――プレスカンファレンスの反響はいかがでしたか?
吉田:新しいタイトル発表が印象に残ったという話が多かったです。また一般紙ではPS VRのPlayStation Camera同梱版の新価格が大きく報じられているようです。
――PS VRについては、相変わらず供給不足が指摘されています。
吉田:供給は今年2月ら徐々に増やしていて、需給バランスも徐々にとれてきていますが、まだ不足気味です。しかし10月以降はかなり供給が増やせると思います。そうした体制がようやく整いましたので、我々もこのタイミングでお求め安い価格に設定いたしました。
――PS VRのタイトルについて、今後の見通しはどうですか?
吉田:今回のプレスカンファレンスでもいくつか発表いたしましたが、弊社からは『グランツーリスモSPORT』『V!勇者のくせに生意気だR』が出ますし、海外で作っている『The Inpatient 闇の病棟』や『Bravo Team』も今年中に発売する予定です。PS VRのユーザーさんも徐々にゲームの深さであったり、長く遊べたり、オンラインでマルチプレイができるような体験を求められてきていると思いますので、そこは意識して毎年ずつ、少しずつでも規模感のあるもの、あるいは長く遊べるようなものを作って、出していく準備をしてきています。
――ここ数年で家庭用ゲーム機のオンライン対応が進みましたが、依然としてじっくり、一人で遊ぶイメージがあります。そうした中で、先日のプレスカンファレンスではスマホをコントローラーがわりに遊ぶ「PlayLink」(仮称)シリーズを発表されましたね。
吉田:「PlayLink」(仮称)シリーズの活動は、今後6040万台(6月11日時点)から1億台以上の普及にむけて進める際に、よりカジュアルなユーザーにリーチするために必要だと考えています。そこでPS4を持っている方に対して、周りにいる友達や家族を巻き込んでもらうことを狙ってはじめたシリーズなのです。
その時にワイヤレスコントローラー(DUALSHOCK 4)を4台買っていただくのは、かなりハードルが高いので、皆さんが持っているスマホやタブレットをそのままコントローラーにして遊んでいただくコンテンツを考えました。そのためアクションゲーム的なものは難しいですが、スマホであればカメラもついていますので、お互いに写真を撮ってゲームの中に反映させたり、タッチで絵を描いたり、プライベートなスクリーンになるので、ユーザーごとに違うメッセージを送ったりといったことができます。そうした新しいゲーム体験が作れるということで、欧米市場では今年中に4タイトルを予定しています。
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その中でも一番日本市場向けと思われる『Hidden Agenda―死刑執行まで48時間―』というタイトルを、プレスカンファレンスで発表しました。ミステリー仕立てのドラマをみながら、各々が犯人を推理して選択肢を選んでいき、それによってストーリーが分岐していくというアドベンチャーゲームになります。ただし、PS4の普及段階によって求められるコンテンツは違うと思っています。その中でも欧米市場向けには、コアユーザーだけにとどまらず、カジュアルなユーザー向けのタイトルも増やしていくことを意識しています。
――2013年に発売された『BEYOND: Two Souls』も専用アプリ『BEYOND Touch』を用いてスマホ連動が楽しめましたね。ただ、それ以降は久しくなかったため、今回の発表が印象的でした。
吉田:スマホ画面にマップを表示するといった、コンパニオンアプリとしての使い方はありましたが、ワイヤレスコントローラーのかわりに使おうという試みは、我々としてもあまりやってきませんでした。「ボタンとスティックで遊ぶ文化」を絶やしたくないという思いもありましたからね。ただ、そこにこだわりすぎることなく、よりユーザーさんが入りやすい環境について改めて考えまして、コロンブスの卵的な発想で開発されたのが「PlayLink
(仮称)シリーズになります。それだけではなくて、『KNACK ふたりの英雄と古代兵団』など、ワイヤレスコントローラーでがっつり遊べるアクションゲームや、『New みんなのGOLF』のようにワイヤレスコントローラーをみんなで回しながら遊ぶゲームなども、PS4の普及のために重要だと思っています。
――コアユーザー向けの施策についてはいかがですか?
吉田:今年の頭からコアユーザーであれば、遊びきれないくらい立て続けにいろいろな良いゲームが発売されています。今後も『モンスターハンター・ワールド』『北斗が如く』『ゴッド・オブ・ウォー』『The Last of Us 2』など、さまざまなタイトルが予定されていて、途切れることなく出続けます。
――そのためにも、ユーザーは貯金しておかないと。
吉田:お財布もそうですけれども、『Destiny 2』をはじめ、最近のゲームは毎日オンラインでイベントがあったり、DLCが追加されたりと、終わりがないじゃないですか。我々も『Horizon Zero Dawn』むけに大型の拡張コンテンツをリリースしますが、そうした形で一つのゲームを長く遊んでもらうという意識があります。インディゲームについても、いろんな良いゲームが今後も出てきます。そこはまったく心配していないです。
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――昨今では『PUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)』がスマッシュヒットするなど、日本でもPCでゲームを遊ぶ文化がずいぶん根付いてきた印象があります。
吉田:歓迎です。PCのコアユーザーは欧米の方が圧倒的に多いわけで、その中でもPS4はすごく受け入れられています。PCゲーマー文化があるからこそ、PS4が受け入れられている部分があるのかなとも思います。その一方でSteamでは大量にゲームがあります。そのためユーザーさんも、自分で積極的にゲームを探しにいかなければいけません。そうしたユーザーさんはすごく感度が高いと思います。そうしたユーザーさんが増えると、欧米のデベロッパーさんも日本向けにPS4でも出そうと考えていただけるようになります。これまでも、これからも、PC向けの全ゲームがPS4で出る必要はないと思っていますし、タイミングが遅れても良いから良いゲームはPS4に来て欲しいです。そのための誘致的な活動はこれまでも、これからも継続してやっていきます。競合というイメージはないです。
――実際にゲーム文化を向上させていく仲間だと。
吉田:そうですね。それにPCでも、PS4でも、モバイルでもゲームを遊ばれるのが、コアユーザーではないかと思います。
――家庭用ゲームとモバイルゲームの共存について、どう考えていますか。
吉田:モバイルゲームはなくならないと思います。デバイスを皆さんお持ちですし、F2Pのゲームがほとんどです。『みんゴル』もフォワードワークスからスマホ向けにF2Pで出しています。ダウンロードのされ方やプレイ人数を見ても、日本市場の特性が良くわかり、すごいなと思いました。その中で『みんゴル』で感じたのは、モバイルで遊んでおもしろかったから、PS4の『New みんなのGOLF』にも興味があるというユーザーの声を、ちらほらと聞きます。これは形としてありなのかなと、あらためて思いました。
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吉田:実際問題として家庭用ゲームを持っていない方が、そうした情報に触れる機会は、意外とないのかもしれないという感じがします。家庭用ゲームのファンであれば、ゲームのニュースサイトで情報を得られると思いますが、そのためには能動的に情報を取りに行く必要があります。そうした意識がない人に対して、どうやって情報を提供していけるか。そうした中でPlayStationのIPを用いたスマホゲームは、一つのメディアとして使えるかもしれないと思っています。
――過去のIPをベースにしたゲームが、フォワードワークスで開発されていますね。
吉田:『ワイルドアームズ』『アークザラッド』などのタイトルが発表されていますね。我々も協力しています。もっとも、IPによってモバイルでのゲームプレイに合うように、内容を作り替える必要があるかもしれません。そのうえで、「みんなのGOLF」シリーズにおける、スマホゲームを用いたIPの宣伝効果の有効性について、あらためて感じているところです。弊社とフォワードワークスは別会社ですので、先方にエールを送りたいです。
――PlayStation Vitaの後継機についてはいかがですか?
吉田:私の方には、まったく情報がないです。PS4を全世界で1億台普及させるため、PS VRを200万台普及させるため、精一杯がんばっていきますし、PlayStation Vitaについても引き続きさまざまなタイトルが供給されていきますから、それにむけてサポートを進めていきます。
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――ありがとうございました。