自信を持ってゲームを披露できる理由の一つです。
また、私たちはアーティストの原作コンテンツを愛してくださるファンの方々に、より多くの楽しみを提供する方法を模索しています。原作コンテンツの魅力を様々な形態の派生コンテンツを通じて伝えることができるように試行錯誤しており、これによりHYBEグループの一員であるHYBE IMならではの特徴が示せると考えています。

――ゲーム事業への参入にあたってFLINT社の『ドラゴンスラッシュ』をパブリッシングすることになった理由を教えてください。
チョン・ウヨン:このゲームに出会い、FLINTの代表に出会った時、「名作を見つけた」と感じました。 面白さと完成度が優れているだけでなく、小さなディテールひとつひとつまでも配慮されている点が、パブリッシングに至った最大の理由です。
――日本のゲーム市場をどう捉えていますか?また、貴社は韓国、アメリカ、日本を主要拠点としていますが、ゲーム事業において今後他の地域への展開は考えていらっしゃいますか?
チョン・ウヨン:日本のゲーム市場は、最も重要視する市場の1つです。多くの人気ゲームが存在し、ユーザーの求める水準も高いため、引き続き勉強し、最優先でユーザーの方々と継続的にコミュニケーションをとっていきたいと思います。コミュニケーションを通じて、日本ユーザーの方々にも愛されるゲームを提供することが目標です。
また、『星になれ-ヴェーダの騎士たち』はグローバル同時発売予定なので、日本を含めて同時にグローバル市場でサービスを行う計画です。
――ゲーム事業の今後の展開予定をお聞かせください。
チョン・ウヨン:HYBE IMは多様なパブリッシングポートフォリオの構築と同時に、独自開発のゲームラインナップを拡大し、グローバル総合ゲーム企業として成長していきたいと考えています。
FLINT 代表 キム・ヨンモ氏
――『星になれ-ヴェーダの騎士たち』の特徴と魅力を教えてください。
キム・ヨンモ:『星になれ-ヴェーダの騎士たち』は80、90年代に一世を風靡したベルトスクロールアーケードアクションゲームを現代的な感性で再解釈したアクションRPGゲームで、壮大でダークなストーリーと多様な敵を退けながら成長する豪快なアクションRPGが融合しています。

――前作『ドラゴンスラッシュ』からどのような部分が進化していますか?特に力を入れたことを教えてください。
キム・ヨンモ:前作の『ドラゴンスラッシュ』は収集型RPGで、成長に焦点を当てていたのですが、今作ではジャンル、ストーリー、技術の面で大きく変わっています。
ジャンルはアクションRPGとなり、自分のキャラクターを直接操作できるようにしています。前作では感じられなかったアクションの華やかさと痛快さを感じられるよう、操作感と難易度にこだわりました。
ストーリーでは、フルボイスのカットシーンの分量だけで3時間ほどあり、日本語吹替を通じて『星になれ-ヴェーダの騎士たち』の壮大でユニークなストーリー体験を伝えられるよう努力しました。
技術面では、アクションゲームに果敢にSpineを導入し、2Dの美麗なイラストと3Dアニメーションのダイナミズムの融合に焦点を当てています。戦闘フィールドは3D環境をベースに設計し、立体的で多様な戦闘環境を提供することで「避け」「防ぎ」「叩く」という基本動作を充実させるだけでなく、アクションの楽しさを感じられるよう設計しました。

――HYBE社とのコラボレーションで期待していることは何ですか?
キム・ヨンモ:HYBEはエンターテインメントに最大の強みを持っている企業であり、ゲームというコンテンツを拡張するにあたり、他のパブリッシャーよりも多様なエンターテイメントとしての展開をユーザーに提供できると考えています。
ユーザーの方々は多様なメディアとコンテンツで統合された『星になれ-ヴェーダの騎士たち』を通じて、様々な軌跡と文化に接することができるので、IPに魅力を感じることができると期待しています。
――「gamescom 2023」に出展した目的を教えてください。
キム・ヨンモ:『星になれ-ヴェーダの騎士たち』は制作段階からグローバルをターゲットにしており、グローバルユーザーのフィードバックは私たちにとって非常に重要な要素です。
大規模クローズベータテストの前に日本や台湾でのFGT(Focus Group Test)、そして「gamescom2023」などを通じてさらに完成度を高め、正式サービスを提供することが最大の目標でした。
CBT前に多くの部分で改善を成し遂げることができ、CBTではさらに素敵な姿でグローバルユーザーの方々にゲームを紹介することができると思います。
――最後に、日本のユーザーへのメッセージをお願いします。
キム・ヨンモ:私は幼い頃から日本のアーケードゲームやコンソールゲームをたくさん楽しんで育ちました。それだけでなく、数多くのアニメや漫画などが私に多くのインスピレーションを与えてくれたのです。
『星になれ-ヴェーダの騎士たち』を製作する上でも、数多くの作品に対する尊敬と経験が大きなヒントをくれました。日本のユーザーの方々に作品の魅力を伝えるために、見えるもの、聞こえるもの、プレイする感覚、あらゆることに最善を尽くしています。 期待をもって楽しんでいただいても、とても満足できる作品になると思います。 多くの関心を持って待ってくだされば大変ありがたいです。