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2023年12月1日(金)、Live2D社が主催するイベント「alive 2023」が秋葉原UDXとオンラインでハイブリッド開催されました。「alive」は2D表現に関わるクリエイターが技術と情熱を共有する年に1度の祭典です。
本稿では、Colorful Paletteによるセッション「『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat. 初音ミク』におけるストーリーシーンのLive2D表現について」のレポートをお届けします。
初音ミクとオリジナルキャラクターが織りなす大人気リズムゲーム
『『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat. 初音ミク』(以下、プロセカ)』はボーカロイドの初音ミクと本作オリジナルキャラクターである人間が織りなす新たな物語が描かれるリズムゲームです。ボーカロイド曲を中心に有名楽曲を多数収録しており、ユーザー数は1,000万を超えています。
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本セッションは『プロセカ』でLive2Dモデルの制作やバーチャルライブの演出、エフェクト制作を担当したアニメーションディレクター/マネージャーの藤本誠人氏と、ストーリーパートのスクリプト制作や監修に携わるストーリースクリプト リードスクリプターの伊藤慧一郎氏が登壇。
『プロセカ』における、アニメーションチームとストーリースクリプトチームの制作フローが紹介されました。
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モーションと表情を別データで管理して細やかな演出を実現したアニメーションチーム
アニメーションチームの業務のひとつは、シナリオパートで使用するアセットの作成です。イラストチームが手がけた素材を元にLive2Dでモデルとそのモーション、SpineでSDキャラとそのモーションを制作。およそ1カ月から2カ月で制作し、Unityに組み込みます。
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その後は、ストーリースクリプト班からの制作依頼に沿った新規の表情やモーションを制作。後日さらに新規のモーションを作るときに備えて、可動域を大きめに設定します。
髪や制服のタイなどの“揺れ物”は、物理演算で揺れを演出します。体の上下の動きに対応する“髪ふわ”や顔の傾きに対応する“頭部垂れ”など、髪の自然なアニメーションもキャラを魅力的に見せる役割を担っています。
前腕は360度回転するようになっており、左右の組み合わせでさまざまなポーズを演出できます。また、腕や手首だけでなく指単体にもパラメータを設定できるようになっており、モーションに余韻を持たせられるほか、両手で自分の頬をつまむようなモーションも可能です。
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通常モーション(体の動き)と表情モーションを別データで管理しているのも大きなポイント。これにより、1つの通常モーションに対してシチュエーションに応じたさまざまな表情を合わせられます。
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通常モーションと表情モーションそれぞれにまばたき(目の開閉)パラメータを使用するとまばたきのタイミングが競合してしまうため、通常モーション側にイベント値を仕込むことでタイミングを制御していることも併せて紹介されました。この活用法は、Colorful Paletteが2022年12月22日に公開した記事「プロセカLive2DのAnimationEvent活用術」で詳細が解説されています。
『プロセカ』には男性キャラクターも登場しますが、モーションの仕様は男女共通で作れるようになっており、その代わりに骨格や肩幅などの体格やポーズで男女差を表現しています。
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また、2023年9月30日のサービス3周年を期に大幅なモデルアップデートを実施。SDKやCubismのバージョンを上げ、モデルの可動域をさらに格調することでキャラの魅力を一層豊かに表現できるようにしたとのことです。
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素材出しは全員で、認識は「虎の巻」で共有―ストーリースクリプト班のワンチーム戦術
ストーリースクリプトチームは、Live2Dを扱ってイベント本編、各種カード、エリア会話などを担当する2D班と、3Dモジュールを扱ってバーチャルライブにおけるMCパートなどを担当する3D班で構成されています。本セッションでは、2D班の業務が紹介されました。